危険運転のあいまい基準が明確化!(画像はイメージ、hide0714/PIXTA)

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危険運転致死傷罪は8類型から11類型へ拡大! 飲酒・大幅速度超過・ドリフト走行を追加へ

 政府は2026年3月31日、自動車運転処罰法と道路交通法の改正案を閣議決定しました。

 自動車運転処罰法は、自動車の運転によって人を死傷させる行為の処罰について定めた法律ですが、改正案では、現在8類型ある危険運転致死傷罪の適用要件が11類型まで拡大されます。

【画像】「えっ…!」 これがカメラが捉えた『取締りの決定的瞬間』です

 具体的には次の3つの行為を危険運転として新設し、その行為によって人を負傷させた場合は15年以下の拘禁刑、人を死亡させた場合は1年以上20年以下の有期拘禁刑に処すると定めています。

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【新設される危険運転の類型】

1. アルコールの影響により正常な運転が困難な状態(身体に血液1ミリリットルあたり1.0ミリグラムまたは呼気1リットルあたり0.5ミリグラム以上のアルコールを保有する状態、その他アルコールの影響により正常な運転が困難な状態)で自動車を走行させる行為

2. 最高速度が時速60キロを超える道路において、最高速度を時速60キロ超過する速度で自動車を運転する行為
最高速度が時速60キロ以下の道路において、最高速度を時速50キロ超過する速度で自動車を運転する行為

3. 殊更にタイヤを滑らせ、または浮かせることにより、その進行を制御することが困難な状態にさせて、自動車を走行させる行為(いわゆるドリフト走行
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 これまで、飲酒をともなう危険運転や高速度の危険運転に関しては、適用要件が「アルコールまたは薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為」、「その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為」としか規定されていませんでした。

 そのため、世間一般の常識で考えれば危険運転といえるような行為でも危険運転致死傷罪が適用されず、「危険運転の適用ハードルが高い」「基準があいまい」といった指摘がされてきました。

 しかし、このたびの改正案では飲酒や高速度による危険運転に明確な数値基準が設けられることとなり、危険運転をおこなうドライバーへの責任追及効果などが期待されています。

 一例を挙げると、最高速度が時速50kmの一般道路をドライバーが時速100kmを超えるスピードで走行し、その結果人を死傷させた場合には危険運転致死傷罪が適用される可能性があるといえます。

 また上記3は故意にタイヤを滑らせて走行する「ドリフト走行」について定めたものであり、自動車を制御できない危険性や、その悪質性から危険運転の類型に追加されることになりました。

 そして道路交通法の改正案は、「酒酔い運転」の適用要件に明確な数値基準を設けるものです。

 実は飲酒運転は「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の2つに分類され、酒気帯び運転は「呼気1リットルあたり0.15ミリグラム以上」のアルコール濃度で適用されるのに対し、酒酔い運転はアルコールの影響により車両等の正常な運転ができないおそれのある状態(酩酊状態)で運転する行為をいい、これまで明確な数値基準がありませんでした。

 その影響もあって酒酔い運転の検挙件数は非常に少なく、2025年中は酒気帯び運転が1万9515件検挙された一方で、酒酔い運転は884件と、20倍以上の差がある状況でした。

 このたびの改正案により、酒酔い運転は「呼気1リットルあたり0.5ミリグラム以上」のアルコールを身体に保有している場合に適用されることになります。

 酒酔い運転は危険運転致死傷罪とは異なり、飲酒事故を起こす前にも適用できることから、悪質・危険なドライバーを早い段階で道路上から排除できると見込まれています。

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 今回の閣議決定のニュースに対してはインターネット上で「やっと一歩進んだというのが率直な感想」「無法な運転をして人を殺した者に対する刑罰が軽すぎる。さらなる法改正を望みます」「アルコールが検知されたら基準値関係なく危険運転でよいと思う。飲酒運転は過失ではないですから」などの声が寄せられています。

 政府は上記の改正法案について今国会での成立を目指しており、その動向に注目が集まっています。