Photo: 山田卓立

かつてランニングシューズの主役は、NIKEやadidasだった。その牙城を崩したのがOnやHOKA。独自構造のミッドソールで「走りの常識」を書き換えた存在だ。

そしていま、そんなランニングシーンに打って出たメイド・イン・ジャパンブランドが現れた。

日本発の本格パフォーマンスランニングブランド「HYBEX(ハイベックス)」は、発表段階から注目度は高く、そのファーストプロダクト「HX LENS(レンズ)」(税込28,500円)がついにローンチした。

「前に回転しながら潰れる」メタマテリアル構造

Photo: 山田卓立

「HX LENS」の核となるのは、特許取得済みの「HeliX™ソール」。特徴は「前に回転しながら潰れる」という独自の構造だ。

これは独自に設計された特殊構造体=メタマテリアルを、3Dプリンターで立体成形することで実現。素材の反発だけに頼るのではなく、構造そのもので挙動をコントロールしているのがポイントだ。

Photo: 山田卓立

着地時には衝撃を吸収しながらブレーキ方向の力を抑え、そのエネルギーを回転運動へと変換し前方への推進へつなげる。

従来のシューズではトレードオフになりがちだった「高い衝撃吸収性」と「滑らかな体重移動」。この両立を構造レベルで成立させようとしているのが、「HYBEX」のアプローチだ。

Photo: 山田卓立

しかもこれはコンセプトに留まらない。

実走テストでは500km以上を走行しても構造的なヘタリや破損は確認されず、ラボでは50度の屈曲を毎分70〜100回、計125,000回与える耐久試験をクリア。3Dプリント構造体にクラックや破綻は見られなかったという。

新しい構造を謳う以上、耐久性は避けて通れない論点だが、そこも定量的な検証で押さえてきた。

走った感覚はまさに「新感覚」

Photo: 山田卓立

製品発表当日には、短距離の試走会も実施された。

着地はふわっと受け止められるのに、沈み込みすぎない。「やさしい」というのが最初の感触。体重移動がスムーズで、足が自然に前へ転がっていく。衝撃を吸収しつつブレーキ感が少ないという設計が、走りのフィーリングにも直結している。

思い返せば、OnやHOKAに初めて足を通して走ったときも、「あ、これは今までと違う」と感じた瞬間があった。「HX LENS」にも、あのときのような“構造が生む違い”がある。

Image: HYBEX

いまやハイエンドランニングシューズは3万円台も珍しくない時代。そのなかで、28,600円(税込)で出してきたのも本気度の表れだろう。

十数年ぶりに、日本から現れた本格パフォーマンスランニングブランド。「HYBEX」がどこまでシーンに食い込めるのか、注目が集まるのも無理はない。