この記事をまとめると

■ロータスのSUVであるエレトレにPHEV版が登場した

■エレトレXは952馬力の2リッター直4ターボ+2モーター

■エレトレXの登場によりロータスのエンジンモデルをもう少しだけ堪能できそうだ

EVメーカー化を撤回しPHEVを投入

 ロータスがSUVを販売するとの報道が流れたとき、世界中のクルマ好きに衝撃が走った。すでにライトウエイトスポーツカー路線からスーパーカー路線へとブランドの舵を切っていたロータスではあったが、まさか4ドアモデル、それもSUVを投入するとは思わなかった人も多いだろう。天才エンジニアと称された創業者、コーリン・チャプマンも、あの世できっと驚いたに違いない。

 そして2023年に登場したエレトレは、親会社である中国・ジーリーグループの電動技術を活用して開発されたEPA(Electric Premium Architecture)プラットフォームを採用するEVだった。もっとも、こちらについては2018年の経営計画「ビジョン80」において、2028年までにロータスを完全BEVメーカーへと転換する方針が示されていたため、その流れに沿った既定路線と捉えられた。

 そのため、多くの人はロータス・エレトレが今後のロータスを背負って立つSUVのEVとしてラインアップされていくものだと考えていたはずだ。しかし、ロータスはまたしても予想の斜め上をいった。2026年3月5日、中国でエレトレのPHEV版となる「For Me」を発表したのである。「エレトレはEV専用車ではなかったのか」と驚いた人も少なくないだろう。

 じつはロータスは2024年、完全EVメーカー化の方針を撤回し、今後はハイブリッド車やPHEVを導入していくと発表している。そして新世代ロータスのPHEV第一弾こそが、このロータスFor Meなのだ。

 なお、このモデルについては中国での発表から一夜明けて欧州公式サイトが更新され、「エレトレX」としてトップページに掲載された。ここでは分かりやすく、以降はエレトレXと呼ぶことにしよう。

 エレトレXの外観は、EV版のエレトレとほとんど見わけがつかない。ボディサイズは全長5103mm×全幅2019mm×全高1636mm、ホイールベースは3019mmで、エレトレと完全に一致する。つまり両モデルは基本的に同じボディを共有していることになる。

 ここで気になるのがエレトレXのプラットフォームだ。エレトレXは「ロータス6Dデジタルダイナミックシャーシ」を採用するとされる。これが既存EPAプラットフォームの一部なのかは明らかにされていないが、ロータスが最初からエンジン搭載を想定して設計していたか、あるいは今回のPHEV化に合わせて改良を施したか、いずれかの可能性が高いだろう。完全な新規プラットフォームという可能性もゼロではないが、コスト面を考えると後者のほうが現実的といえそうだ。

ロータス初のPHEVとなったエレトレX

 パワーユニットは、ハイブリッド専用設計の2リッター直列4気筒ターボエンジンに2モーターを組み合わせ、システム総合最高出力は952馬力。これはエレトレのフラッグシップである「900」グレードの918馬力を大きく上まわる。さらに車両重量は2575〜2625kgとされており、2745kgのエレトレ900よりも軽い。パフォーマンスにもかなり期待できそうだ。

 実際、エレトレXの0-96km/h加速は3.3秒。エレトレ900の0-100km/h加速2.95秒にはわずかに及ばないものの、このクラスのSUVとしては驚異的な数値といえる。

 ドライブモードは「EV」「ハイブリッド」「レンジエクステンデッド」「エンジンダイレクトドライブ」の4種類を用意し、モーター走行からエンジン走行まで幅広く対応するうようだ。また、DPMダイナミックパフォーマンスコントロールシステムの「ワンタッチスーパースピード」モードでは、ドリフトのような刺激的な挙動も楽しめるというから、おそらく電子制御を緩めたトラックモードのような設定も備わっているのだろう。

 そのほかの主な特徴を挙げると、
■5段階の高さ調整が可能なデュアルチャンバーエアサスペンション
■ブレンボ製6ピストンブレーキシステム
■最大120kgのダウンフォースを生む4段階調整式アクティブリヤウイング
■サテン仕上げの二重織りカーボンファイバーとイタリア製アルカンターラによる軽量かつ高級な内装
■70kWhバッテリーによりCLTC基準で最大420kmのEV走行
■エンジン併用時の航続距離は最大1416km(CLTC)
■燃費は100kmあたり0.07リットル
■6Cスーパーチャージャーにより約8分で30%から80%まで充電可能
といった具合だ。

 エレトレXの登場は、内燃機関を愛するロータスファンにとって大きな希望といえるかもしれない。というのも、このモデルが示しているのは「ロータスはまだ完全にエンジンを捨てていない」という事実だからだ。

 実際、日本のロータス広報によれば、内燃機関モデルであるエミーラの生産延長も決まっているという。EV化の流れが加速するなかでも、ロータスは独自のバランスを模索している最中なのだろう。

 かつて「軽さこそすべて」と語ったチャプマンの哲学からは遠く離れた存在にも見えるエレトレXだが、そのなかに最新技術と走りの情熱を詰め込もうとしている点は、やはりロータスらしい。エレトレXは、電動化時代におけるロータスの新たな答えなのかもしれない。