「傾城阿波の鳴門」が絵本に 人形浄瑠璃の世界を広げるガイドブック完成【徳島】
人形浄瑠璃の世界をより深く理解してもらおうと、あるものが完成しました。
そのあるものとは何なのか、そして製作者の思いを取材しました。
徳島市川内町、県内人形浄瑠璃の聖地・阿波十郎兵衛屋敷。
高松からのツアー客たちで大にぎわいです。
外国人観光客は、コロナ前の1.5倍だそう。
東京から珍しいお客さんがやってきていました。
徳島市出身の画家、金子都美絵さんです。
出迎えるのは、館長の佐藤憲治さん。
実は2人、1年前からあるものの製作に取り組んできました。
(阿波十郎兵衛屋敷・佐藤憲治 館長)
「これ金子さん、午前中に刷り上がってきましたので、一緒に開けましょう」
(画家・金子都美絵さん)
「ドキドキしますね、いい色ですね綺麗」
「傾城阿波の鳴門」、2人は人形浄瑠璃を絵本にしました。
「傾城阿波の鳴門」は全10段からなりますが、普段上演されるのは8段目の前半部分まで。
お弓とお鶴の、出会いと別れのシーンです。
今回、8段目の演目をすべて絵本にし、その挿絵を金子さんが描きました。
(画家・金子都美絵さん)
「鳴門の渦潮の絵に見えますが、この波しぶきを辿って広げると、お弓の子別れの段で、お鶴を手放したくないという気持ちを込めた、手になっています」
(画家・金子都美絵さん)
「裏を広げると、鳴門海峡を挟んで両親とお鶴の距離感が」
「ちゃんと描こうと思うと意外と難しくて、あんまり人間的にしてしまっても浄瑠璃とは離れてしまうし、人形に寄ってしまうとお芝居の写真だけでいいじゃないってなるし」
(画家・金子都美絵さん)
「中間のあたりを考えて描いたので、その辺のさじ加減が難しかった」
「昔の浄瑠璃を見ていた人が、着物のたもとに忍ばせてお芝居を見るみたいな、ボロボロになってもいいので」
「カバンに放り込んで、ひょって出して説明できるとか手軽さ」
中には、登場人物の相関図もあり、外国の人でも分かりやすいよう英語訳も載っています。
そして、指先の動きで感情を伝える人形の仕組みも、キャプションで解説しています。
◇2019年放送「フォーカス徳島」
(野口アナウンサー)
「座長さんは」
(マーティンホルマンさん)
「私、マーティンホルマンです」
翻訳をしたのは、人形浄瑠璃のチーム「徳米座」を主宰している、マーティン・ホルマンさんです。
日本とアメリカで日本文学の大学教授をつとめた、徳島在住のアメリカ人です。
(阿波十郎兵衛屋敷・佐藤憲治 館長)
「ム、シテその親たちの名はなんといふぞいの」
「What are your parents´ names?」
(阿波十郎兵衛屋敷・佐藤憲治 館長)
「アイ、父さんの名は十郎兵衛、母さんはお弓と申します」
「My fathers neme is jurobe of Awa My mothers name is oyumi」
「と聞いてびっくり」
「oyumi was astonished by what she heard」
(阿波十郎兵衛屋敷・佐藤憲治 館長)
「このチャンバラのシーン、後半の見せどころなんですけど」
十郎兵衛が追手と戦い、障子を破り仏壇をひっくり返す大立ち回りを繰り広げます。
(阿波十郎兵衛屋敷・佐藤憲治 館長)
「舞台では、とっちらかっている感じはとても出せないけど、イラストのような感じだったんだなと」
「(舞台と挿絵)両方あいまって、相乗効果が発揮されたらいいなと」
「伝統芸能を続けていくためには、たくさんの人に来てもらわないといけないけど、徳島県内では全然おぼつかないし、日本だけでもおぼつかない」
(阿波十郎兵衛屋敷・佐藤憲治 館長)
「世界中から来てほしい、そのために英語は必須だったと思う」
金子さんが、込めた思い。
子を失ったお弓の悲しみは、鳴門の海のように深く激しいものでした。
人形浄瑠璃の世界を広げる新しい発見が詰まった1冊です。
この、人形浄瑠璃の絵本ガイドブックは、1650円で阿波十郎兵衛屋敷で購入できます。
