木内敏之氏の公式ホームページより

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昨年11月投開票の茨城・神栖市長選挙をめぐり県選管が先月28日、市長の当選は無効と判断した。当落を覆す異例の判断に対し市長側は裁決を不服として、東京高裁に提訴する方針を示した。

市長選は、実家が明治34年創業の「木内製菓」の和菓子店を営む木内敏之氏と当時現職で3期目を目指した石田進氏の一騎打ちで争われた。得票数はいずれも1万6724票で、公選法の規定に基づき、くじ引きで木内氏が当選した。

だが、市選管は石田氏陣営の異議申し立てを受けて全票を再点検。きっかけは、「まんじゅうや」「だんごさん」と投票用紙に書かれた2票を木内氏の有効票と扱い、これに石田氏陣営が異議を唱えたが、結果は変わらず棄却された。すると同陣営は翌12月、県選管に審査を申し立て、県選管は有効か無効かの判断が必要な231票を抽出して審理を進めていた。

裁決では、木内氏の実家が和菓子店を営んでいることから、市選管が木内氏の得票と判断した「まんじゅうや」と「だんごさん」と書かれた2票の有効性が焦点となった。

およそ半年後の先月28日、県選管はこの2票について、公選法や判例などを基に無効と判断。同日、会見に応じた県選管の星野学委員長は「投票用紙には候補者の氏名を書かなければならないと規定されている。木内氏の通称として広く使用されていると認めるに足りる証拠はない」と説明した。

また、石田氏の得票とされた1票は、候補者名を書く枠の外にある注意書きの漢数字が「○」で囲まれていたものだった。候補者名以外の「他事記載」に当たり、公職選挙法の規定に基づき無効としたという。よって、選挙結果は石田氏1万6723票、木内氏1万6722票、無効票222票となり、県選管は市選管の棄却決定を取り消した。

「まんじゅうや」が認められるかどうか

裁決の内容は今月11日に予定される県報に告示される。裁決を不服とする場合は、告示から30日以内に東京高裁へ提訴できるとし、木内氏の市長職は当選無効が確定するまで失われない。

仮に裁決確定前に辞職した場合でも再選挙にならず、石田氏が繰り上げ当選となる。提訴がなく、裁決が確定すれば同市が選挙会を開き、新たな当選人を決めるとしている。また、県選管によると県内の市町村の首長選や議員選で投票の効力が争われ、県の裁決により選挙結果が覆ったケースは記録が残る昭和55年以降で初めてとなるようだ。

この結果について、先月29日放送のフジテレビ系報道番組「Live News イット!」のVTRで木内氏は「全く納得がいかない。直ちに高等裁判所に異議を申し立てたい。神栖で私を『まんじゅうや』と呼ばない人はいない」と憤りをあらわにし、「市政運営や財政再建の方針は全く変えるつもりはない。市民には冷静に判断しながら見守ってほしい」と訴えた。

一方の石田氏は、「結果は覆るものと思っていた。県選挙管理委員会が非常に時間をかけて、慎重に慎重を重ねて公正に見てくれた結果なので、大変重く受け止めている」として、「くじでの決着には納得していなかった。市政運営を担わせてもらいたい」と市長選での不満をぶちまけた。

さらに、神栖市選挙管理委員会の境政一委員長は「審査庁である県選管の裁決は市選管の判断と異なるものとなったが、真摯に受け止める。出訴期間中で確定には至っていないので、法定期間の経過後、公選法にのっとった対応をしていく」とコメントした。

市選管は「まんじゅうや」が市民らに浸透していた呼称だとして「木内氏を指し示すものと考えられる」との立場を示したが、県選管は「広く使用されていると認めるに足りる証拠はない」と判断した。

そもそも、立候補者氏名以外でも有効票になっていたこと自体に驚くばかりである。