有望新戦力補強も開幕3戦未勝利。苦境のFC東京でベテラン・長友佑都に託されるもの
ところが、2月24日の開幕・セレッソ大阪戦を2−2で引き分けると、3月2日のサンフレッチェ広島戦も1−1のドローに持ち込むのが精一杯。荒木が2戦3発と気を吐いているものの、勝利が奪えないもどかしさや苛立ちがチーム全体に少なからず感じられた。
けれども、そこからの試合運びが芳しくなかった。神戸自慢のスピーディーな攻めから宮代大聖に同点弾を奪われると、さらに60分には宮代の突破を止めようとしたエンリケ・トレヴィザンがDOGSO(決定的な得点機会の阻止)で一発退場。数的不利の状況を強いられる。直後に大迫に直接FK弾を決められ、逆転を許してしまったのだ。
クラモフスキー監督は終盤、新天地デビューの小柏や局面打開に秀でた俵積田晃太らを投入。何とか追いつこうと攻め続けたが、猛攻も実らず、1−2の敗戦。これで3戦未勝利で順位も16位に後退し、キャプテンマークをつける松木玖生も「流れをつかめたところは少なからずあったけど、決めきるところで差が出てしまった」と悔しさをむき出しにするしかなかった。
83分間のプレーでベンチに下がった右サイドバックの長友佑都も、乗り切れない現状をこう評していた。「前半は堅い試合でなかなかチャンスを作れない難しい試合でしたた。大迫にFKを与えたところを含めて難しい判断だったけど、ああいうちょっとのところで試合が決まってしまう。最初にPKを与えたプレーもそうですけど、運で片付けるのも違うと思う。やっぱりもう一度、練習から細部を突き詰めていかないと、勝利を手繰り寄せることは難しいですね。内容がひどいわけじゃないし、自分たちがやってきたことは間違っていないとは思うけど、練習からハードに、自分に厳しくやること。自分の姿勢が周りにも伝わるんじゃないかなと思います」と37歳のベテランは厳しい表情を浮かべていた。
彼の言う「細部を突き詰める」「自分に厳しくやる」といった部分が、近年のFC東京には少し足りないのではないか…。そんな見方をする人も少なくないだろう。長谷川健太監督体制で横浜F・マリノスと最終節までタイトル争いを演じた2019年以降、2020年が6位、2021年が9位、2022年が6位、2023年が11位と停滞が続いているのも、そういった現状の表れのようにも映る。
だからこそ、世界基準を知る長友がより厳しさや泥臭さを伝えていく必要がある。
今季のFC東京は松木を筆頭に荒木、バングーナガンデ佳史扶、俵積田と20代前半以下の若手が数多くいる。そういう集団を引き上げていくことが百戦錬磨の男の使命だと言っていい。同世代の森重真人の力も借りながら、もっともっと存在感を示すべきなのだ。
今季J1を見渡すと、14年間、欧州を主戦場にしてきた川島永嗣が復帰。西川周作や香川真司、家長昭博らもチームの主軸として奮闘している。30代後半のプレーヤーが1人、また1人とユニフォームを脱いでいく中、長年の経験値を示せる人間がタフに戦い続ける意味はやはり大きい。

