Berryz工房、無期限活動停止から10年 それぞれの道を歩むメンバーの現在地、今こそ聴いてほしい楽曲5選
2025年3月3日、Berryz工房が無期限活動停止してから10年を迎えた。ハロー!プロジェクト(以下、ハロプロ)所属のアイドルグループとして2004年にデビューしたBerryz工房は、2015年3月3日の日本武道館コンサートをもって、約11年2カ月の活動に一旦幕を下ろした。
(関連:【映像あり】2014年、中野サンプラザでのBerryz工房活動停止発表の様子)
“解散”ではなく“無期限活動停止”と表現したのはメンバーたちの意向だったという。その発表があった2014年8月2日、中野サンプラザでの『Hello! Project 2014 SUMMER ~KOREZO!~』公演では、「解散という言葉を使うとBerryz工房の存在そのものがなくなってしまうのではないかと思ったので“活動停止”という言葉を選んだ」と嗣永桃子が話したし、コンサート後の他メンバーのブログでも同様の説明がなされた(※1)。
■Berryz工房メンバーの現在地
あれから10年――メンバーたちはそれぞれの道を歩んでいる。Berryz工房のサブキャプテンだった夏焼雅は、2016年に女性3人組音楽ユニット・PINK CRES.を結成。2021年の解散後は、ソロとして芸能活動を続けている。
須藤茉麻は、主に演技の領域で活動。舞台出演を中心に、ハロプロの演劇プロジェクトである“演劇女子部”にも継続的に参加。昨年もOCHA NORMA出演『演劇女子部「ミラーガール」』に登場している。
熊井友理奈は、その高身長を活かしてモデル業に転身。2016年に桂由美のファッションショーでランウェイデビューを飾り、以降は『王様のブランチ』(TBS系)のレポーターを2015~2021年まで務めるなどテレビでも活動。2023年にはモデルの大須賀崇と結婚した。
かつてBerryz工房のエースメンバーと呼ばれていた菅谷梨沙子は、2016年からInstagramやブログの更新をメインでの活動を続けていたが、2017年に一般男性との結婚および妊娠を発表。2023年には所属事務所との契約が終了し、現在はフリーで活動している。ファッションアイテムとのコラボなどの活動が見られるが、音楽活動はしていないようだ。
一方、芸能界を去った者もいる。Berryz工房のデビュー当時からのメンバーだった石村舞波は学業専念のため2005年にグループ卒業および芸能活動も引退。以降は7人での活動となったため7人組の印象が強いが、デビュー当初は8人組だった。
徳永千奈美はハロー!プロジェクト・アドバイザーという役職に就き、2015年には留学して英語を学ぶも、2021年に芸能活動を引退。同年に結婚していたことが後に自身のInstagramで報告した。
Berryz工房のキャプテンだった清水佐紀も徳永同様ハロー!プロジェクト・アドバイザーになり、その頃始動したこぶしファクトリーやつばきファクトリーといったハロプロ後進グループの活動サポートに携わった。2021年には一般男性との結婚を発表し、同年には芸能活動引退もあわせて発表した。
嗣永はカントリー・ガールズのプレイングマネージャーという立ち位置でアイドル歌手活動を継続。ソロタレントとしてもバラエティ番組などで人気を得ていたが、2017年にはグループから卒業、および芸能活動も引退した。その後の動向は不明だったのだが、今年1月22日放送の『60TRY部』(ラジオ日本)番組内で元カントリー・ガールズの森戸知沙希が、嗣永と梁川奈々美でオンラインゲームの『桃太郎電鉄』を一緒に遊んだというエピソードを語った。ひょんなところから嗣永の名前が出てきたのは、ファンも驚きだったことだろう。
まとめると、夏焼、須藤、熊井の3名は現在も芸能活動中。菅谷も芸能活動中と言えるが、音楽活動はしていない。その他のメンバーは芸能界から去ってしまった。
そして、昨年2024年3月、夏焼、須藤、熊井の3名が出演した『Berryz工房20th Anniversary Live~そのすべての愛にサンキュー~』が横浜ランドマークホールにて開催された。かつてのメンバーが揃うのは難しい状態だが、こうして周年を祝う場が設けられているのは、Berryz工房が現在も“存続中”だという証でもある。今年5月10日には、同会場、同メンバーで『Berryz工房スッペシャルライブ ~HAPPY! Stand Up~』の開催が予定されている。
■今あらためて聴いてほしいBerryz工房楽曲5選
今年1月、Berryz工房や℃-ute、メロン記念日らのハロプロ楽曲のサブスクリプション配信が解禁されて話題を集めた。Berryz工房の音楽へのアクセスがより身近になり、本稿では、数ある楽曲の中からあらためて聴いてほしいBerryz工房の作品をいくつか紹介していこう。なお、サブスク解禁によりカップリング曲やアルバム収録曲が聴きやすくなったこともあり、本稿ではそれらの楽曲を多めに選んだ。
・「フラれパターン」(2008年)作詞・作曲:つんく 編曲:山崎淳
2008年のシングル『MADAYADE』のカップリング曲。〈愛したから寂しいの〉というフレーズを4回繰り返す構成が特徴的だ。つんく♂メソッドのひとつである、昭和の歌謡曲にオマージュを捧げた“ネオ歌謡曲”とも言うべき歌詞とサウンドになっている。そもそも、シングルの表題曲「MADAYADE」も、MV含めて昭和パロディ的な楽曲であった。決して派手な曲ではないが、こういった楽曲でしか感じることのできない魅力があるものだ。
・「ちょっとさみしいな」(2010年)作詞・作曲:つんく 編曲:藤澤慶昌
TVアニメ『イナズマイレブン』(テレビ東京系)のEDテーマだった2010年のシングル曲「シャイニング パワー」。そのカップリング曲が本楽曲だ。藤澤慶昌編曲によるヒップホップソウル調なサウンドが聴き心地よい。このサウンドは2005年のアルバム『第②成長記』収録「お昼の休憩時間。」や、2010年のシングル曲「友達は友達なんだ!」にも繋がるものだ。
歌割りの側面から見ると、2番の〈あなたはお疲れ顔〉という箇所での徳永の歌唱が味わい深い。「Berryz工房のカップリング曲には名曲が多い」というのは昔からファンの間で定説のように言われていて、特に「徳永千奈美が目立っている曲は良曲」とも囁かれることもしばしば。この曲のほかには2012年のシングル『Be 元気<成せば成るっ!>』カップリング曲「もう、子供じゃない私なのに…」冒頭の〈悔しいな〉という徳永の歌い出しなどに顕著だ。
・「Mythology ~愛のアルバム~」(2012年)作詞・作曲:つんく 編曲:松井寛
2012年の『愛のアルバム⑧』収録のタイトルチューンとも言える1曲。東京女子流のサウンドワークなどを手がける松井寛がBerryz工房楽曲に唯一参加したのがこの曲である。松井らしいフィリーソウル的な音感が特徴。ハロプロ内ではモーニング娘。の2007年のシングル「笑顔YESヌード」や、近年ではJuice=Juiceの2022年のアルバム『terzo』収録「ノクチルカ」ともリンクするサウンドだろう。
特に、1番Bメロの〈ほんのちょっと 勇気だして〉のあとの〈I LOVE YOU〉と菅谷が歌う箇所は、楽曲の“良い表情”を引き出している。菅谷が歌唱面で一皮剥けたのは2010年のシングル『雄叫びボーイ WAO!』からだと筆者は考えているが、以降もさまざま場面で成果を残している。
・「サヨナラ ウソつきの私」(2013年)作詞・作曲:つんく 編曲:平田祥一郎
2013年の両A面シングル『ゴールデン チャイナタウン/サヨナラ ウソつきの私』収録。この頃の後期Berryz工房のシングル曲は、タイポップスのカバーである「cha cha SING」、ゴスロリ的な男装衣装で歌う「ROCKエロティック」、変化球すぎる詞世界の「1億3千万総ダイエット王国」といったクセ強めな曲が目白押しだ。しかしこの曲は、先述した楽曲群のようにわかりやすいセールスポイントは薄く、比較的シンプルな仕上がりのシングル曲と言える。
そこから浮き彫りになってくるのは、メンバーの歌やダンスといったパフォーマンス面での魅力だ。MVを観てもそれは確認できるのだが、よりわかるのはやはりライブ映像。複数ある中でおすすめしたいのは、2013年5月19日に行われた『日比谷野音90周年記念事業 Hello! Project 野音プレミアムLIVE ~外フェス~ supported by Hellosmile』での一幕。この日が本楽曲のライブ初披露だったのにもかかわらず、完成度の高いステージとなっているのだ。同じメンバーでパフォーマンスを日々磨いていったことで到達した高みとも言えるステージだった。
・「あなたなしでは生きてゆけない (04-13-15 完熟Completion Ver.)」(2015年)作詞・作曲:つんく 編曲:AKIRA、原田勝道
Berryz工房のデビューシングル「あなたなしでは生きてゆけない」は、当時ローティーンの集まりだった彼女たちが歌うにはあまりにも大人っぽいR&B調の楽曲だった。そのミスマッチ感が当初はひとつの狙いだったかもしれないが、活動を通して年齢とスキルが成長していくことによって、楽曲の雰囲気に違和感がなくなっていく=“自分たちのものにしていく”という過程そのものが、この曲の魅力でもあった。
2015年の無期限活動停止のタイミングでリリースされたベストアルバム『完熟Berryz工房 The Final Completion Box』に収録されたこのバージョンでは、2004年、2013年、2015年それぞれの時期にレコーディングされたボーカルが1曲の中に編集されて収められている。それによって楽曲の持つ意味合いが強化されているのだ。
そして、前述の20周年記念ライブのセットリストにもこの曲はもちろん入っており、20年目の“あななし”を聴くことができた。音楽の永続性に感じ入るばかりだ。
※1:https://ameblo.jp/sudou-maasa-blog/entry-11903581436.html
(文=ピロスエ)
