山形放送

写真拡大

花笠祭りで使われる笠は生産者の高齢化により、ここ数年、不足する事態となっています。祭り存続のため救いを求めたのはベトナムでした。

ベトナムの首都・ハノイ。

ノイズ「牛だ牛。だんだん人の数より牛の数が増える」

ハノイから車でおよそ1時間。訪れたのは、かさ職人の住む「ザイタイ村」です。

尚美堂・逸見良昭社長「こういった丸みを帯びたものが良かったのでこれでお願いしたい。ぜひこれでお願いしたい」

祭りに欠かせない花笠はこれからも確保できるのか。かさを求め海を渡った人たちの姿を追いました。
山形の夏の夜を彩る「花笠まつり」。祭りになくてはならないのが踊り手たちが手にする「花笠」です。

3月、飯豊町中津川。花笠祭りで使われるかさのほとんどはここで作られています。

高橋みどりさん(88)は今では数少なくなった職人の一人です。

笠づくり歴40年高橋みどりさん「乾くとポリポリになるので時々しないといけない。折れるようになる」

かさは、スゲと呼ばれる植物を竹製の骨組みに編み込んだ後、糸で縫い合わせて作られます。

高橋みどりさん(88)「母親がこうして縫っていたのでそれ見て私も被りがさを縫っていた。農作業する時の大きいかさ」

1968年、笠は農作業のない冬場の収入源として中津川地区で伝統的に作られてきました。1975年、多い時には60人の職人がいましたが、高齢化が進み現在はわずか5人です。
花笠の製造・販売を手掛ける尚美堂。逸見良昭社長は現状に危機感を募らせました。

尚美堂・逸見良昭社長「2023年の花笠まつりの時およそ1000枚のかさが不足した。何とかしなきゃいけないということで相談する中でベトナムという国が出てきた」

逸見社長らは、山形からおよそ3500キロ離れたベトナムに打開の糸口を見出しました。

2月、逸見社長らはかさ職人の住む村「ザイタイ村」を訪れました。

生産者の女性「笠はノンラーと言います。タケノコの皮とヤシで出来ています」

ここで作られているのが頭の尖ったベトナム伝統の笠の「ノンラー」。村にはおよそ120人の職人がいます。

ザイタイ村・ラム村長「ノンラーは畑仕事や雨よけなどの普段使いのほか結婚式のときは花嫁にお守りとして贈られます」

尚美堂は昨年、村の職人に笠の生産を依頼。昨年の祭りでは初めて、ベトナム産の笠が使用されました。
ベトナムのかさは大きさは同じですが、先が若干尖っている点やかさのフチが薄いといった違いがあります。

尚美堂・逸見良昭社長「前回、直径33センチの笠に関して先がとがっていた。丸みを帯びた従来の国産の形に近づけることが今回の一番の課題」

日本から持参したかさの型も使いながら、逸見社長たちは、依頼内容を伝えます。

生産者の女性「ベトナムのノンラーと花笠は作り方が違う。ノンラーは昔から作っているので簡単だけど」

職人からは、日本の型を使ってかさを作ることは難しいといった回答が。同行した山形貿易情報センターの古賀健司所長がベトナム語で交渉します。

JETRO山形貿易情報センター古賀健司所長「今提供してきた型で作ってくれと言われてもそれは難しいと。ただ、自分たちの型で工夫して最終的にその形にすればいいんでしょ?と」

生産者の女性「日本の型を使うと難しいけど最終的にはちゃんと作るあしたの朝には完成させる」

翌日、試作したかさを見せてもらいました。

尚美堂・逸見良昭社長「なっている。すごくない?前は全部三角だった」

職人たちは、ベトナムと日本の道具を組み合わせ要望通りのかさを完成させていました。

JETRO山形貿易情報センター古賀健司所長「あれだけ散々できないって言っていたのにやっぱりやる。すごいんですよ」
尚美堂・逸見良昭社長「1000枚作るのにどのくらいの時間でできる?」職人「2か月」
尚美堂・逸見良昭社長「こういった丸みを帯びたものが良かったのでこれでお願いしたい」

この日、逸見社長は、直径およそ30センチかさ1000枚の生産を村に依頼することに決めました。

尚美堂・逸見良昭社長「心配なのはサンプルと実際のものが違う可能性があるので今後のやりとりの中で検証していきたい」

ザイタイ村のかさは、祭りの救いの一手となるのでしょうか。逸見社長らは、ベトナムの職人たちが作ったかさを手に日本へと向かいました。