《18歳未満入店禁止》のラーメン店が新店舗をオープン…弟子志願者多数も、合格者は…

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福岡県八女市に店を構えるラーメン店「あなたの心を鷲掴み」(以下、あなわし)。

福岡市の中心部から距離も遠く、車でしかアクセスができない立地ながら、同店の白濁を超えた茶褐色の超濃厚とんこつスープの美味しさを求めて、全国にファンを抱える人気店だ。

そんな「あなわし」が、2026年6月に2店舗目をオープンさせることを発表。さらに、その立地が福岡市からもアクセスの良い場所とあって、すでに期待の声も上がっている。

新店舗がどんな店になるのかは、前編記事『「濃度を下げてうま味調味料を入れたラーメンを出す予定です」…福岡の超人気ラーメン店が、新店舗オープンで《こだわりを捨てたワケ》』の通りだ。

続く本記事では、店舗が増えることで予想されるリスクへの対応をどうするのか、店主の三浦隆寛氏(41歳)に単刀直入に聞いた。

2店舗運営で、店の看板でもある三浦氏が不在となる店も?

現店舗は、三浦氏と母と妹の3人で運営してきた。その中でも、スープに張り付いて味を守り、時にはマナーの悪い客にも対峙する三浦氏は、店の顔として八面六臂の働きだ。

それが、2店舗営業となると三浦氏が不在となる店や時間帯が発生するが、問題はないのか。

新店舗をオープンして軌道に乗せるまで、しばらくは3人で新しい店に全力を注ぎます。そのため、現店舗は休業になりますね。僕の味やノウハウを学びたいという人に入ってもらって、その人に任せられるようになったら、僕ら3人は現店舗に戻ってくる予定です」(三浦隆寛氏、以下同じ)

つまり、弟子を取るというわけだ。新店舗となる物件は現在、シャッターが閉まった状態だが、そこには張り紙があり「6月オープン予定」とともに「アルバイト・パート募集。正規雇用、独立暖簾分けコースあり」とも書かれている。

豚骨・水・醤油だけで作るスープから、新店舗ではうま味調味料を使って材料費を下げるという、新たな段階にチャレンジする。そして、後進の育成も始めるという意味でも「あなわし」は次のフェーズに入ることになる。

弟子志願多数、合格者はゼロ

九州一の濃度とも謳われる同店のスープにはファンも多く、それを学びたい若い職人は多いだろう。しかし、三浦氏が見据えているのは別の地平だ。

僕が今までやってきた作り方は、弟子たちには教えないつもりです。技術的にもとても難しいですし、材料費が高すぎて商売としてはリスクが大きすぎる。絶対に苦労するのがわかっているので、新店舗での作り方を教えます。僕はずっと、この新しいやり方で日本一になれると思っているので、それがようやく動き出せるということです

すでに弟子入りを志願する連絡はすでに複数来ているというが、面接などを経て合格に至ったのは、現状0人だ。

今までは、僕のラーメンで喜んでもらうことを中心に店をやって来ました。これからはそれに加え、僕の信念に賛同して学びたいと思ってくれる人を応援したいです。味だけではなく、商売として確実にやっていけるノウハウを指導していくのも、今後の僕の仕事だと思っています

三浦氏はかねてより、「博多に進出する」という野望を熱く語っていた。しかし、新店舗がオープンする場所の住所は福岡市に隣接する春日市。店から徒歩2〜3分で福岡市博多区ではあるものの、厳密には「博多」と言えない立地についてはどう考えているのか。

条件に合う物件は、もう数年間探し続けてきました。毎週のように不動産屋や街を巡ってきましたが、いろいろな譲れない条件を満たす物件が見つかりませんでした。今回決めたのは、『博多』という以外すべての条件がバッチリでしたし、博多からの利便性も高かったからです

三浦氏の言う通り、店の場所は福岡市の中心部から、西鉄大牟田線で数駅の場所にある駅前。JR鹿児島本線の駅も、徒歩7〜8分の距離にあるアクセスのいい場所だ。

では、博多であることを譲ってでも、通したかった条件とは。

ひとつは、店外に行列ができても大丈夫なところ。大家さんや不動産屋さんとも話しましたが『この辺りで行列なんて見かけないので、見てみたい』と言ってくれました。それから、屋根があること。アーケード商店街の入り口なので、並んでいるお客さんが直射日光にも雨にもさらされない

アクセスがいいとは言えない現店舗でも、常に行列を作っているだけあって、物件の条件にも行列に関する内容が多い。また、唯一無二のスープに関するものもある。

あとは匂いですよね。僕はとんこつが臭いとは思いませんが、ガンガン炊くので匂いが出るのは確実です。なので、匂いに関する苦情が出ないかは徹底的に調査しました

現店舗はさらに「幻の店」に?

こうして着実に新店舗のオープン日が近づいて来ている。気が早いかもしれないが、三浦氏にさらにその先のビジョンを聞いてみた。

まず、新店舗が軌道に乗ったら現店舗に戻りますが、今の店舗は『プレミアム店』と位置付けて月に1〜2回しか営業しないかもしれません。濃度を下げた新店舗より、もともとの今の味を愛してくれる方もいるので、そういう方だけに向けた店舗ですね。会員制も検討の中に入れています。申し訳ないけど、お客さんを選ばせてもらうことになりますね

物件の条件もあり、今回は「博多進出」がお預けになったわけだが、三浦氏の心にはその火が消えているわけではない。

有名チェーンも含め、とんこつラーメンの店でセカンドブランドを成功させたところってあまりないですよね。むしろスベっている店もある。だから、僕らはそれを成功させて力の差を見せつけようと思っています。それに向けて、つけ麺や豚そばなども準備してあります。その時には博多に出店も考えていますし、いずれは東京にもと思っています

三浦氏の語り口からは、今回の2店舗目を皮切りに、さらなる広がりを展望していることが伝わってきた。

僕らが生活して店をやっていくのに、お金は大事ですよ。でも、大儲けしたいわけじゃないんです。直営店を何十も持って富裕層になりたいわけじゃない。僕が作るラーメンで、やりたいことのビジョンを叶えるだけの店舗数が必要になる。そうなると3〜4店舗になると思います

強烈な個性でファンを惹きつけてきた「あなわし」が、いま新たな段階に踏み出そうとしている。職人として磨き上げてきた味を守るだけでなく、それをどう広げどう残していくのか。

2店舗目の出店は、単なる規模拡大ではない。

ラーメン一杯をめぐる「作り手の思想」が、次の形へと移行する転換点だ。その挑戦がどのような結果を生むのか。

今後の「あなわし」の動向は、ラーメン業界全体にとっても一つの試金石となりそうだ。

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