この記事をまとめると

■エアロパーツの役割は抵抗低減とダウンフォース増加だ

■効果は速度域や車両形状で大きく変わる

■仕組みを理解せずに装着すると逆効果もあり得る

エアロパーツは見た目だけじゃない

 愛車に手を加える場合、どんなところに重きを置いているだろうか。性能重視派ならメカニズム系となるだろうが、エアロパーツのほうはどう考えればよいのだろう。空力パーツの装着によって高速コーナリングの安定化やハンドリングの良化など、ノーマルにはない走行性能が得られるようになった、と実感することはできるのだろうか?

 市場を見ると、豊富な種類と数のエアロパーツが出まわっている。ざっと数え上げただけでもフロントバンパースポイラー、リップスポイラー、リヤバンパースポイラー、リヤディフューザー、リヤウイング、リヤスポイラー、ルーフスポイラーなど、ボディパーツの一部に相当するものから、ボルテックスジェネレーターのようなボディ面に装着するスモールパーツまで、その種類と数は豊富だ。

 肝心なのは、これらのパーツをどう考えて装着するか、ということだろう。空力に関しては、WEB CARTOPで触れるたびに説明しているが、空力性能の向上、良化という点に関して、その構成要素は大まかにわけるとふたつになる。ひとつは空気抵抗を小さくすること、もうひとつはダウンフォースの増加だ。

 空気抵抗を減少させる要素は、投影面積(主に前面投影面積)の減少化と空気抵抗係数(Cd値)の減少化、走行車両の安定化は下向き揚力(=ダウンフォース)の増加によって実現されることになる。

 このうち、空気抵抗の減少化は、文字どおり走行中の車体が受ける空気抵抗を減らすことで、空気を受けるボディの大きさとボディ表面の空気のスムースな流れ方によって決まるもので、形のできあがった市販車ではあとからの対策が難しい領域だ。

 たとえば、フロントバンバースポイラー(バンパー一体型、あと付け型などがある)は、装着によって空気を受ける面積は増えるが、逆に空気流がスムースになることでCd値が向上するという例もある。また、リップスポイラーは、空気を受けることで抵抗値は大きくなるが、空気流を変える(整流する)ことでフロントのダウンフォースを増加させる働きがある。

各パーツの役割を理解することが大切

 こうした意味では、もっとも注目されるパーツがリヤウイング、リヤスポイラーだろう。装着によって車体後部のダウンフォースを増加させ、旋回中の車両姿勢を安定させることが本来の目的だが、ドレスアップ効果が大きいことも付け加えておこう。

 フロントスポイラーやリヤスポイラー(ウイング)は、前後のダウンフォースを増加させることで車両の接地を安定させる働きをするが、法定速度の上限値である120km/hでどれほどその効果が体感できるかは明言できない。これも、空力の話をするたびに触れてきたことだが、空気抵抗は速度の2乗に比例。100km/h走行時にはわずかな効果としか体感できなくても、速度が倍の200km/hになると抵抗値(ダウンフォースも同等と考えてよい)は4倍となり、大きな効果として実感することができるようになる。

 こうした意味では、空気流を変化させるボルテックスジェネレーターは、場合によってかなりの効果が見込める空力パーツのひとつといえるだろう。小さなパーツで、その働きが「乱流を起こすこと」と説明すると不審に思われるかもしれないが、たとえば車体後部(ルーフ後端)に装着してそのあとで乱流を発生させると、一見してマイナス効果と受け取られがちだが、その乱流によって大きな抵抗となる剥離渦の発生を抑えることになり、空力的には大きくプラス方向で作用することになる。

 ボルテックスジェネレーターは、装着位置や装着個数などに一定の規則があり、これに従わないと正しく性能が得られない、という注意点がある。

 性能を向上させるために空力パーツを装着する手法は決して間違いではないのだが、装着による効果の程度は千差万別だ。装着する車両(ボディ形状)やパーツ形状によって大きな違いが生じてくるからだ。また、走行速度域によってその効果の現れ方も違ってくる。基本的には、装着するパーツがどんな働きをするか理解したうえで、その効果を打ち消すかもしれないほかのパーツ装着は避けるようにしよう。