(※写真はイメージです/PIXTA)

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不倫が発覚して離婚に至った場合、慰謝料や財産分与の内容によっては、加害者側が経済的にも精神的にも大きな代償を負うことがあります。特に、夫婦の収入格差が大きく、離婚後の生活を支える力が乏しい側にとっては、その決断が“人生の転機”どころか“転落の引き金”になることも。今回は、パート勤務中に不倫関係となり、最終的にすべてを失うことになった48歳女性のエピソードをみていきます。

「夫に物足りなさを感じ…」パート先で不倫

関東地方に住む48歳の女性・中野麻里さん(仮名)は、3年前に夫と離婚しました。

元夫の恭一さん(仮名)は、上場企業に勤める年収1,200万円の会社員。性格は穏やかで、家事や育児にも積極的に関わっていたといいます。

「いわゆる“いい夫”だったと思います。でも、刺激がなかった。10年目くらいから、どこか物足りなさを感じるようになっていました」

そんな時、麻里さんが週3日勤務していた地元スーパーの品出しパートで知り合ったのが、5歳年下の男性・Aさんでした。既婚者であることは承知の上で、ふたりは1年近く不倫関係を続けていたといいます。

ある日、Aさんの奥さんがふたりのLINEのやりとりを見つけたことで不倫が発覚。夫・恭一さんにも知られることになり、その場で「出ていけ」と言われました。

「そのとき初めて、ことの重大さを感じたというか……。それまでは、“どうせバレない”ってどこかで思っていたんです」

離婚協議は弁護士を介して行われ、結果として麻里さんは「慰謝料1円」で離婚が成立しました。これは、恭一さん側が「関係を完全に断ちたい。お金は要らない」というスタンスを貫いたためですが、同時に、「それ以外の財産分与は一切しない」という厳しい条件がついていたのです。

「マンションは名義が夫だったし、車もローンは完済済みで夫の所有。私は何も主張できなかった。預金口座も共同名義ではなく……」

麻里さんが当時使っていたスマホの通信費やクレジットカードの名義も夫であったため、離婚後すぐに使えなくなり、生活の立て直しにも時間がかかりました。

現在は月収約12万円の派遣社員として働き、築40年のアパートで一人暮らしをしています。Aさんとはその後すぐに関係が切れ、「何もかも失った」と話します。

増える熟年離婚、「20年以上の同居」でも別れを選ぶ夫婦たち

厚生労働省『人口動態統計(令和6年概況)』によると、2024年の離婚件数は18万5,895組。離婚は2002年に28万9,836組でピークを迎えた後、いったん減少傾向となりましたが、2023年からは再び2年連続で増加しています。

注目すべきは、同居期間20年以上の熟年離婚が4万686組に上る点です。特に「20〜24年」での離婚が1万6,547組と最も多く、長年連れ添った末の決断が増えている実態がうかがえます。

また、裁判所の司法統計によれば、離婚の申立て理由として最も多いのは男女ともに「性格が合わない」。加えて、夫側は「精神的虐待」「異性関係」、妻側は「生活費を渡さない」「精神的虐待」などが上位を占めています。

「“1円しか請求しなかった”ことに、許されたと思っていた部分もあるんです。でも今思えば、ただ“もう関わりたくなかった”だけだったんですよね」

離婚後、恭一さんからは一切の連絡がなく、知人を通じて「再婚したらしい」という話を聞いたといいます。

「今さら謝りたいとか、戻りたいとか、そういう気持ちはありません。ただ……本当にバカなことをしたなって。失ってみて初めて、自分がどれだけ守られていたかに気づいたんです」

恋愛感情は、人を時に大胆にし、視野を狭くしてしまうことがあります。不倫や裏切りは、長年築いてきた家庭を壊すだけでなく、「生活基盤そのもの」を一気に崩してしまうことがあるものです。