誰もが必死にやっているのは理解するが、佐々木の言葉通り、より勝利に貪欲にならなくてはいけない状況なのだろう。そのうえで、改めてどんなスタイルを目指すのかより明確にすべきだとも感じる。

 FC東京戦の組織だった前半の守備は手応えを得られるものであったはず。昨年ACLエリートで準優勝のベースになったのも、粘り強い守備と、そこからの手数をかけない効率的な攻撃であった。

 ACL後は、昨季リーグ最多得点&ワースト3位の失点数を喫するなど、点も取れるが失点もかさむ状態が続き、今季はよりボールを持ってゲームをコントロールすることに挑んだ印象だが、今は技術力を磨き、相手を見て、味方も見て、臨機応変に振る舞える“川崎らしさ”という言葉が呪縛のようになり、攻守にちぐはぐさが生じてしまっているように感じる。守備がなかなか改善できない原因もそこにあるのではないか。

 このまま長谷部監督の下で進化を目指すなら、理想は“川崎らしさ”に、アジアの戦いでも勝てるようにシンプルな攻撃や、守備力、力強さを身に付けることだが、目先の結果を得るためには、個人的には相当残念であるが、一度、“川崎らしさ”から離れ、攻守は切り離せず、攻撃は個人の力頼みの傾向は強まるが守備に力を割く、割り切ったチーム作りに舵を切るのもひとつの手なのではないか。

 もしくは、かつてのような“川崎らしさ”を貫き続けたいのであれば、少しずつの前進を覚悟を持って信じ、周囲を納得させるような手を打ち出すべきだろう。

 クラブとして危機感を持ち、より明確な指針を打ち出さなくてはいけない時期に来ているのは間違いない。そのうえで、選手たちもより意見をぶつけ合い、意地と覚悟を胸に、チームとして最適なバランスに辿り着けるか。

 脇坂の言葉のように「時間だけが経つ」試合を続けるのは、誰の得にもならない。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

【画像】小野伸二や中村憲剛らレジェンドたちが選定した「J歴代ベスト11」を一挙公開!