スポニチ

写真拡大

 野球、サッカー、バレーボール…スポーツは何でも好きです。仕事柄、知り合いの選手も多く、時間が許せばテレビ観戦、もちろん会場へ行くこともあります。3月に行われたWBCの日本対オーストラリア戦も東京ドームに見に行きました。サッカーW杯の日本代表の活躍も楽しみです。

 応援だけでなく今でも時々プレーするのが卓球です。初めてラケットを握ったのは、岸和田高校に入った時。学校の規則で文化系と体育系の2つの部活動をすることができたので美術部と卓球部に入りました。しかし、当時、画家になることを目指していた私は、絵を描くことに夢中で制服についた絵の具さえ誇らしく思えるほど。天王寺美術館の展覧会で賞を頂き、美術部の部長。残念ながら卓球部に所属はしていたものの、腕前はかじった程度です。

 思わぬ誘いがあったのは、私がデザイナーになって仕事が軌道に乗り始めた頃でした。「卓球やりませんか」とアートディレクターの浅葉克己さんから声をかけられました。いつもピンポン球を持ち歩いている浅葉さんは大会に出場するぐらい卓球がプロ並み。自ら「東京キングコング」というチームを結成するほどの愛好家。「毎週土曜日、東京厚生年金会館で練習しているから」と言われ見に行きました。

 すると驚きました。広い室内練習場にいくつもの卓球台が並べられ、大勢の人が黙々とラリーを繰り返していたのです。それだけでも圧巻なのによく見ると知り合いの顔がチラホラ。参加しているのは、アーティスト、デザイナー、カメラマンなどほとんど業界関係者。汗だくで楽しそうな姿にふと高校時代を思い出し、「やります」。女性のメンバーが5人ほどいて、「ジェーンの会」と名付けました。どんなことでも一生懸命に練習すると必ず成果は上がるもの。そうなるとさらに楽しくなるんです。

 でも、その頃、卓球はどちらかといえばマイナーなスポーツ。実は浅葉さんは、世界一にも輝いた日本卓球界のレジェンド、荻村伊智朗さんから卓球のイメージを変えてほしい、競技の素晴らしさを一人でも多くの人に伝えてもらいたいと頼まれていたのです。

 そこでみんなで考えたのが、卓球とディナーを組み合わせたユニークな企画。選手のパフォーマンスを見た後においしい食事をしながら卓球談議に花を咲かせるというもの。なんとそのイベントに、ソウル五輪金メダリスト、韓国の劉南奎(ユ・ナムギュ)選手と、世界選手権を制したスウェーデンのヨルゲン・パーソン選手が参加してくれました。

 僭越(せんえつ)ながら私も浅葉さんとその前座を務めました。普通にやっても面白くないので「卓球の過去、未来」というテーマを決めて、私は未来人をほうふつさせる衣装で登場。これが大ウケ。学生時代にできなかった卓球を通してこんなに世界が広がるなんて。ピンポン、最高!

 ◇コシノ ジュンコ 文化服装学院在学中に装苑賞を受賞。1978年から22年間、パリ・コレクションに参加。世界各国でファッションショーを開催、国際的な文化交流に力を入れる。オペラ、DRUM TAOの舞台衣装、花火、ユニホーム、インテリアのデザインなどを手がける。フランス政府からレジオン・ドヌール勲章シュバリエ受章、旭日中綬章受章。2025年11月には文化勲章受章。大阪府岸和田市出身。