――阪神ファンのみならず、プロ野球ファンが一丸となっての展開は熱いですね。

牛窪 そうなんです。各チームのファン同士は分断されているイメージもありますが、今はセ・パ交流戦でリーグ間の垣根も低くなくなったし、多球団やMLB(アメリカとカナダのプロ野球リーグ)の選手が集う国際大会の「WBC(WORLD BASEBALL CLASSIC)」もあるので、ファン全体が「プロ野球人気をもっと盛り上げたい!」という使命感で繋がっているんだと感じます。

◆「小さな幸せ」を積み重ねられるコミュニティの重要性

――そんなプロ野球ファンの思いも乗った書籍のみどころも教えていただきたいです。

牛窪 阪神ファンを題材に「幸福感」を掘り下げた新著では、行動経済学やマーケティングなどに関連する国内外の研究論文を多数集めました。校正の段階では、私の会社の校正スタッフ(女性)の力も借りたんですが、彼女たちは阪神ファンどころか野球は全然詳しくないのに、「この考え方って、今日から使えますね」などと共感してくれたんです。

たとえば私のように、「今カレ」の阪神の応援をよりいっそう頑張れるのは、過去にファンだった巨人という「元カレ」をライバル視しているからこそで、こうしたいい意味でのライバルの存在による効力アップを「ピア効果」といいます。このように、野球以外の生活や仕事で活かせる考え方を多く盛り込んだので、彼女たちも「日常的に意識したい」と言っていました。

また、この本に書いたファン同士の繋がり、私のような「推し活仲間」との繋がりは、タイガースやプロ野球が好きな方でなくとも、「そうそう」と共感していただけると思います。損得ではなく、フラットに同じ価値観を共有して「小さな幸せ」を積み重ねられるコミュニティは、社会的にも経済的にも分断が生まれがちな現代社会にとって、とても重要な要素。実は持続的な幸福感(ウェルビーイング)とも、深い関わりがあります。

みなさんもこの本を機に、「自分の好き」で繋がれる相手をシンプルに探していただけたら、いま以上に毎日が輝いてくるはずです。

<取材・文/カネコシュウヘイ>