服の処分はルールを決めるより習慣 岸本葉子のクローゼット整理術。処分していい服が自然と分かるようになるには…
ひとり暮らしは気楽ですが、時には不安や孤独を感じることもあるでしょう。しかし、ひとり暮らし歴40年以上のエッセイスト・岸本葉子さんは、「心の強さとやわらかさを身につければ毎日ごきげんな私になれます」と前向きに語り、自らの体験に基づいた「たのしいひとり暮らしのコツ」を提案しています。今回は、そんな岸本さんの著書『ひとり時間のつくり方』から抜粋し、ご紹介します。
【書影】元気に、明るく生きていくための生活のレッスン。岸本葉子『ひとり時間のつくり方』
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クローゼットはなるべく頻繁に開ける
クローゼットは通常、服を出し入れするときしか開けないと思うのですが、わたしはなるべく頻繁に開けるようにしています。
出し入れのときとは別に、少なくとも1日に1回。窓を開けて、部屋の風通しをする際、併せて開けます。
空気がからりとしている日には、窓を閉めた後もクローゼットは、しばらく開け放しておきます。わたしのクローゼットは寝室にあり、寝室にいない時間は、開けたままになっていても気になりません。
頻繁に開けると、着替え以外のときもクローゼット内の様子を目にするので、服の現状把握になります。「あのへんの服は全然動いていないな」などと気づくようになるのです。「動いていないところには、どんな服があったっけ」とおのずと点検。「これか。これはもう要らないかな」と処分へつながっていきます。
クローゼットを「しょっちゅう」見る
自宅をリフォームする際に引っ越しをして、工事をしている3か月間、仮住まいをしました。服を運んだのは、引っ越し業者が持ってきた縦長の段ボール箱で。ロッカーだんすほどのサイズで、中にポールが渡しており、ハンガーを掛けられます。3か月後には再びそれで運びますからそのまま借りて仮住まい先で、クローゼット代わりに使わせてもらうことにしました。3か月間、いくつもの段ボール箱に服を入れておき、着るときは箱からそのつど取り出していたのです。
3か月の終わり頃になり「結局、1回も開けなかったな」という箱もありました。仮住まいを始めたのは9月でまだ夏物、終わりは12月で冬物と、季節は移り変わったのに。しょっちゅう見ていないと、ないのと同じになってしまったり、持っていることを忘れていたりするのでしょう。
クローゼットの整理法として、いろいろなルールがよく紹介されます。1着買ったら1着手放すとか、ワンシーズン着なかったら処分するとか。どのルールもそれぞれ理はありますが、なかなかルール通りにはいきません。コロナ禍以降リモートが普及し、出かけなくてもすむようになってからは、ワンシーズンどころかツーシーズン袖を通していないものもあり、手放していいのか迷います。
杓子定規にルールを守ろうとするよりは、クローゼットをしょっちゅう見る癖をつけるほうがよさそうです。処分していい服が、感覚的にわかるようになります。動かしていない服から、圧迫感のようなものが伝わってきて、持っていることが重荷になり、処分しようと。
「いつか見直そう」と思いつつため込んでいるより、「いつも見る」ほうが負担感なく整理できると思います。
Point 処分しどきのサインを、服のほうから送っている!
服の管理のストレスを減らす
ひとり時間にしなければならないことはいろいろありますが、なかなかの負担になるのは服の維持管理ではないでしょうか。そのためにかなり時間と体力をとられているなと、あるとき気がつきました。
日頃の洗濯もさることながら、シーズンの終わりの洗濯やクリーニングは特に。その後も、防虫剤が切れていないかなどにも気をつかいます。前はそれほど意識しなかったけれど、年を重ねるにつれ、「服の維持管理って結構な大仕事だな」と感じるようになりました。

(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
持っていることそのもののプレッシャーもあります。心の重荷という、精神面の負担です。物資の乏しかった時代の人には申し訳ないけれど、それが今のリアルだと思います。
服の数を減らせれば、もちろんそれがいちばん楽です。ただそうは言っても大人とあれば、TPOに合わせた服が必要。ふだんはほとんどシャツブラウスとストレッチパンツだからといって、そればかりにはできません。ジャケットとスカートもやはり必要というのが、現実でしょう。
服のサブスクなんかが、最近はあります。定額で服をレンタルするサービスです。これなら維持管理の負担は、まったくなし。
ですがわたしはまだなじみがなく、従来通りの「持つスタイル」のなかで負担を減らすことを考えています。
宅配保管付きクリーニング
そのなかで助かっているのが、“宅配保管付きクリーニング”です。店に持ち込む必要はなく、申し込むと送付用のキットが送られてくる。洗濯したい服を入れ、集荷の依頼をすると引き取りにくる。申し込みの際、返送時期を指定すると、そのときまで業者が保管します。
カビや虫の心配をしなくてよく、「家に置いている間に服をダメにしてしまった」ということもなくなりました。クローゼット内も空くので、残してある服の出し入れも楽になります。ただし、その空きに気をゆるめて「まだ余裕があるから」と服を増やさないように。
料金設定がシンプルなのも、宅配保管付きクリーニングのよさ。業者によって多少違いますが、10点で1万数千円。往復の送料込みです。10点がすべてダウンコートでも価格は変わらないので、割安感はかなりあります。
割安に感じるクリーニング代さえも、「この服のためにかけるのは惜しいな」と感じたら、その服はもう処分のしどき。
わたしには、冬に家で着るのにとてもよかった、ニットワンピースがありました。毎シーズン末にクリーニングに出しては着続けていましたが、ある年、クリーニングに出そうとして「この、だいぶくたびれてきた服が、次のシーズンはじめにクリーニングから戻ってきたとき、どんな感じだろう」と想像して、思い切れました。
クリーニングに出すときが、決断の機会となっています。
Point 宅配保管付きクリーニングは、処分を促すきっかけにもなる
※本稿は、『ひとり時間のつくり方』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
