商社でも金融でもない…イラン情勢悪化の厳しい環境下でも「最高益の更新を狙う超優良企業」5選

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3月期決算企業の決算発表が概ね一巡した。注目された来2027年3月期ガイダンス(期初計画)は、イラン情勢の悪化に伴う原油高や供給網混乱により、約4割の企業が「減益」または「未発表」としている。日経平均株価は最高値圏を維持するなか、企業業績の全体像は必ずしも絶好調ではない。

こうした厳しい環境下にあっても、最高益の更新を見込む新年度見通しを発表した企業の評価は高まりやすいと考える。とりわけ注目したいのは、収益力の向上を伴って最高益の更新を狙う企業だ。経営体質の変革や事業領域の深化を進めているケースが目立ち、持続的な収益成長が期待できる。

関電工<1942>

5月15日終値6845円 配当利回り(予)1.90%

AI(人工知能)インフラへの投資拡大を背景に、民間建設投資が急増している。2026年3月期の連結経常利益は前期比42.8%増の849億円と大幅増益を達成し、2027年3月期も前期比6.5%増の905億円に伸びを見込み、4期連続で過去最高益を更新する見通しとなった。牽引役はデータセンターや半導体工場向けの大型電気設備工事だ。電気工事の需要は案件等が豊富な一方、供給力が限られており、需給逼迫が継続している。受注時採算は上昇トレンドが継続しており、中期的にも増益ストーリーが続く可能性は高い。

脱炭素や防災・BCP(事業継続計画)などの要請に応えるリニューアル提案にも注力しており、受注が多様化していることも利益率の改善に直結している。これまでは東京電力グループへの売上依存度の高さが指摘されることの多かった同社だが、民間受注の多様化により、事業の安定性は従来以上に強固なものとなった。

自己資本比率61.4%と健全な財務体質を維持しており、財務面の安定感も際立っている。配当は前期の124円から今期130円に増配する方針で、6期連続増益となる見通しだが、配当性向の方針は40%程度が据え置かれたままだ。同業他社比で総還元性向は低く、株主還元余地は大きいと考える。

サイバートラスト<4498>

5月15日終値1102円 配当利回り(予)1.27%

マイナンバーカードを活用した電子署名の普及や、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化に伴う本人確認需要の急拡大が追い風となっている。注目すべきは、「認証・セキュリティサービス」が一種の社会インフラとして機能し始めている点だ。2026年3月期は売上高83.6億円(前期比12.3%増)、営業利益16.49億円(同16.0%増)と増収増益を達成し、2027年3月期も引き続き成長を見込んでおり、デジタルトラスト事業の拡大が期待される。一度採用された電子証明書サービスは更新型の継続収入(ストック収益)へとつながるため、景気変動に左右されにくい収益構造を持つ。

過去10年の経常利益の平均成長率32.61%という持続的な成長力は群を抜いている。電子認証サービス「iTrust」の伸長やLinuxサポートの堅調な推移が業績を牽引し、自己資本比率も69.5%に上昇している。

2027年3月期は、犯罪収益移転防止法の改正(2027年4月)に向けてマイナンバーカードを活用した本人確認の仕組みが本格化しよう。AI生成のフェイク画像・動画と見分けるためのコンテンツ信頼性保証関連サービス等、同社の技術が活用可能な領域は幅広い。着実な中期成長が見込めよう。

兼松<8020>

5月15日終値2303円 配当利回り(予)3.04%

防衛省や重工メーカー向けのITインフラ需要が急増し、ICTソリューションや電子・デバイス事業が好調。2026年3月期の連結最終利益は325億円(前期比18.4%増)と増収増益で着地した。ROE(自己資本利益率)は17.0%と高水準を維持している。続く2027年3月期も350億円(同7.6%増)に伸び、4期連続で過去最高益を更新する見通しだ。

特筆すべきはICTソリューション部門の躍進だ。防衛産業・半導体分野向けサーバー・ストレージ、流通業向けネットワーク、さらにサービス・セキュリティ需要が一体的に拡大している。もはや機器販売だけにとどまらず、保守・運用サービスを含む高付加価値ビジネスへと進化しつつある。従来の「総合商社」から、技術的知見を付加した「専門商社」としてのソリューション型ビジネスへの転換が進んでいることを立証している。

電子・デバイス、食糧、鉄鋼・プラント、車両・航空の4領域に特化し、各分野での深い知見と顧客ネットワークを積み上げてきた強みは、防衛予算拡大を背景とした独占的地位を構築している。収益の軸足がストック性の高いICT・サービス分野にシフトするなか、PER(株価収益率)は兼松の構造変化を織り込み切れていないと感じる。

グローバル・セキュリティ・エキスパート<4417>

5月15日終値2809円 配当利回り(予)1.75%

サイバーセキュリティ専業として急成長を続けている。2026年3月期は売上高25.2%増の110.22億円、営業利益38.6%増の22.38億円となり、すべての利益指標で過去最高を更新した。2027年3月期も25.0%の増収と31.3%の営業増益を見込んでおり、持続的な成長が期待される。

同社の強みは、システムのセキュリティ上の弱点を発見する脆弱性診断サービス、セキュリティ教育、コンサルティングを一気通貫で提供できる総合力にある。中堅・中小企業向けに太いパイプを持ちながら、サイバーセキュリティの実装・運用支援、セキュリティ人材の育成までを手掛けることで、単発の診断サービスにとどまらず、継続的な顧客関係を構築できる。

米アンソロピックがAIモデル「クロード(Claude)」にセキュリティー機能を追加したことで、サイバーセキュリティ関連企業の存在感の低下を危惧する声が一部で高まっている。しかし、同社のようにヒトの介在が必要な事業モデルへの影響は限定的だろう。むしろ、セキュリティ人材の育成強化は国家レベルでの緊急課題となる。AI活用による技術革新に伴って存在感も年々高まる期待があろう。

日本アビオニクス<6946>

5月15日終値5980円 配当利回り(予)0.25%

「アビオニクス」とは航空機・宇宙機器に搭載される電子システムの総称だ。その名を冠する同社は、防衛・宇宙関連の情報システム事業を主力に、近年急速な業績拡大を遂げている。2026年3月期の経常利益は97.6%増の53.58億円と約2倍増となり、事前の好業績期待をさらに上回る勢いで着地した。2027年3月期の経常利益は10.1%増の59億円を見込んでいる。

原動力は防衛予算の増額だ。政府は防衛費をGDP(国内総生産)比2%へ拡充する方針を掲げている。同社は艦船や潜水艦などの指揮管制システムの情報表示装置(モニター)や、上空の飛翔体などをレーダーで感知して指揮統制を行う自動警戒管制システムなどに強みを有している。今後も防衛力強化が続くとみられ、継続的な業績拡大が見込まれる。

主力の情報システム事業の売上高営業利益率は約20%と高い収益力を持つ。信号処理や画像処理といった技術力に強みを持つだけでなく、耐環境性に優れた情報表示システムを提供できる点が強みだ。また、接合機器・赤外線センシングを担う電子機器事業も回復軌道にあり、複数の成長エンジンが同時に稼働している。受注残高が積みあがっていることを考慮すれば、2027年3月期も上振れ基調が続く公算は大きい。

景気に流されず、自ら稼ぐ力を高めている企業の株価は、中長期的に株式市場から評価を得やすい。継続的な増配やM&A(合併・買収)による事業の組み替えなど、株主還元と成長投資を両立させる優位性を持つ企業としても注目できるだろう。

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