尚弥VS中谷で目撃「日本人の敬意は最後まで一貫しています」 海外記者が感銘受けた“試合じゃない光景”
世界スーパーバンタム級4団体統一タイトルマッチ
ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)が2日、東京ドームで元世界3階級制覇王者の中谷潤人(M.T)と対戦し、3-0の判定勝ちを収めた。5万5000席のチケットが完売。世界が注目する日本人2人による“世紀の一戦”だった。メインイベントの試合内容はさることながら、海外記者は前座からボクシングに熱中する日本の観客に感銘を受けていた。
井上と中谷がリング上で初めて向き合ったのは午後9時54分。開場はその約9時間前の午後1時にさかのぼる。興行の第1戦が始まったのは午後3時。その時にはすでに、5万5000席の大半が埋まりつつあった。
「メインカードの何時間も前なのに、これだけの人たちが集まっているなんて! ロンドンではないことですよ」
驚きの声を上げたのは、英国から来日した米専門メディア「ボクシング・シーン」のトム・アイバース記者だ。拠点とするイングランドで行われる興行の場合、客席が埋まり始めるのはメインの約1時間前が当たり前だという。
「この前のデオンテイ・ワイルダー(米国)の試合だって、メインの30分前ぐらいになって、ようやく人が来始めました。個人的には愚かなことだと思います」。4月4日(日本時間5日)に英ロンドンで行われたWBC元ヘビー級王者の試合を引き合いに出し、日本のボクシングファンに対する驚きを深めていた。
ニカラグアから来たスポーツアンカーのレビィ・ルナ氏も日本の観客を絶賛。「特別で、世界のどこにも比較できるものはありません」と断言した。「英国でタイソン・フューリーが9万人以上を集めるのも凄いことですが、日本人のこのスポーツに対する敬意は、最初から最後まで一貫しています」。メインだけでなく、前座の試合からリングに熱視線を送り続ける姿が新鮮に映ったようだ。
5万5000席のチケットは1か月以上前に完売。「スタジアムの外にいる人たちでさえ、試合の雰囲気を感じようとしていました。これは特別なことです」。少しでも世紀の一戦を肌で味わおうと、チケット競争に敗れた人たちが会場外にも溢れていたという。
「日本はいろんな面で別格ですが、ボクシングに関してはリングを尊重し、全ての試合、全てのラウンドに集中しています。それは彼らがボクサー、そして試合展開をリスペクトしているからです。東京ドームで5万5000人がボクシングを見ているというのは、スポーツ界において本当に特別な光景です」
最後の試合が終わったのは午後10時45分。激闘を終えた両者がリングを降り、花道を去ってからも客席で余韻に浸っているファンは少なくなかった。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)
