細木数子はなぜ一般人だけでなく“ヤクザ界隈”にも愛されたのか…元極妻が考える「女ヤクザ」と呼ばれた理由
広域系三次団体組長だったオットが獄死。著書『極姐2.0:ダンナの真珠は痛いだけ』(徳間書店)を持つ、本名・出身地もろもろ非公開の元極道の妻がリアルな暴力団の世界を語る。
《写真を見る》和田アキ子、美川憲一、木梨憲武などの芳名札がズラリ、細木のお別れの会での祭壇
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細木数子さんのNetflixのドラマ『地獄に堕ちるわよ』が話題ですね。細木さんは占い師としてテレビや講演会に引っ張りだこでしたし、「占いの本を世界一売った人」としてギネスブックにも掲載されている、もはや説明不要の人ですが、まあヤクザ業界でも人気がありましたね。
ヤクザも、細木さんのような「お金の匂いがする人」や「迷っている時にビシッと言ってくれる人」は好きなんです。それに、ヤクザには「占いやスピリチュアル系の人」も人気があります。
表には出てきませんが、「大親分御用達の占い師さん」はけっこういらっしゃいますよ。私もごあいさつだけさせていただいたことは、何回かあります(笑)。
そもそも当たり前ですが、普段の細木さんは常に「地獄に堕ちるわよ」とスゴんでいたわけではないですよね。テレビでは「怖いマダム」を演じておられましたが、素顔は普通にやさしくて楽しい方だったとお聞きしています。
細木さんが1974年にオープンした赤坂のディスコ「マンハッタン」で、 DJをしていたDJ ATOMさんの著書『終わりなき魂(ソウル)』(工パブリック)には、当時のエピソードが紹介されています。
1970年代の赤坂は、MUGENやビブロスなど著名人の集まるオトナのお店が多く、マンハッタンもその一つでした。 ATOMさんは1976年にDJのキャリアをマンハッタンでスタートしています。 当時の社長は、演歌歌手の島倉千代子さん。当時の細木さんは六占星術ではなくタロットにハマっていて、親しいタロット占い師さんを連れていたとか。スタッフは「ほぼ強制的に」占ってもらっていたそうで、細木さんはもともと占い好きだったのですね。
山口組、住吉会、稲川会──細木さんをめぐる極道人脈
Netflixドラマでは、戦後の混乱期を生き抜いた細木さんの「光と闇」が描かれています。公式の原作ではありませんが、『細木数子 魔女の履歴書』(溝口敦、講談社/2006)には、細木さんのご両親が戦後の渋谷で、カフェーやおでん屋さんなどを経営していたこと、安藤昇親分率いる安藤組など渋谷の不良ともつながりがあったことが書かれています。
当時の「カフェー」とは現在の喫茶店とは異なり、女性従業員が接客する社交場・飲食店で、細木さんも美人で有名だったとか。ハイティーンの頃からスタンドコーヒー店やクラブの経営を手がけています。
20歳で銀座にクラブをオープンするほどですから、商才があったんですね。
同じく溝口先生の『喰うか喰われるか 私の山口組体験』(講談社/2021年)では、先生が親分衆から執筆中止を求められた経緯を明かしてます。
六代目山口組弘道会傘下・司興業の森健司組長(肩書は当時)は、「彼女は悪い女じゃないし、テレビでもいいことも言っている」と言い、元住吉会の金子幸一氏は、「細木は悪いことをしていないよ」「擁護するように書いてくれないか」と、溝口先生を「なかば恫喝するように言った」そうです。
さらに、細木さんは稲川会系の小金井一家・堀尾昌志総長と事実婚の関係にありましたが、極道の夫を支える「極妻」ではなく、「女ヤクザ」だったと溝口先生は書いています。「女ヤクザ」とは、男性のヤクザと同じようにシノギ(資金獲得活動)をして、組織を仕切る、という意味なのでしょう。
細木さんはプロ野球の優勝予想でも知られています。亡きオットはそれについて、「ヤクザルートで事前に知っていた可能性がある」と冗談まじりに言っていましたが、もちろん真偽はわかりません。ただ、極道の側から見れば、細木さんは"占い師"というだけでなく、金と人脈と情報を持つ人に見えていたのだと思います。
「女ヤクザ」と呼ばれた理由
溝口先生や佐野眞一先生は著書で細木さんの"シノギ"について詳しく書かれています。シノギに関連した他組織の若い衆や、堀尾総長の子分にも「指を詰めろ」と迫ったこともあると記されていますが、自分の親分でもない、しかも女性にそんなことを言われたら、若い衆でも怒るでしょう。
元極妻の私からみても、そんなことを言えるのは「妻」ではありませんね。極妻でこれを言えるのは映画『極道の妻たち』で岩下志麻さんが演じた組長の妻くらいでしょう。それがまかり通ったというのは、やっぱり「お金を持っている」からだと思います。
その"金の力"をうかがわせる証言もあります。元山口組組員で右翼団体の総裁だった早川明生氏は2005年、細木さんの暴力団人脈や霊感商法疑惑などを問題視し、TBSに対して番組出演中止を求める抗議文を送っています。もっとも、この抗議によって細木さんのテレビ出演がただちに止まることはありませんでした。
早川氏は溝口先生の取材に対し、「細木が関東、関西と複数の暴力団幹部にそれぞれ数億というカネを渡し、私の口封じを頼んだってことは伝え聞いている」と語っています。
ヤクザもカタギさんも「お金の匂いがする人」と「迷いを断ち切るようにズバリ言う人」は好きですよね。細木さんは、その両方を持っていた。だからこそヤクザにもカタギさんにも強烈に支持されたのだと思うのです。私もお会いしたらファンになっていたかもしれません。
【プロフィール】待田芳子(まちだ・よしこ)/本名・出身地もろもろ非公開の元極道の妻。広域系三次団体組長だったオットが獄死。その後は普通のオバサンとして生きようと思ったのに、暴力団排除がひどすぎで声を上げずにいられなくなり、いろいろ発信している。著書に『極姐2.0』(徳間書店・2018年)がある。
