東日本大震災から15年、防災ビジネスもAIやドローンの活用で進化 政府は今年中に「防災庁」発足
日本は地震のみならず、台風やゲリラ豪雨などによる被害が頻発している自然災害大国だ。新しい防災ビジネスも続々と生まれている。
全国に展開するダスキンレントオールは、2022年7月に「防災サポートサービス」を開始し、各地の自治体と「災害協定」の締結を進め、災害発生時には避難所設営や必要な物品の貸し出しをしてきた。
さらに、昨年6月からは地震によって1階部分が押しつぶされた木造2階建ての倒壊家屋を再現した訓練設備「Rescue Training Module」のレンタルを開始した。従来の防災訓練だけでなく、住宅内に取り残された人の救助を想定した実践的な防災訓練も可能になった。
建築分野では、コストを抑えながら耐震性を高めるサービスが注目されている。日本には1981年以前に建てられた古い木造住宅がまだまだ残っており、全国には未耐震が約570万戸もある。そんな戸建て木造住宅の一部屋だけを「耐震シェルター」にするサービスだ。
既存の柱に鉄骨を取り付けて耐震化すると、震度7クラスの地震でも耐えられる。家屋全体をリフォームするのに比べ費用は約3分の1で済む。サービスを手がけるミホ工業の宮崎保社長はテレビ東京系「ワールドビジネスサテライト」の取材に「私たちの命だけでも守れればいいという人が多い」と話す。地震に襲われた際は耐震化した部屋に駆け込めば、他の部屋が倒壊しても命だけは守られる。
そして、防災ビジネスは単なる「備え」から、AIや衛星データを活用し、被害を「未然に防ぐ」あるいは「最小限に抑える」という「防災DX」へと進化している。
「AI避難シミュレーション・ナビ」はリアルタイムの人流データと地形データをAIが解析し、混雑を避けた最適な避難ルートを個人のスマホに配信するサービスだ。ベンチャーのアバナード(東京・港)が24年3月に開発した。
「衛星データによるインフラ監視」は人工衛星を使って、ミリ単位の地盤沈下や堤防のひずみを検知し、土砂崩れや浸水リスクを予測するBtoB/BtoGサービス。JAXAスタートアップとして設立された天地人(東京・中央)が提供する自治体向けソリューション「天地人コンパス 宇宙水道局」が有名だ。
「自律型防災ドローン」は、災害発生直後に自動で離陸し、被災状況の空撮や、孤立地域への緊急物資(医薬品など)の配送を行うシステム。国内ドローンメーカーのACSL(東京・江戸川)は全天候型災害支援用ドローン「千鳥」を開発している。
政府は災害対応の司令塔となる「防災庁」の設置法案を閣議決定した。首相をトップとし、各府省庁に対して改善を求める勧告権を持たせることで、役所間の縦割りを排した災害対応の実現を図る。今年中に発足する。防災ビジネスの新たな進化が期待される。
