OpenAIが評価額約23兆円で約9700億円の資金調達を完了、Microsoft&NVIDIA&ソフトバンクがラウンドに参加か
OpenAIが進めていた資金調達ラウンドが完了し、1570億ドル(約23兆円)の評価額で66億ドル(約9700億円)の資金を集めたことがわかりました。
New funding to scale the benefits of AI | OpenAI
https://openai.com/index/scale-the-benefits-of-ai/
OpenAI raises at $157 billion valuation; Microsoft, Nvidia join round
OpenAI raises $6.6B and is now valued at $157B | TechCrunch
https://techcrunch.com/2024/10/02/openai-raises-6-6b-and-is-now-valued-at-157b/
OpenAI Completes Deal That Values Company at $157 Billion - The New York Times
https://www.nytimes.com/2024/10/02/technology/openai-valuation-150-billion.html
OpenAIの売上は2024年9月だけで3億ドル(約400億円)に達しており、1年前と比べて1700%増加したことが報じられています。OpenAIは2024年の1年間だけで37億ドル(約5400億円)の収益を見込んでいますが、AI製品の性能強化のためにNVIDIAの高性能GPUを確保しなければならず、そのために費用がかさんで50億ドル(約7300億円)程度の損失を出すと予想されているとのこと。なお、2025年には約116億ドル(約1兆7000億円)の収益を確保できる見通しです。
過去9カ月間で従業員が1000名以上増加すると伝えられているなどOpenAIの成長は著しく、2023年1月時点でおよそ290億ドル(約4兆2600億円)だった評価額は2024年1月時点で800億ドル(約11兆7500億円)にまで伸び、2024年8月から9月頃にかけて行われた今回の資金調達ラウンドで評価額は1570億ドルに達しました。
OpenAIは投資家の名前を公表しませんでしたが、過去の報道からベンチャーキャピタルのThrive Capitalが10億ドル(約1500億円)を拠出して資金調達ラウンドを主導した可能性が高いことがわかっています。この件に詳しい関係者によると、他にも以前からOpenAIに130億ドル(約1兆9100億円)相当のクラウドインフラと資金を提供してきたMicrosoftのほか、AIに欠かせないチップを開発するNVIDIA、ベンチャーキャピタルのKhosla Ventures、Altimeter Capital、Fidelity、Tiger Global、人工超知能(ASI)の実現を目指すソフトバンクも拠出しているとのこと。なお、Appleは既報の通り参加しなかったものと見られています。
ソフトバンクがOpenAIに700億円超えの出資を計画中との報道 - GIGAZINE
この取引に詳しい関係者によると、Thrive CapitalはOpenAIに約13億ドル(約1900億円)を投資しており、そのうち7億5000万ドル(約100億円)は自社のファンドから、5億5000万ドル(約800億円)は特別目的事業体と呼ばれる手段を通じて他の投資家から出資されているとのこと。この関係者によると、Thrive Capitalだけは特別に、2025年までOpenAIに同じ1570億ドルの評価額で最大10億ドルを追加投資するオプションもあるそうです。
ベンチャー企業データベースのCrunchbaseの調べによると、今回の資金調達ラウンドを合わせてOpenAIの過去の調達総額は179億ドル(約2兆6200億円)に達しているとのこと。
10億ドル弱を投資したと伝えられているMicrosoftの広報担当者は、CNBCの取材に対して「OpenAIとのパートナーシップの継続を楽しみにしています」と声明を発表しました。
資金調達ラウンドの完了に合わせ、OpenAIは以下の声明を発表しています。
「私たちは、人工知能が全人類へ確実に利益をもたらすようにするという使命を進めています。1週間に2億5千万人以上の人々がChatGPTを利用し、仕事、創造性、学習を強化しています。業界を問わず、企業は生産性とオペレーションを改善し、開発者は私たちのプラットフォームを活用して新世代のアプリケーションを生み出しています。そして、これはまだ始まったばかりです」
「私たちは、ミッションの進展を加速させるため、新たに1570億ドルの評価額で66億ドルの資金を調達しました。新たな資金調達により、私たちはフロンティアAI研究におけるリーダーシップをさらに強化し、計算能力を向上させ、人々が困難な問題を解決するのに役立つツールを構築し続けることができます」
「私たちは、高度な知性を広く利用可能なリソースにすることを目指しています。私たちは、私たちを信頼してくださった投資家の皆様に感謝するとともに、パートナー、開発者、そしてより広範なコミュニティと協力して、すべての人に利益をもたらすAIを活用したエコシステムと未来を形作ることを楽しみにしています。アメリカやその同盟国の政府を含む主要なパートナーと協力することで、私たちはこのテクノロジーの可能性を最大限に引き出すことができるのです」
Financial Timesの報道では、OpenAIが一部の投資家らに対し、自社の競合相手5社に対する投資を控えるようコミットメントを求めたと伝えられています。競合相手には、AI開発のAnthropicやイーロン・マスクのxAI、元OpenAI共同創設者のイルヤ・サツキヴァーが設立したAI企業「Safe Superintelligence」などが含まれている模様。ただし、この約束に法的拘束力はなく、投資家の意向に左右されるとのことです。
OpenAIは共同創設者のイルヤ・サツキヴァー氏を失ったほか、同じく共同創設者のジョン・シュルマン氏、CTOのミラ・ムラティ氏など複数の幹部が相次いで退職するなど変革の時期を迎えています。2015年にOpenAIの設立に協力した13人のうち、記事作成時点で残っているのは3人だけです。