「みんな通ってるのよ!」小6の塾代で年100万円超え…世帯年収800万円・40代夫婦の抜け出せない〈課金レース〉と老後破産の恐怖
文部科学省の調査によれば、私立中学校の学習費は年間平均で約156万円と、子育て世帯の家計を大きく圧迫しています。そんな教育費の重圧に苦しむのが、世帯年収800万円で一人息子を育てる40代のヨウヘイさん夫婦です。小学4年生から周囲に流されるまま進学塾に通わせ始めた結果、小6の現在、塾代などの特別課金は年間100万円超えに。毎月の貯金は底をつき、自分たちの老後資金すら用意できず、見栄と親の意地で「教育費課金の沼」から抜けられない現役世代を見ていきましょう。
家計を圧迫する「教育費負担」の実態
総務省の「家計調査報告(令和7年)」を見ると、家計における「教育費」の負担の大きさが客観的に読み取れます。
同調査の2025年平均によると、二人以上の世帯における1ヵ月あたりの「教育」への支出は平均1万1,939円となっており、前年比で実質6.8%の増加(名目2.0%の増加)を記録しました。特に「授業料等」の支出が2年連続で実質増加しており、家計への負担増が浮き彫りになっています。消費支出全体のなかで、こうした教育関係費は世帯主が40代〜50代の子育て期にピークを迎えます。
さらに、文部科学省の「令和5年度 子供の学習費調査結果」を見ると、その負担のリアルな数字が浮かび上がります。
公立小学校の学校外活動費(学習塾などの補助学習費や習い事など):年間平均で約25万6,000円。この費用は学年が上がるにつれて増加し、特に小学6年生の時期に高まる傾向があります。
私立中学校の学習費総額:年間平均で約156万円。そのうち授業料や通学費などの「学校教育費」だけで約112万8,000円を占めます。
中学受験のための高額な塾代から、進学後の私立校の学費へと、息つく暇もなく教育費の負担が続くことになります。
一方で、内閣府の「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」によると、老後の備えとして「資産形成(貯蓄・投資)などに取り組む必要がある」と回答した人は全体で24.2%でした。定年前後の世代が老後資金に対して一定数は関心を抱いているという実態があります。
しかし、子どもの教育費に全振りすると、50代・60代になってから自身の老後資金が不足していることに気づき、窮地に陥るケースは少なくありません。特に「周りがやっているから」という理由だけで際限なく教育費をかけることは、将来の老後破産リスクを高める要因といえます。
実際にこの「教育費課金の沼」に足を踏み入れ、身動きが取れなくなってしまった家庭の実態を見てみましょう。
「うちの子だけ遅れるわけには…」月3万円の塾通いが家計の乱れの引き金に
「毎月の塾代の引き落とし日が憂鬱です。でも、息子の同級生はみんな通っているし、親の都合で辞めさせるなんてできませんでした……」
都内のメーカーで働くヨウヘイさん(仮名・45歳)。妻はパートタイムで働き、世帯年収は約800万円。裕福ではないものの、生活に困るほどではありませんでした。しかし、一人息子が小学4年生になったとき、徐々に家計が乱れ始めました。
周囲の家庭が当たり前のように中学受験塾に通い始めたことで、妻が「みんな通ってるのよ! うちの子だけ遅れをとるわけにはいかない」と焦り出したのです。
「最初は月3万円程度なら……と、僕も軽い気持ちで入塾に同意しました。でも、あのとき、もっと真剣に家計のことを話し合っておくべきだったんです」
「もう限界……」小6で年間100万円超え、抜け出せない〈課金レース〉
学年が上がるにつれて、教育費用もどんどん上昇。通常授業料に加えて、夏期講習、冬期講習、正月特訓。さらに「弱点克服のために」と勧められた個別指導塾にも通わせた結果、小学6年生時の塾代は年間100万円を超えました。
「ボーナスなんて、塾代の引き落としに全部消えていきますよ。世帯年収が800万円あっても、貯金どころか毎月赤字スレスレです……」
最近では、妻と「塾辞めさせて、もし受験失敗したらどうするの?」と口論になることも増えたといいます。
仮に無事に合格したとしても、中高一貫校の学費は年間100万円近くかかります。現在の塾代がそのまま学費にスライドするだけで、家計が楽になるわけではありません。
そして、何より恐ろしいのは、自分たちの老後資金がまったく貯まっていないという事実です。
「老後破産という言葉が頭をよぎります。でも、ママ友に見栄を張る妻や、合格を信じて頑張っている息子の顔を見ると、お金がないから辞めてなんて絶対にいえませんよ……」
教育熱心という言葉に隠された「課金レース」から抜け出せず、ヨウヘイさんは今日も口座残高を見て将来を憂いています。
[参考資料]
総務省「家計調査報告(令和7年)」
