【穂積 昭雪】千葉県の元板前見習いが作った「39歳中年男性の太もも炒め」…人肉料理を夢見た殺人犯が語った「味の感想」

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千葉県の「人肉の油炒め」

カニバリズム」という言葉がある。これは「人間が人間を捕食する行為」のことで、宗教的な儀式や飢餓など実に様々な要因によって起こる。

日本においては仏教の伝来以降、獣を含む肉食が敬遠されていたほか、明治以降の日本では記録的な飢饉が発生しなかったこともあり、海外に比べ「人肉食」に関する事件は非常に限られている。

だが、それでも昭和期には想像を絶するカニバリズム事件があった。

本稿では「油いため」および「ラーメン」の豪華メニュー二品を紹介していきたい……。

千葉県南西部、東京湾の東寄りに位置する千葉県木更津市は、平成時代に東京湾アクアラインが開通したことで今ではベッドタウンのひとつとして数えられている。

だが、昭和時代の木更津は工場や製鉄所のほか、避暑地としての需要がメインであり、住宅はそこまで多くなかった。

そんな木更津市で世にも恐ろしい「人肉の油いため」が作られたのは、1976年(昭和51年)3月のことであった。

3月5日、千葉県木更津市の山中で中年男性のバラバラ死体が見つかった。段ボールやビニール袋に首、両腕、両足などが収められた状態で、ところどころ腐敗していた。野犬に食われ骨がむき出しになっている箇所もあったという。

検視の結果、殺されたのは木更津市に住む工員の綿貫多満雄(仮名)という39歳の男性であった。

5万円を強奪するだけでなく…

綿貫は32歳の頃に酒癖の悪さから妻と離婚。以来、市内の実家で母親と共に暮らしていたが数日前から会社に現れず行方不明となっていた。綿貫は酒癖こそ難はあったものの、勤務態度は真面目で他人から恨まれるようなことはなかった。

あまりに手がかりが少ないことから「これは迷宮入りか……」と警察は頭を悩ましていたというが、意外にも遺体発見からわずか6日後に本事件は解決となった。

綿貫が行方不明となった当日の足取りを追うと、彼と一緒にいたと思われる男性も行方をくらましていたのだ。

男の名は加津茂雄(仮名)といい、その日飲み屋で知り合った綿貫の所持金5万円を強奪するため酩酊するまで酒を飲ませ、連れ込んだ自宅で解体し山の中へ捨てたのだという。加津は容疑を認めており、殺人および遺体遺棄の疑いで逮捕された。

さて、ここまでであれば、現金目的のバラバラ殺人事件である。事実、大手新聞の多くは加津が逮捕された時点で本事件の報道を終えている。

だが、実は本件には世にも恐ろしい強烈な「後日談」が存在する。それは加津が「どのようにして綿貫の死体をバラバラにしたか?」である。

「人肉はうまいらしい」という冗談を信じて…

取り調べに対し加津は「実は……」と死体処理の詳細を語りだした。

かつて板前を目指していた加津は、見習い時代の友人たちが語った「人肉はうまいらしい」という冗談を本気で信じ込み、料理の知識を活かして自宅で「人体解剖」を行ったのだという。道具は小魚を卸すためのアジ切り包丁と、まな板代わりのベッドのみであった。

まずベッドの上で寝ている綿貫の右胸にアジ切り包丁を突き刺して殺害。その後は首を切断し、人体の中でも柔らかい右腕、左腕のそれぞれの脇から包丁を差し込み、さらに腹から腰骨に沿うように包丁で丁寧に内臓を取り出し解体していった。

魚を捌いた経験のある読者は既にお気づきだろうが、これは鮮魚の「三枚おろし」と全く同じ工程を踏んでいる。

僅かな期間ではあるものの、板前のもとで厳しい修行を積んだ加津にとって、人間も魚も「死肉」という意味では同じだったのかもしれない。

この解体は不眠不休で行われ、およそ22時間もかかったという。だが、その仕上がりには非常に満足していたようで「人の肉はマグロの赤身のように簡単に切れた」と後に述懐している。そしてマグロに似た触感から、人肉を「刺身にして食べる」ことを加津は思いついた。

だが、運悪くワサビ醤油を切らしていたことに気がつき刺身は断念。仕方なく、綿貫の太ももの肉をフライパンと油で調理する「油いため」に切り替えることにした。

すさまじい悪臭

油を吸った太ももの肉はフライパンの上で跳ねまわり調理は難しかったようだが、最終的には塩と胡椒で味を調えることでなんとか「人肉炒め」が完成した。加津にとって夢にまで見た念願の人肉料理だったはずだ。

ところが、加津は炒めた人肉を口に運ぶのを躊躇したという。油で炒めた人肉は、牛や豚とは違った凄まじい悪臭を放っており、箸でつまむまでが限界だったのだ。

加津は後年「人肉があんなに臭いものだとは思わなかった」「箸でつまんで口に入れようとするだけでムカッとする。人間なんて無理に食べるものじゃない」と語っており、人肉料理は失敗に終わった。

だが本事件から2年後、とても食べられたものではないはずの「人肉料理が不特定多数の人に提供される(?)」猟奇事件が東京で発生、世間を騒がせることになる。

つづく記事〈29歳ヤクザの手首をグツグツ煮込んだ「荒川区の人肉ラーメン事件」…東京都内のラーメン屋台の売り上げを激減させていた〉では、この第二の人肉料理を紹介したい。

【つづきを読む】29歳ヤクザの手首をグツグツ煮込んだ「荒川区の人肉ラーメン」…東京都内のラーメン屋台の売り上げを激減させていた