自民と維新の与党が「第3号被保険者」の対象者を減らしていく方向で一致した。会社員や公務員に扶養されている配偶者、主に専業主婦が当てはまり、本人が保険料を負担しなくても、将来年金を受け取ることができる制度だ。

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 40年前に始まった仕組みだが、共働き世帯の増加や、さまざまな働き方を背景に、これまで制度の見直しが議論されてきた。与党の表明にSNSでは怒りや疑問が飛び交っているなか、『ABEMA Prime』では第3号被保険者制度について、専門家や、実際に見直しを検討している議員とともに考えた。

■“主婦年金”がなくなる?

 今回の見直し方針を示した与党・社会保障制度改革協議会の実務者である、維新の伊東信久衆院議員は、「与党も厚生労働省も財務省も、持続的な社会保障のために議論している。元は専業主婦とバブル期の猛烈サラリーマンからできた制度だ。どの立場も守るのが政府のスタンスだが、独身者や共働きの人々に不公平感があるのではないか」と説明する。

 そして、「いま我々がやっているのは、『働きたいけれど働けない人』をどうするか。障害を持っていたり、家族の病気で専業主婦になったりする人の実態を調べている段階で、何かが決まったわけではない。『何年かかけて移行が必要』と、与党協議で方向性が決まっただけだ」とした。

 昭和女子大学特命教授の八代尚宏氏は、「“主婦年金”は廃止すべき」と考えている。「昔は自営業の共働きがメインだった。自営業は個人単位の年金制度で、夫も妻もそれぞれ保険料を払う。高度成長期に夫が働き、家事や子育てを妻がやる分業が生まれたが、これはあくまで成長期の産物だ」。

 また歴史を振り返りつつ、「所得があまり増えない現代には、健康な女性を独占するような専業主婦は、よほど稼ぎのいい夫や、すごく家事や子育てを手伝う夫でないと無理だ。専業主婦世帯は例外だと考えた方がいい」との考えを示した。

 一律の廃止は難しいのでは、といった意見に対しては、「本来は貧しい人や障害児を育てている人をターゲットにする必要がある。幸い現政権では、給付付き税額控除が議論されていて、与野党が反対しておらず実現性が高い。これが困っている人に絞った政策になる」と返した。

 専業主婦のチニキンアナゴさん(40代)は、「専業主婦になる前、フルタイムで働いていた。子ども1人ではなんとかできたが、2人目は切迫早産で入院した。保育園に落ちたり、子どもに障害を持ったり、介護があったりなど、働けない状況になった時、女性が仕事を辞めて担うことが多い。その時に妻が無年金になっていいのか。セーフティーネットの役割として必要だ」と感じている。

 子どもの病気のために仕方なく専業主婦を選択した、みえさん(30代)は「縮小と聞くと、将来に不安しかない。これからのママ世代が『専業主婦になると、何も年金がもらえない』と思う社会では、誰も子育てしたくないだろう」としつつ、「『働けない人への対策も考える』と聞くと、時代の変化は仕方ないなとも思う。皆が不満を持たない社会になるなら、『絶対反対』とは言わない」と語る。

 しかしながら、現状の政策が行き届いているとは思わないという。「今は少し働けると思える程度まで来たが、数年前までは子どもの預け先が全然なかった。長時間預けられず、1〜2時間で働ける場所は簡単に見つからない。在宅でも簡単ではなく、私が活躍できる場所が増えているとは感じられない」。

 八代氏は「誤解があるが、第3号の廃止は、無年金者を作ることではない。2つ方法があり、働いてもらい第2号にするか、第1号にするか。基礎年金ができる前は、任意で妻を第1号に入れる制度があった。老後年金を増やすために、夫が保険料を払うもので、7割程度のサラリーマンが選択していた。第1号は所得が低い場合の減免制度もある」と説明する。

 タレントの最上もがは「『専業主婦』という言葉に敏感に反応してしまい、中身を理解しないまま批判が始まったのではと感じた。『全体的にプラスになる』という話をしているのに、どこかで勘違いをして、ケンカしていたのでは」と話す。

■今の時代に合った年金制度に見直し

 EXIT・兼近大樹は「年金を払うこと自体が損だと思うが、制度があるから仕方なく払っている。情報を調べると、『さらに損しているのでは』と感じる人が多い。もらえるはずのものが、もらえないとなれば、全部が納得いかなくなる。僕は『そもそも年金が必要なのか』に、たどり着いてしまう」と胸の内を明かす。

 これに、八代氏は「年金の意味の1つとして“強制貯蓄”がある。年を取って働けなくなった時、貯蓄がない人は生活保護へ行く。本人が欲しいかにかかわらず、政府としては『働ける時にちゃんと貯蓄しなさい』と強制しないといけない」と返す。

 一方で伊東氏は「制度としては貯蓄になっていない点は問題だ。『“100年安心”と言っているが本当か』と思っている人がほとんどだ。『炎上するからやめとけ』と言われるが、ここは正直に話さないといけない」と話す。

 八代氏は「家事労働は立派な仕事だ。専業主婦には、夫が感謝して報いなければいけない。ただ独身者や共働きは恩恵を受けていない」と考えている。また少子化との関係性については、「共働き世帯の方が、所得が多いため、平均的に子どもが多い。保育所や介護保険などを活用して、家事労働をサービスに代替していく方向にある」と解説する。

 みえさんは「大人は『専業主婦も働いた方がいい』と言うが、子どもの意見はどうか。朝から夕方までフルで預けられて、幸せなのか。自分の子どもも、学校に行くだけで精いっぱいで、帰って母親がいるのがうれしい状況だ」と紹介する。「預けられる場所が増えても、『親と一緒にいる時間が欲しい』という子どもも多いはず。働く環境を整えるより、賃金を上げるなどの政策を動かしてほしい」。

 中道改革連合の泉健太衆議院議員は、「等しく基礎年金を払うのは時代の流れだが、その時に将来の生活費を得られるよう、厚生年金に入れば得をする状況を国が作らないといけない。働きにくい人や、子どもに時間を使いたいという人がいるならば、養育のための費用が足りない。そこを増やさないといけない」と語った。
(『ABEMA Prime』より)