『ブラックフォン 2』©2025 Universal Studios. All Rights Reserved.

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 やはりホラージャンル強し、か。10月17日~19日の北米映画週末ランキングは、イーサン・ホーク主演『ブラックフォン 2』がNo.1を獲得。週末3日間の興行収入は2650万ドルと、ユニバーサル・ピクチャーズが当初予想していた1800万ドルを大幅に上回った。

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 本作はブラムハウス製作、『ドクター・ストレンジ』(2016年)のスコット・デリクソン監督による『ブラック・フォン』(2022年)の続編。4年前、連続殺人鬼グラバーによって誘拐された少年フィニーは、グラバーを葬って唯一の生き残りとなった。ところが、17歳のフィニーは今も事件のトラウマに苦しんでいる。悪夢に悩まされる妹グウェンに説得されて向かったキャンプ場で、2人はグラバーとの思わぬ真実を知る……。

 前作で倒された殺人鬼グラバーが、死者として無敵の復活。前作はジョー・ヒルによる同名小説の映画化だったが、今回は完全オリジナル脚本で、グラバー役のイーサン・ホークをはじめ、メイソン・テムズ、マデリン・マクグロウほか主要キャストも続投した。

 前作は映画業界がコロナ禍から回復するさなかに公開され、北米オープニング興行収入2363万ドルという好スタートを記録。製作費1800万ドルに対し、全世界興行収入1億6144万ドルという大ヒット作となり、『トップガン マーヴェリック』や『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』などと並んで2022年のサマーシーズンを牽引した。

 『ブラックフォン 2』の初動成績は前作をわずかに上回っており、続編映画としては好調と言える。海外市場では興行収入1551万ドルを記録し(とりわけメキシコで秀でた成績となった)、現時点での世界興収は4201万ドル。製作費3000万ドルの回収にはもう少し時間がかかりそうだが、スタジオが期待した通りの堅実な興行だ。

 批評家・観客の反応も好ましく、Rotten Tomatoesでは批評家スコア74%・観客スコア85%と高水準。映画館の出口調査に基づくCinemaScoreでは「B」評価となった。前作はRotten Tomatoesで批評家81%・観客88%、CinemaScoreは「B+」評価なのでやや及ばないものの、ほぼ見劣りしないクオリティと言ってよいだろう。日本公開は11月21日。

 今週もうひとつの新作映画は、キアヌ・リーブス&セス・ローゲン出演のR指定コメディ映画『Good Fortune(原題)』。北米2990館で週末興収620万ドルを記録し、ランキング第3位に初登場となった。

 リーブスが演じるのは、善意の守護天使ガブリエル。単発労働者のアルジと出会った彼は、投資家のジェフ(ローゲン)と2人の立場を入れ替えようとする。監督・脚本は『マスター・オブ・ゼロ』のアジズ・アンサリが務め、長編映画デビューながら、自らアルジ役も演じている。

 Rotten Tomatoesでは批評家78%・観客81%、CinemaScoreでは「B+」評価と、観た人からの支持は大きい。ただし問題は『ブラックフォン 2』と同じ3000万ドルを製作費に注ぎ込んでいることで、劇場興行でのコスト回収は難しそうだ。最近はコメディ映画がやや復調しつつあったが、リーブス&ローゲンの力をもってしても、オリジナル脚本の喜劇はまだハードルが高いということか。日本公開は未定。

 そのほか、公開2週目の『トロン:アレス』は第2位となったが、週末興収は1114万ドル、前週比マイナス66.5%と下落率はかなり大きい。北米では興行面で『ブレードランナー 2049』(2017年)と比較されることが多いが、同作の2週目の興行収入は1549万ドル(前週比マイナス52.7%)なので、本作はより厳しい推移だ。両作の差には、それぞれの評価の違いがダイレクトに表れていると見てよいだろう。

 レオナルド・ディカプリオ主演&ポール・トーマス・アンダーソン監督『ワン・バトル・アフター・アナザー』は、公開4週目ながら根強く第4位をキープ。北米興収6190万ドル、世界興収1億6250万ドルと、R指定かつ3時間のオリジナル脚本作品としては異例のヒットとなった。もっとも製作費1億3000万ドルの回収は難しく、劇場興行では赤字となる見込みだが、アカデミー賞も期待されるほどの高評価ぶり。ワーナー・ブラザースにとっては非常に有意義な投資だったのではないか。

 第9位には名匠ルカ・グァダニーノ監督のスリラー映画『After the Hunt(原題)』がランクイン。前週の6館から1238館に公開規模を拡大したが、週末興収は155万ドルと渋い成績となった。出演はジュリア・ロバーツ、アヨ・エデビリ、アンドリュー・ガーフィールド。Rotten Tomatoesでは批評家40%・観客34%、CinemaScoreでは「C-」評価とグァダニーノ監督にしては珍しい酷評ぶりだが、その内容やいかに。日本公開は未定。

【北米映画興行ランキング(10月17日~10月19日)】1.『ブラックフォン 2』(初登場)2650万ドル/3411館/累計2650万ドル/1週/ユニバーサル

2.『トロン:アレス』(↓前週1位)1114万ドル(-66.5%)/4000館/累計5457万ドル/2週/ディズニー

3.『Good Fortune(原題)』(初登場)620万ドル/2990館/累計620万ドル/1週/ライオンズゲート

4.『ワン・バトル・アフター・アナザー』(↓前週3位)400万ドル(-41.2%)/2532館(-595館)/累計6190万ドル/4週/ワーナー

5.『Roofman(原題)』(↓前週2位)370万ドル(-54.4%)/3370館(+8館)/累計1551万ドル/2週/パラマウント

6. 『Truth & Treason(原題)』(初登場)272万ドル/2106館/累計272万ドル/1週/Angel

7.『ギャビーのドールハウス ザ・ムービー』(↓前週4位)165万ドル(-52.3%)/2535館(-514館)/累計2993万ドル/4週/ユニバーサル

8.『死霊館 最後の儀式』(↓前週5位)157万ドル(-49.5%)/1981館(-353館)/累計1億7543万ドル/7週/ワーナー

9.『After the Hunt(原題)』(↑前週20位)155万ドル(+880.6%)/1238館(+1232館)/累計177万ドル/2週/Amazon・MGM

10.『Soul on Fire(原題)』(↓前週5位)130万ドル(-54%)/1720館/累計554万ドル/2週/Affirm Films

(※Box Office Mojo、Deadline調べ。データは2025年10月20日未明時点の速報値であり、最終確定値とは誤差が生じることがあります)

【参照】https://www.boxofficemojo.com/weekend/2025W042/https://variety.com/2025/film/box-office/black-phone-2-box-office-opening-weekend-slow-good-fortune-misses-1236556444/https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/black-phone-2-box-office-blumhouse-1236404960/https://deadline.com/2025/10/box-office-black-phone-2-1236590286/

(文=稲垣貴俊)