ガス代2.5倍、電気代3倍の絶望…スーパー銭湯店主に聞く、徹底したコスト削減策「お湯の量を少なめにはできないから…」
一般家庭にとっても光熱費の上昇は痛いものだが、ガス・水道・電気を多く必要とする「スーパー銭湯」は、もろに影響を受けるのではないか。
厳しい現状と今後に向けた対策を、横浜市のスーパー銭湯「ファンタジーサウナ&スパおふろの国」の店主・林和俊氏に聞いた。
政府の「電気・ガス料金負担軽減支援事業」によって拠出されていた補助金が、2026年3月検針分で終了し、4月以降は価格が上がる(元に戻る)ことになる。
そればかりか、物騒な世界情勢や歯止めの効かない円安によって、光熱費の値上げは続いている。
常に大量の湯を沸かし続けるスーパー銭湯からすると、ガス代は節約でどうにかなるレベルを超えている。
同店のガス代について「月によって変動は大きいんですが、比較的安かった2020年と今年を比べると2.5倍くらいになっています」(林氏、以下同じ)と話す。
当時と現在では、契約体系も変わっているので単純比較はできないというが、本来は「出して当たり前」であるお湯が、今は出し続けるだけで赤字になりかねないわけだ。
また、電気は再生可能エネルギー普及のために徴収される賦課金の単価が上昇している。こちらも2020年と比較すると1kWhあたり1円以上の値上げ。一般家庭(4人世帯)でも月に300kWhの電気を使うため、大きな施設となればその影響もそのまま跳ね返ってくる。
さらに、単純に電気料金自体も価格は上がっており「2020年と昨年の請求額を比べると、3倍以上になっている月もありますね」とのこと。
◆涙ぐましい経費削減策の数々
これほどの光熱費の上昇があるが、反射的に入浴料金などに転嫁できないのが経営の難しいところ。
そのために同店では、「まず、ボイラーを新しいものに変えて、使用料としては2割ほど減らしました」という。しかし、「ガスの契約形態が、ある程度使わないと安くならないものなんですよ。だから、省エネになっても経費の削減には繋がっていないですね」と話す。
さらに、湯温をコントロールすることでもガス代の抑制をしている。「数年前、複数ある湯船のうちで一つだけ『あつ湯』にして、夏場は他の湯船をぬるめに設定するようにしました。これは、ガス代を抑える効果もありますが、温度帯を変えることでお客様も楽しんでいただけています」と林氏。
昨今は酷暑もあり、夏場は「不感湯」と称して36度ほどの湯温の浴槽を作っている温浴施設もよく見かける。ゆっくり浸かっていられることから長湯好きには人気だ。
電気代を抑えるためには「まず、価格を比較して東京電力ではない業者に変更しました。さらに、脱衣所などでは工業用の扇風機を5〜6台並べています。それによって、エアコンの設定温度を少し上げても涼しさは担保できるようにしました」と、涙ぐましい策を講じている。
◆開業時は「入浴料500円」だったが…
しかし、光熱費ばかりではなく人件費の高騰もあり、こうした努力も焼け石に水の状況。2年前に致し方なく入浴料金を850円から950円に値上げした。
「値上げ直後は、やっぱりお客さんは減りました。開業した2000年当時は、入浴料500円だったんですよ。それに比べると、『高くなったな』と思われるでしょうが、今ではそんな価格では到底やっていけなくなりましたね」
この苦境の中でも、同店が営業を続けられるのは「人の力」であるようで「現在のサウナブームが到来するより以前から、熱波師を招いてサウナを盛り上げてきた取り組みが実を結んでいるのかもしれません。パフォーマンスを目当てに来店してくださるお客様も多く、経営の面でも非常に大きな支えとなっています」と話す。
