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本格的な花見シーズンに突入しているが、桜の名所で知られる東京・中目黒の桜まつりの会場に異変が起きている。中目黒駅から約130メートルの目黒川に架かる橋に「滞留禁止」の文字や一方通行を示す矢印が記された横断幕が今年から登場。この対策が賛否両論となっている。

目黒区によると、例年、橋の上で立ち止まって桜を撮影する人が密集し、通行に支障が出ていたほか、立ち入り禁止区域への無断侵入も発生していたという。こうした状況を踏まえ、雑踏事故を未然に防ぐ措置として、最寄りの中目黒駅に最も近い日の出橋で横断幕の設置に踏み切ったとしている。

先月27日のテレビ朝日の「テレ朝ニュース」によれば、商店街の理事長は「目黒川というのは川があるでしょ。周りの道が非常に狭いの。4メートルくらいしかない。ここに人がいっぱいになった時に、車が入ってこられたらどうなりますか。その怖さを考えてみた。そういうものをなるべく取ろうとして、頑張っているわけですよ」との危険を訴え、「もちろん人がたくさん来てくれることは町としてはうれしいわけです。だけど、それと同時に危険も出てくるんです。ぜひマナーを守ってもらいたい。そうして、川と桜を楽しんでもらいたい」と語り、横断幕は苦渋の決断だったとしている。

景観を損ない波紋を広げたといえば、2024年5月の山梨・富士山コンビニ騒動は記憶に新しい。

富士山やシラカバ並木でも対策

富士河口湖町にたたずむ「LAWSON」では、店舗上に富士山がのった絶妙ショット「富士山ローソン」として世界的にも有名な撮影スポットだ。これに連日、訪日客が殺到する一方で、悪質なマナー違反が目立ち、オーバーツーリズム(観光公害)の象徴とされた。

事態に町は黒い目隠し幕を設置する異例の対策をとったが、海外メディアも含め大きく報道され、幕設置の賛否が問われた。だが、景観を損なうために訪日客は指で横断幕を破損し、その穴から撮影するなどのイタチごっこが勃発。台風対策で同年8月に幕を外した後は、客数やマナー違反の減少を踏まえ再設置しない判断を下したものの再開、現在は幕の高さを1.4メートルほどに抑えられている。世界的に注目された「目隠し黒幕騒動」は、幕引きを迎えた形となった。

富士山以外にも北海道美瑛町では昨年1月、畑の脇にあった名所のシラカバ並木約40本を住民らが伐採するという事態に陥った。すぐ近くにはたばこのパッケージに採用され有名となった「セブンスターの木」が観光スポットとなり観光客が農地に押し寄せ、車道にはみ出て事故の危険性が高まる中での決断とした。

「朝日新聞」(朝日新聞社)は同年11月、現場を視察。記事によれば、「畑に『私有地につき立入禁止』『安全第一の絶景ショットを』などと多言語で書かれた看板がいくつも設置されていた」と伝え、「町観光協会の理事を務める写真家の中西敏貴さんは、『いつ事故が起きても不思議ではない状況だった。伐採は受け入れるしかない』」と嘆いていたと報じている。

「映える」「バズる」写真を求めて人々が押し寄せる現象は、訪日外国人の急増に伴い加速している傾向があるようだ。それは、有名な観光地だけの話ではない。

神奈川・江ノ島電鉄の踏切が人気アニメ「スラムダンク」の聖地として知られる鎌倉市では、同年9月にオーバーツーリズム対策として市が撮影スポットとして仕切った公園に観光客を誘導する実証実験を行っている。

市は実験に一定の効果があったとして翌10月からは警備員を毎日3~5人配置しているが、根本的な問題解決には至っていないとし、担当者は「人件費はどうしても掛かる。どこまでやり続けるのか悩ましい」と頭を抱えていたという。

町おこしとして、訪問客はありがたい話。だが、急増するにつれ無法地帯となった町は乗っ取られる。どちらが優勢か、悩ましいところだ。