令和8年1月2日からの大雪では、E2広島岩国道路・山陽道において、ノーマルタイヤで走行した車両による立ち往生が発生し、通行止めの解除までに最大17時間を要した(出典:国土交通省)

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異例の「長期戦」大雪

 気象庁は2026年1月20日、「大雪に関する全般気象情報」の最新版を発表しました。

 21日から25日頃にかけて、日本付近は強い冬型の気圧配置が続く見通しです。

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 また前日となる19日には、国土交通省と気象庁は合同で緊急記者会見を実施。「大雪が5日以上続く恐れがある」として、ドライバーに対して厳重な警戒を呼びかけました。特にノーマルタイヤによるスタックが交通麻痺の引き金になるとして、冬装備の徹底を求めています。

異例の「長期戦」大雪

 気象庁の発表によると、1月21日から25日頃にかけて、日本付近には強い寒気が流れ込み続ける見込みです。

 通常であれば寒気のピークは短期間で過ぎ去ることが多いですが、今回は北日本から西日本の日本海側を中心に、5日以上にわたり断続的に強い寒気にさらされる可能性があります。

 気象庁の担当者は会見で、上空1500メートル付近にマイナス9度以下という「大雪の目安」となる寒気が長期間居座る予測を示しました。

不要不急の外出は控えて(出展:国土交通省

 特に警戒が必要なのは、日本海側で発生するJPCZ(日本海寒帯気団収束帯)です。

 この収束帯が停滞し、同じ地域に雪雲が流れ込み続けた場合、山沿いだけでなく平地でも短期間に積雪が急増し、大規模な交通障害が発生するリスクが高まります。

 また、今回の寒波は北日本や日本海側だけでなく、普段は雪の少ない太平洋側の平地でも大雪となる所がある見込みであり、広範囲での警戒が必要です。

国交省「外出控えて」

冬装備の準備を!(出典:国土交通省

 同会見において、国土交通省はドライバーに対し、非常に強い危機感を持って訴えかけました。

大雪や路面の凍結による交通障害に警戒し、不要不急の外出を控えてください」。

 国交省の担当者は、2026年1月2日に広島県の山陽道で発生した大規模な立ち往生事案に言及しました。

 この事例では、ノーマルタイヤで走行していた車両がスタックしたことが発端となり、通行止め解除までに最大17時間を要するという深刻な事態を招いています。

 この教訓から、国交省はその後、同区間でタイヤチェックを実施し、約3000台ものノーマルタイヤ車両に対して高速道路の利用を断る措置を講じました。

 今回の大雪予想においても、車両の立ち往生が発生する可能性が高いと見ており、最悪の場合は高速道路と並行する直轄国道を同時に通行止めにする「予防的通行止め」を行う可能性があるとしています。

 ドライバーには、テレワークの活用などで外出を避けること、やむを得ず運転する場合でも広域迂回やルートの見直しを行うよう協力を求めました。

夏タイヤの致命的リスク… なぜ報道されても「夏タイヤ」で走るのか

 毎年のように繰り返される雪道での立ち往生。その背景には、ドライバーの「心理的な油断」が潜んでいます。

 よく耳にするのが「自分は大丈夫」という言葉です。

 これは都市部のドライバーに多く、「雪国じゃないから」「今まで大丈夫だったから」という根拠のない過信です。

 しかし、毎年のようにノーマルタイヤで立ち往生する事案が発生しています。

 ある過去のケースでは、ノーマルタイヤのクルマで無理なUターンを試みて車線を塞ぎ、長時間の交通規制を招いたことからSNS上でも厳しい批判が殺到しました。たった1台の過信が、多くの人を巻き込む「事件」になり得るのです。

 また「少しの距離だから大丈夫」という声も聞かれることがあります。

 近所のコンビニに行くだけ、最寄りの駅まで送るだけ、そんな「少しの距離」であっても、雪道のリスクは変わりません。

 日本自動車タイヤ協会(JATMA)のデータによれば、凍結路面(アイスバーン)では、わずか時速25kmの低速走行であっても、ノーマルタイヤの制動距離はスタッドレスタイヤの約1.6倍に延びることが実証されています。

 ブレーキを踏んでも止まれずに交差点へ進入してしまえば、取り返しのつかない事故につながります。

 さらには「新品の夏タイヤだから大丈夫」という声も、このコメントはニュースなどでも流れたことで、SNSでも賛否両論ありました。

 ユーザーのなかには 「溝がしっかりある新品の夏タイヤなら、多少の雪でも走れるのでは?」と考える人もいるかもしれません。

 しかし、これは大きな誤解です。JATMAは、夏用のゴムは低温下で硬化する性質があり、雪や氷の上ではグリップ力を著しく失うと定義しています。

 溝の深さに関わらず、夏タイヤのゴム質そのものが雪道には適していないのです。

 また、スタッドレスタイヤを装着している場合でも安心はできません。

 タイヤの溝が50%まで摩耗し「プラットホーム」が露出しているタイヤは、冬用タイヤとしての性能寿命を迎えており、十分なグリップ力を発揮できないので、注意が必要です。

■法令違反の可能性も

プラットホームの確認方法(画像提供:ブリヂストン)

 ノーマルタイヤでの雪道走行は、物理的に危険であるだけでなく、法令違反となる可能性があります。

 道路交通法に基づき、各都道府県の公安委員会は積雪・凍結時の滑り止め措置を義務付けており、違反した場合は反則金が科されるケースもあります。

※ ※ ※

 今回のような長期的な大雪が予想される局面では、車内へのスコップや砂、防寒具の常備はもちろんのこと、自身のタイヤの状態を今一度確認し、少しでも不安がある場合は運転を控える勇気が必要です。

 最新の道路交通情報は、国土交通省や各道路管理会社のホームページやSNSなどで随時更新されます。

 出発前には必ず最新情報を確認し、安全最優先の行動を心がけましょう。