「おっぱい大きいね」同僚の前で胸や腰を触られ…女性タクシードライバーが就労不能に 損害賠償求めるも、会社側は「了解をとった」行為と主張
第一交通産業グループ(福岡県北九州市)傘下の「第一交通株式会社」(東京都足立区)に勤務していた女性タクシードライバー(37)が、当時の営業所長からセクシュアルハラスメントを受け精神疾患を発症したとして、同社と元所長に対し、合わせて約1300万円の損害賠償を求めるとともに、女性が従業員としての地位にあることを確認する訴えを横浜地裁に起こした。提訴は15日付け。
女性の代理人弁護士が16日、事案の詳細を説明する会見を都内で開いた。
同僚の目の前で“身体接触”訴状や代理人弁護士らの説明によると、原告の女性は2020年2月に第一交通株式会社に入社し、横浜営業所に所属していた。
セクシュアルハラスメントが始まったのは2021年6月頃。当時の営業所長(現在は退職)から「おっぱい大きいね」などの言葉によるセクハラを受け始め、2023年7月からはエスカレート。同僚がいる面前で胸や腰を触られるといった身体的接触が2024年1月まで繰り返されたという。
これら一連の行為により、女性は精神疾患を発症し、2024年1月から就労できなくなった。
2024年3月、女性は親会社である第一交通産業株式会社の東京支店長にセクハラ被害を相談したが、支店長は「お互い様のようなところもある」「どっちもどっちなのかな」などと、被害者である女性にも落ち度があるかのような発言に終始したという。
横浜南労働基準監督署は同年10月7日、上司である所長の身体接触を含むセクハラが継続して行われたことで女性が精神疾患を発症したとして労災を認定した。
被害者から「了解をとって」触った労災認定を受けて、女性側は会社に対し損害賠償を求める任意の交渉を申し入れた。
その中で会社側は、元所長が女性の胸を触った事実を認めたものの、「女性の了解をとったうえで胸を触ったもので、セクハラには該当しない」などと主張。損害賠償の支払いを拒否したという。
これに対し会見で、女性の代理人である加藤隆弁護士は「女性は所長について怖い存在だったと話していて、当然、身体接触にも同意していない」と指摘。
同代理人の西川治弁護士も次のように反論した。
「同僚の男性が複数いる前で、女性が自分の胸を触らせることに『了解』するなど、常識的にありえません。
労基署がセクハラを認定した事案の裁判では、『セクハラはしていない』と行為自体を争うことはありますし、行為がハラスメントに該当するかどうかを争う事案もあります。しかし本件では、触ったこと自体は認めたうえで、被害者が同意していたと主張している。このような言い分はこれまで聞いたことがない」
「女性ドライバー応援企業」認定の国交省に取り消しを申し入れ加藤弁護士は、同社が国土交通省から「女性ドライバー応援企業」の認定を受けていることも挙げ、「仮に女性側が同意していたとしても、上司が部下の女性の胸を、職場で、同僚の面前で触ること自体が破廉恥極まりない行為。このような行為をする社員のいる会社が、女性ドライバー応援企業であるというのは信じがたい」と語った。
両弁護士は16日付けで、同社に対する女性ドライバー応援企業の認定取り消しを求め、国土交通省に申し入れを行った。
また、両弁護士によると、会社側は女性を書面上で「元社員」などと呼び、一方的に退職扱いしているとみられる。労働基準法19条は、業務上の負傷・疾病によって休業している労働者に対する解雇を原則として禁じている。この点について、女性の従業員としての地位確認も求めたいとしている。
女性は体調に不安があり会見参加は叶わなかったが、書面でコメントを寄せた。
「私が(セクハラを)『了解』したことなどありません。私は同僚男性が複数いる目の前で、自分の胸を上司に触らせることを『了解』するような非常識で破廉恥な人間だといいたいのでしょうか。本当に許せません。
今回の訴訟を通じて、会社と元所長にきちんと責任を果たしてもらいたいと思いますし、特に会社については、今後職場内でこのような事態が絶対に起こらないよう、きちんと対策を進めてもらいたいと願っています」
一方、第一交通株式会社の親会社である第一交通産業グループは弁護士JPニュース編集部の取材に対し「当事者のプライバシーにかかわることで、弊社として見解をお答えすることは難しい」と回答した。
