日経平均株価の爆上げの陰で「高値更新の期待」が膨張中!「バイセル」「テラドローン」グロース市場銘柄5選

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出遅れ修正に期待の東証グロース指数

東証グロース市場は、高い成長可能性を持つ企業が集う市場だ。2022年4月の市場再編によってプライム・スタンダード・グロースの3区分が誕生した。このうちグロース市場は、最もダイナミックな成長が期待できる舞台…となるはずだった。だが現実は厳しい。プライム指数が算出開始以来、約2倍の上昇を遂げる一方で、グロース指数は横ばいの推移が続き、大きく水をあけられている。

ただ、その状況も徐々に変わる条件を整えつつある。東証は2025年11月に「グロース市場における今後の対応」を公表した。その核心部分は、上場維持基準を従来の「上場10年経過後、時価総額40億円以上」から「上場5年経過後、100億円以上」へ大きく引き上げたことだ。上場維持基準を見直すことで、成長が見込めない企業は長く居座ることができなくなる。高成長を追求する企業だけを集い、投資資金を集中的に流し込む好循環を実現する狙いだ。

新基準は猶予期間(経過措置)を経て、2030年3月期末から順次適用される。公表直後のグロース市場は、退場を余儀なくされる企業が直面する「2030年の壁」を逆算して動き始めたが、直近5月8日時点では1,046ポイント台まで回復し、2023年6月の高値1,100ポイントに迫る勢いを見せている。新高値をブレイクすれば、2030年に向けた「質の向上」を先読みし始めた予兆となるかもしれない。

アクセルHD<402A>

・5月8日終値703円 時価総額466.72億円

「最後のフロンティア」とも言われる宇宙空間を商業ベースで切り拓く企業がアクセルHDだ。汎用型小型衛星の開発・量産能力において国内随一の強みを持つとみられる企業で、防衛省向けの小型光学衛星を用いた衛星データ販売が今後5カ年の利益成長を牽引すると予想される。

2027年5月期は引き続き先行投資費用が見込まれるが、高分解能衛星の運用が本格化する2029年5月期には営業黒字が視野に入るだろう。今年7月発表予定の2027年5月期見通しで黒字化計画が示されるか否かが、株式市場の評価を一変させる期待もある。

株式市場からの関心がまだ低いとみられる「AxelLiner事業」(小型衛星の開発・製造事業)だが、次期防衛力整備計画の内容次第で複数の小型衛星コンステレーション計画(多数の衛星で地球を覆うネットワーク計画)が立ち上がる可能性がある。官需(政府・公的機関向け需要)の拡大が確認できた段階で、防衛関連企業としての評価が定着すれば、株価には相当の再評価余地があると考える。

バイセル〈7685〉

・5月8日終値3,280円 時価総額2025.96億円

薄利多売のイメージが強い中古品買取ビジネスだが、バイセルの歩んできた成長軌道はこうした先入観を着実に覆してきた。もはや「バイセル」と「福ちゃん」の2ブランドで出張訪問買取事業の一強ポジションを確立しつつあり、2026年1月の月次仕入高は前年同期比54%増、2月が同48%増と力強いトレンドが継続している。2026年12月期の営業利益は会社計画を十分達成できると予想され、5月14日の決算発表でこの勢いの裏付けが取れれば、業績評価は一段と高まりそうだ。

2026年12月期からは自社開発プラットフォーム「Cosmos」のグループ企業への導入が始まる。M&A(企業の買収・合併)先への展開により、買取・販売の価格適正化と人時生産性(1人当たりの作業効率)の向上が期待でき、早期のPMI効果(買収後の企業統合によるシナジー)の発現が見込まれる。

拡大が続くリユース市場の中で、同社は中心的プレーヤーとしての地位をさらに固めようとしている。2027年12月期以降は店舗拡大・M&A・海外販路という三つの成長エンジンが揃う。リユース業は一般的な小売業に対して買取・個品による特殊対応が必要となるため、多店舗展開するには査定・真贋・在庫管理などのDX化が不可欠だ。Cosmosの普及が次なる成長エンジンとなる期待は大きい。

動物高度医療〈6039〉

・5月8日終値1,349円 時価総額194.13億円

JARMeC(ジャーメック)の略称を持つ動物高度医療は、犬・猫向け二次診療(かかりつけ医では対応しきれない専門的・高度な医療のこと)で国内首位に立つ企業だ。時価総額は小粒だが、現代社会においてペットは「家族の一員」。そうした時代にペットの高度医療を担う企業の評価見直し余地は大きいと考える。

ここにきてペット飼育数は頭打ち傾向にあるが、長寿化・家族化という構造変化が二次診療需要を着実に押し上げている。連携病院数は2026年3月期第3四半期末で4,749施設(前年度末比2.2%増)と増加が続き、診療数の拡大は続こう。27年3月期以降は診療価格の値上げ効果一巡で成長ペースの鈍化が予想されるが、人件費上昇への対応としての価格見直し余地は十分にある。5月15日の決算発表で価格政策の動向が確認できれば、次の成長シナリオの輪郭が鮮明になる。

他社による市場参入も増えているが、JARMeCの比較優位性は強い。循環器科・呼吸器科など専門獣医師が高度医療機器で診療を行う体制は、資本力・対応力・ネットワーク力のすべてで競合に先行する。年中無休体制やチーム医療体制(複数の専門獣医師が連携する診療体制)は一朝一夕に模倣できず、連携病院のネットワーク効果が参入障壁を高めている。

Kudan〈4425〉

・5月8日終値2,930円 時価総額331.09億円

人工知能が現実空間を知覚し、行動し、学習する空間知覚テクノロジーは、フィジカルAI(現実世界で動くロボットや機械を制御するAI)が発展するための核心的な技術だ。自動運転・ロボット・ドローンなど先進領域の「目と脳」に当たる技術と言える。KudanはSLAM(Simultaneous Localization And Mapping、自己位置推定と環境地図の同時構築を行う人工知覚技術)を提供するディープテック企業だ。世界トップレベルの研究者約30名を擁する点に圧倒的な強みを持つ。

フィジカルAI市場への投資拡大を背景に、デジタルツイン(現実空間をデジタル上に再現する技術)向け製品の販売が伸長し、営業損失は徐々に縮小しつつある。2026年2月にクラウド版が開始された「Kudan PRISM」は現場での利用を可能にし、顧客裾野の拡大が期待される。2027年3月期以降の拡販でライセンス収入(顧客製品の売上に連動する継続収益)の積み上がりが見えれば、収益モデルへの評価が変わる局面が近づくだろう。

現状は営業赤字が継続中だが、赤字縮小トレンドが続く中での5月14日の決算は、ビジネスモデルの転換期が近づいているかどうかを見極める格好の機会となる。国内外で案件が積み上がっており、売上拡大の実現可能性は高まりつつある。

テラドローン〈278A〉

・5月8日終値13,400円 1303.55億円

テラドローンは2026年3月、防衛装備庁からモジュール型UAV(無人航空機)「300式」の受注を発表した。受注金額は約1億1,500万円で、同社にとって初の防衛装備庁向け案件となる。民間向けドローンソリューションで培った技術を安全保障領域へ橋渡しした、象徴的な一歩だ。株価はビッグチェンジを織り込む段階にある。

同年3月には防衛装備品市場への参入と米国子会社の設立を発表し、ウクライナ企業Amazing Drones LLCとの資本業務提携締結および新型ドローン「Terra A1」の発売も決定した。無人アセット(ドローンや無人機など人が搭乗しない装備やシステム)を活用した防衛技術の重要性が高まる中、次期防衛力整備計画の内容次第では防衛向け案件がさらに積み上がる可能性がある。

当面はインドネシア子会社の火災や既存事業の下振れ影響が続くとみられ、四半期ごとの業績変動は依然大きいだろう。ただし、短期的な不確実性が株価水準を抑えているならば、防衛事業の本格展開が数字で確認できた段階での評価見直しの余地は大きくなりそうだ。国内外ともにドローンソリューションの市場ニーズは高く、中長期での成長は可能と考える。

これまでグロース市場がプライム市場に立ち遅れた最大の理由は、「出口戦略(イグジット)としてのグロース上場」が横行したことにあるといって過言ではないだろう。東証によるグロース市場改革が本格化する転換点を迎えたことで、基準割れが濃厚な企業は振るい落とされることは必至となろう。その一方で、基準をクリアできそうなエリート企業群が指数を引っ張る二極化展開となることが予想される。

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