休職中の夫を支えるために、「お金の不安」は言わなかった。うつ病を乗り越えた夫婦が振り返る【著者インタビュー】

【漫画】本編を読む
漫画家・叶輝(かのうあきら)さんと、うつ病により休職を繰り返していた朝待夜駆(あさまちよかけ)さん。二人のもとにたびたび足を運んでいた地域猫はある日、病気で瀕死の子猫を連れてくる。「朔太郎」と名付けられた子猫は、深刻な病気を患っていた。二人は朔太郎に寄り添いながら、日々を重ねていく……。
エッセイ漫画『スローステップ朔太郎』(叶輝:漫画、朝待夜駆:脚本/KADOKAWA)は、命と希望のリレーを描いた作品だ。2025年春に上下巻で発売された本作は、仕事の悩み、病気との向き合い方、経済的な不安など、多様な困難を抱える読者から共感を呼んでいる。
――お二人の制作スタイルについて教えてください。脚本と作画で、どのようにやりとりされているのでしょうか?
朝待夜駆さん(以下、朝待):私がプロットを作り、担当さんも交えて読み合わせをします。そこから私が脚本を書き、叶先生にレビューしてもらい、また調整が入ります。担当さんのチェックも通ったら、そこから先は作画の叶先生にお任せです。ネームを見て意見を言うことはあります。
叶輝さん(以下、叶):朝待くんは漫画制作初心者だったので、編集さんや、将来関わるかもしれない他の作家さんにも伝わりやすい言い方をアドバイスしながら進めました。細かい場面演出・繋ぎ・セリフなどは、私がネームの段階で追加しています。
――お二人で一つの作品を作る上で、大切にしていたことはありますか?
朝待:作画の判断を尊重することです。ただ、漫画になってから「ここは、こういう意図だったのに」と思うことがあったので、私のコミュニケーション不足を痛感しています。
叶:私がもっとヒアリングをしていれば……! すみませんね(笑)。
朝待:いや、でも仮に私の望む形になったとしても、漫画の表現としてはどうなのかな、と。最終的に叶先生から出た表現がベストである、という認識です。
叶:当時、病気で大変だった朝待くんより、私のほうが覚えていることが多かったです。特に会話の内容とか。。そういうことも踏まえて描いていたので、余計にそういう変更があったんだと思います。
――作品として形にしたことで、当時のお互いの感情が理解できた感覚はありますか?
朝待:それはありますね。
叶:私は、実は新たな発見がなくて。
朝待:そうですか。「こいつ(朝待)のことは全部わかってるぞ」みたいな?
叶:というよりも、朝待くんに対して私がずっとヒアリングしていたから。あと、私の中にある感情とか「お金が減っていく!」みたいな不安は、うつ病に悪影響だと思っていたから言わなかった。休職延長するかどうかの時に、もう余力がないと打ち明けました。
朝待:そうね。
叶:ただ、最近の喧嘩では「あのとき、お金なかったんだぞ!」とか言ってますけどね。
朝待:(笑)
取材・文=松本紋芽
