ユーチューバーだと思ったら現役K-POPアイドルだった 「ギャル化」と地元愛で大バズり、公式超えの破壊力を生み出した要因

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面白い女性ユーチューバーだと思って見ていたら、実はアイドルだった。韓国女性グループ「RESCENE(リセンヌ)」でそのような逆転現象が発生している。

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グループの存在を知ってから個々のメンバーを認識するのではなく、ウォニという個人を先に知り、その後にRESCENEへ行き着く人が増えている。

そのトレンドを象徴するように、ウォニの個人YouTubeチャンネル「アンニョンハセヨウォニですよろしくお願いします」(原題)の登録者数は、RESCENE公式チャンネルの数字を上回った。

ウォニの個人チャンネルの登録者数は、6月5日時点で68万人を超えている。これに対して、RESCENEのグループ公式チャンネルは46万人となっている。

ウォニ(写真提供=OSEN)

もちろん、登録者数は日々変動するものだ。とはいえ、メンバー個人のチャンネルがグループ公式を追い抜くというのは非常に珍しいケースである。

しかも、ウォニのチャンネルは長年かけて運営されてきた大規模なものではない。

韓国メディアによると、ウォニの個人チャンネルは開設から約3カ月で登録者40万人を突破した。投稿された公式動画はショートを除けば10本余りにすぎないが、ユーチューブのアルゴリズムに乗ったことで登録者数が急増。10万人突破記念Q&A動画が公開されてから、わずか2週間ほどで約30万人増えたという。

一般的なK-POPアイドルは、先にグループを知ってからメンバーを知るという順番をたどる。しかし、RESCENEの場合はその逆の現象が起きている。

最初にウォニを知り、後から「この人、アイドルだったのか」「RESCENEのメンバーだったのか」と気づく人が増えているのだ。

ウォニのチャンネルが大きく伸びるきっかけになったのは、「巨済(コジェ)ヤッホー」というミームだった。

ウォニは慶尚南道・巨済の出身。チャンネル内では、彼女の地元感や方言、飾らない話し方が大きな魅力となっている。そこへ加わったのが、同じRESCENEの日本人メンバー、ミナミだ。

ミナミは、ウォニのチャンネルで「ギャル」コンセプトのキャラクターとして登場。巨済出身のウォニと、ギャル化したミナミの組み合わせから生まれた「巨済(コジェ)ヤッホー」というフレーズが、SNSやショートフォームを中心に拡散された。

ミナミ(写真提供=OSEN)

言葉だけを見れば、ただの内輪ノリに映るかもしれない。しかし、実際に人々の心に刺さったのは、その力の抜けた空気感や、アイドルらしい完璧な演出ではなく、どこか友達同士でふざけ合っているような距離感だった。

この組み合わせが、K-POPファンだけでなく、ショート動画を流し見している一般層にも届いた。

韓国メディア『イルガン・スポーツ』も、ウォニのチャンネルについて「ファンダムの枠を超えて大衆に選ばれるチャンネルになった」と分析している。アイドルの公式コンテンツというより、なんだか面白い女の子たちの動画として広がったということだ。

ミームから始まった「中小ドルの奇跡」

この現象の面白さは、RESCENEというグループの名前よりも先に、ウォニという個人キャラクターが拡散された点にある。

K-POPでは通常、グループ公式チャンネル、ミュージックビデオ、音楽番組、ファンカムなどを通じて、まずグループ名が認知される。その後、メンバーごとの個性が知られていく。だが、ウォニの場合は順番が違う。

彼女の個人チャンネルが先にバズり、そこから「ウォニって誰?」「RESCENEってどんなグループ?」と逆流している。

韓国のSNS上でも、一般層のなかにはウォニをアイドルだと知らず、ただの面白いユーチューバーのように見ていた人もいたという反応がある。

これは、RESCENEにとって非常に大きい。大手事務所の大型新人であれば、デビュー時から広告、音楽番組、メディア露出、ショーケースで一気に認知を獲得できる。しかし、いわゆる中小事務所のガールズグループにとって、最初に名前を覚えてもらうことは簡単ではない。

どれほど良い曲があっても、まず聴かれなければ始まらない。その壁を、ウォニの個人チャンネルは別ルートで突破した。音楽ではなく人柄、ステージではなく方言、公式MVではなくYouTubeのゆるい会話によって。

そうした素のキャラクターが、RESCENEというグループへの入口になっているのだ。

RESCENE(写真提供=OSEN)

ウォニのYouTubeチャンネルの成功は、単なる個人人気では終わらない。

韓国メディアは、この現象を「中小ドルの奇跡」とも表現している。大手事務所のアイドルがカムバックを重ね、音楽番組の出演枠を取ることさえ難しい状況で、RESCENEはメンバー個人のYouTubeを通じて新しい突破口を作ったからだ。

実際、ウォニのチャンネルはRESCENEのメンバーを順番に引き出す場にもなっている。

ミナミはギャルキャラクターと「巨済ヤッホー」で注目され、ゼナは方言コンテンツでウォニと掛け合い、慶尚道ならではのローカル感を見せた。他のメンバーも、今後どんなキャラクターで登場するのか期待されている。

これは、従来のアイドル自社コンテンツとも少し違う。よくある自社コンテンツは、グループのファンに向けて、メンバーの関係性や舞台裏を見せるものだった。もちろん、それも重要だ。

しかし、ウォニのチャンネルはファンだけに向けられたものではない。むしろ、ファンではない人が偶然見ても笑えるという、入り口の低さが強みとなっている。

アイドルを知らない人が、アイドルを知る前に笑う。これこそ、今のショートフォーム時代に合った売れ方なのかもしれない。

さらに、ウォニのチャンネルがすごいのは、ネット上のバズだけで終わらなかったことだ。

「巨済ヤッホー」はSNSやショート動画で広がり、ついにはRESCENEが巨済市の広報大使に委嘱される流れまで生んだ。

『SBS』によると、巨済市はRESCENEを市の広報大使に任命し、若く躍動的な都市イメージを発信していく方針を示した。委嘱に関するコンテンツも、従来の形式的なイベントではなく、ショートフォーム活用したデジタルコンテンツ型で制作されたという。

つまり、ユーチューブ内のネタが自治体の広報案件にまでつながったわけだ。

かつてアイドルの地域広報といえば、すでに知名度のあるスターが地域の顔として起用されるものだった。しかし今回の場合、巨済出身のウォニが自分の地元をキャラクター化し、それがミームになり、結果としてグループ全体が巨済市の広報大使になるという流れができた。

地元ネタが、ショートフォームで拡散され、現実の仕事を呼び込む。ウォニのYouTubeは、メンバー個人の面白さを見せるだけでなく、RESCENEに新しい活動の場まで作ったことになる。

公式を超える個人チャンネルが抱えるリスクと課題

ただし、個人チャンネルが公式チャンネルを上回ることは、良いことばかりではない。

ウォニを知っている人が増えることは間違いなくチャンスだが、その人たちがRESCENEの音楽にまでたどり着くかどうかは、また別の問題になる。

「ウォニは知っているけど、RESCENEの曲は知らない」「巨済ヤッホーは見たけど、公式MVは見ていない」といった状態が長く続けば、個人のミームだけが先に消費され、グループ本体が置き去りになる可能性もある。

RESCENE公式よりウォニ個人チャンネルが強いという現象は、チームにとって大きな追い風であると同時に、課題でもある。

個人チャンネルで入ってきた視聴者を、どうやってRESCENEの音楽や公式活動へつなげるのか。そこが、これからの勝負になる。

ウォニのYouTubeチャンネルがRESCENE公式を超えたことは、いまのK-POPで何が入口になるのかを端的に示しているといえるかもしれない。

完成されたステージや美しいミュージックビデオも重要だが、ショートフォーム時代には、メンバーの方言、地元感、予想外のキャラクター、友達同士のような空気が、グループを知る最初のきっかけになり得るということだ。

ウォニ(写真提供=OSEN)

個人から始まった注目を、RESCENEがどうチームの力に変えていくのか。

ウォニのユーチューブが示したのは、中小ガールズグループの新しい可能性であり、同時に次の課題でもある。

(記事提供=スポーツソウル日本版)