「麻酔ありの胃カメラ」の”3つの注意点”はご存じですか?見つかる病気も医師が解説!

胃カメラの麻酔後の注意点はどのようなものでしょうか。メディカルドック監修医が麻酔後の注意点・検査後の症状・見つかる病気について解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

※この記事はメディカルドックにて『「胃カメラで麻酔」は必須なのか?種類・検査後の症状や注意点を医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
木村 香菜(医師)

名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

胃カメラに麻酔・鎮痛剤は必要?

胃カメラでは苦痛を減らすために麻酔や鎮静剤を使うことが多く、「麻酔を使った方が楽」と思われる方もいらっしゃるでしょう。とはいえ、必ずしも全員に麻酔が必要というわけではなく、検査に対する不安の強さや体質、過去の経験によって適した方法は変わります。この記事では、胃カメラで用いられる麻酔の種類や特徴、検査後の注意点、さらに胃カメラで見つけられる病気まで、解説します。気になる症状がある人は、これを機に検査の選び方について理解を深めてみてください。

胃カメラがつらいと言われる主な理由

胃カメラが「つらい」と言われる大きな理由は、喉をカメラが通るときに起こる強い嘔吐反射と、観察のために胃へ空気を送り込む際の膨満感です。特に喉の反射が強い人は、涙が出たり息が詰まるような感覚を覚えたりして、検査そのものに恐怖心を抱くことも少なくありません。この苦痛を軽減する目的で用いられるのが、局所麻酔や静脈麻酔(鎮静剤)です。

胃カメラで静脈麻酔・鎮痛剤を使うメリット・デメリット

静脈麻酔を使用すると、ウトウトとした半分眠ったような状態で検査を受けることができ、つらさは大きく軽減されます。緊張が強い人や過去に検査が苦しかった経験がある人では、静脈麻酔によって検査そのものへの抵抗感が減り、よりスムーズに進められます。一方で、静脈麻酔には副作用や回復までの時間が必要である点も忘れてはいけません。検査後に眠気が残ることがあるため、当日の運転はできず、短時間の休憩と見守りが必要になります。

こうしたメリットとデメリットを考えると、麻酔を使うかどうかは「検査の負担をどれだけ軽減したいか」「安全面をどう確保するか」を踏まえたバランスで決められるべきものと言えます。

胃カメラ麻酔後の注意点

麻酔後は、安全のためいくつか注意すべき点があります。

胃カメラ後の運転は何時間後から可能?

局所麻酔では、喉の違和感が消えるまでは飲食を控える必要がありますが、比較的早期に普段どおりの生活に戻れることが多いでしょう。対して静脈麻酔は、覚醒後も判断力が低下している可能性があり、当日は車の運転が禁止されています。

胃カメラ後の仕事・日常生活の注意点

局所麻酔後であれば通常通りの仕事・生活は可能と考えらえます。一方、静脈麻酔を使用した場合は判断力が低下する場合がありますので、集中力が必要な仕事は避けた方がよいでしょう。

授乳は麻酔ありの胃カメラ後いつから再開できる?

授乳中の人は特に心配されることが多い部分ですが、局所麻酔であれば通常は当日から授乳を再開できます。静脈麻酔の場合も、薬剤の種類によっては数時間空けるだけで問題ないとされており、心配な場合は医師に確認しておくと安心です。

麻酔ありの胃カメラ後の症状例

喉が痛い・違和感がある

胃カメラの挿入では、細い内視鏡が喉を通過するため、一時的に粘膜がこすれて軽い炎症が起こることがあります。その結果、検査後に「喉がイガイガする」「飲み込むと少し痛い」といった違和感が残ることがあります。多くの場合は数時間~半日ほどで自然におさまり、日常生活に支障をきたすことはほとんどありません。温かい飲み物を少量ずつとったり、喉に負担の少ない食べ物から始めたりすることで、症状の改善を助けられます。

だるさ・眠気が残る

静脈麻酔(鎮静剤)を使った場合は、薬の効果がゆっくりと抜けていくため、検査終了後もしばらくは体が重く感じたり、眠気が続いたりすることがあります。とくに検査直後は、呼びかけられると返事ができる程度の軽い覚醒状態が続くことがあり、十分に回復するまで時間が必要です。この眠気は自然に取れていくもので、心配する必要はありません。ただし、麻酔の影響で判断力が鈍っている可能性があるため、当日は車の運転や集中力を必要とする作業は避け、できるだけゆっくり過ごすことが勧められます。

麻酔ありの胃カメラに後遺症はある?

胃カメラで用いられる麻酔は、通常は体内で速やかに代謝される安全性の高い薬剤です。そのため、静脈麻酔を使用しても長期的な後遺症が残ることはほとんどありません。まれに、強い眠気が長く続いたり、軽いめまいが一時的に残ったりすることがありますが、時間とともに自然に改善していきます。呼吸が弱くなるなどの重い副作用が起こることは極めて少なく、医療機関ではこうしたリスクに備えて適切なモニタリングが行われています。検査後に心配な症状がある場合は、診療した医療機関へ早めに連絡し、確認することで安心して過ごすことができます。

「胃カメラ」で見つかる病気・疾患

ここではメディカルドック監修医が、「胃カメラ」で見つかる病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

胃炎

胃炎は、ストレスやピロリ菌、薬剤などが原因で胃粘膜に炎症が起こる病気です。胃痛や胃もたれ、吐き気が続くときは受診が必要です。症状が軽くても慢性化することがあるため注意が必要で、消化器内科で診断と治療を行います。

胃潰瘍

胃潰瘍は胃酸の影響で胃の壁が深く傷つく病気で、みぞおちの痛みや背中への放散痛がみられます。ピロリ菌感染や薬の影響が原因となることが多く、薬物治療が中心となります。痛みが続く場合や出血が疑われるときは、早めに消化器内科を受診しましょう。

十二指腸潰瘍

十二指腸潰瘍は、胃酸が十二指腸の粘膜を傷つけて痛みを起こす疾患です。食後よりも空腹時に痛みが強くなることが特徴で、原因としてピロリ菌やストレスが挙げられます。治療は薬物療法が中心で、症状が続く場合は消化器内科での検査が必要です。

逆流性食道炎

逆流性食道炎は、胃酸が食道へ逆流して炎症を起こす病気で、胸やけや喉の違和感が代表的な症状です。肥満や加齢、姿勢なども発症に関わります。症状が長引く場合は生活改善と薬物治療が必要で、消化器内科での診察が適切です。

胃がん

胃がんは胃の粘膜にできる悪性腫瘍で、早期は自覚症状が乏しいことが多く、進行すると食欲低下やみぞおちの痛みが現れます。早期発見が治療成績に大きく影響するため、定期的な胃カメラが重要です。疑わしい症状がある場合は速やかに消化器内科を受診しましょう。

「胃カメラと麻酔」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「胃カメラでと麻酔」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

胃カメラを楽に受けるためには麻酔・鎮痛剤を使用したほうが良いですか?

木村 香菜 医師

苦痛を強く感じる人にとって静脈麻酔は大きな助けになるものの、必ずしも全員に必要ではありません。

胃カメラ検査で使用する麻酔はどんな種類がありますか?

木村 香菜 医師

麻酔の種類としては喉の局所麻酔と静脈麻酔の2つがあり、体質や検査の目的に応じて使い分けられます。

胃カメラ検査で麻酔を使用すると何時間寝るのでしょうか?

木村 香菜 医師

多くが1~2時間ほどで覚醒するものの、個人差によってはもう少し長く眠気が残ることもあります。

まとめ 胃カメラで麻酔を使用する場合は目的と安全性で選ぼう!

胃カメラの麻酔は、苦痛を減らすためにとても有効ですが、全員に必須ではありません。局所麻酔と静脈麻酔の特徴を理解し、自分の体質や不安の程度、当日の予定を踏まえて選ぶことが大切です。不安がある人は、事前に医師に相談することで、より安心して検査を受けられるでしょう。気になる症状があるときは、早めの受診と適切な検査が健康維持につながります。

「胃カメラ」の異常で考えられる病気

「胃カメラ」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

消化器内科の病気

胃がん

食道がん十二指腸がん胃潰瘍十二指腸潰瘍

胃炎

胃ポリープ逆流性食道炎

これらの病気は胃カメラ検査によって発見できます。定期的な検査を受けることで、早期発見が可能となります。また、小さな範囲の腫瘍であれば、その場で生検と治療を兼ねて摘出することもできます。

「胃カメラ」の異常で考えられる症状

「胃カメラ」から医師が考えられる症状は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する病気

腹痛

吐き気

黒色便

立ちくらみ

胃カメラで異常がみられるような病気の場合、これらの症状が現れることがあります。気になる症状がある際には、医療機関を受診してください。

参考文献

人間ドック上部消化管内視鏡検査実施基準2023年

内視鏡診療における鎮静に関する ガイドライン(第 2 版).日本消化器内視鏡学会雑誌.2020;62(9):1635-1681.