地球の「虫」が宇宙ステーションに移住したらどうなるか。宇宙旅での生活のカギに
SF映画っぽい結末ばかり想像してしまう。
4人の宇宙飛行士が月の裏側への旅行から帰還して間もなく、小さな宇宙旅行の乗組員たちがすでに動き出していました。
人類の活動領域を宇宙のより奥深い領域へと拡大する広範な取り組みの一環として、顕微鏡でしか見えないくらい微小な線虫を国際宇宙ステーション(ISS)に送り込んだそうですよ。
線虫が宇宙の旅へ
宇宙を旅する線虫たちは、4月13日にNorthrop Grumman(ノースロップ・グラマン)のシグナスXL宇宙船に乗ってISSに到着しました。
この無人宇宙船は、ISSに約5トンの科学機器や物資を運搬しました。その中には、くねくねと動き回る宇宙飛行虫が入ったミニチュア宇宙実験室も含まれていたのだとか。
実験を率いる科学者チームは、小さな生物によって、長期にわたる宇宙旅行における人間の健康状態に関して、より深い知見がもたらされることを期待しています。
エクセター大学(イギリス)が主導する実験は、宇宙の過酷な環境に対する生物の反応の研究を目的としています。イギリスのリズ・ロイド宇宙担当大臣は、エクセター大学の声明のなかで、
意外に思われるかもしれませんが、この小さな虫たちは、未来の有人宇宙飛行において大きな役割を果たす可能性があります。
と述べました。
研究チームは、この「カエノラブディティス・エレガンス(C. elegans)」と呼ばれる体長約1mmの透明な線虫の細胞が発達する様子を、顕微鏡で観察します。また、この線虫は成長が早く、遺伝的に操作しやすいため、生物学研究に理想的な候補なのだそう。
カエノラブディティス・エレガンスご一行さまは、研究チームが「Petri Pod(ペトリポッド)」と呼ぶ小型の実験室に入っています。この自立式の実験装置は、10cm×30cmのユニット(下の画像を参照)に格納されています。重量は約3kgとのこと。
極小ミッションの全貌
ユニットには12の区画があって、そのうち4つの区画は蛍光灯や白色光を用いてリアルタイムで観察できます。各区画は線虫用に小型化された生命維持環境を備えており、温度や気圧を管理するとともに、宇宙の真空環境にさらされても呼吸できるよう、一定の空気が用意されています。また、寒天培地(微生物を培養するために寒天を主成分とする栄養を配合した物質)を通じて、エサも供給されるそうです。
線虫は、ISSの外側に設置される前にしばらく内部で過ごすそう。その後15週間にわたって、超小型のユニットの中で無重力や宇宙空間の放射線にさらされます。
その間、研究チームは小型カメラで静止画やタイムラプス動画を撮影し、線虫の健康状態を監視します。線虫がさらされた温度、気圧、累積放射線量に関するデータが地球に送信されるとのこと。
エクセター大学医学部の研究者であるTim Etheridge氏は、声明でこう述べています。
NASA(アメリカ航空宇宙局)のアルテミス計画は、人類の宇宙探査における新たな時代の幕開けであり、宇宙飛行士が初めて月面で長期間生活し、活動することになります。それを安全に行なうためには、深宇宙の過酷な環境に対して人体がどのように反応するかを理解する必要があります。
宇宙空間で線虫がどのように生き残り、適応するかを研究することで、長期ミッションにおける宇宙飛行士の保護に役立つ生物学的メカニズムの解明に着手できます。そしてそれは、人類が月で生活する未来に一歩近づくことにもなるのです。
途中経過で興味深いことが起こったら生配信してくんないかな。虫好きとしては興味津々(線虫にはあまり魅力を感じないけれど)。

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