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初代ロータス・エランをモダナイズ

1990年、AUTOCARは初代マツダMX-5(ユーノス・ロードスター)へ試乗し、「最高!」と見出しを打った。動力性能では、同時期のホットハッチ、フォード・フィエスタ XR2iの方が勝っていたが、MX-5は完璧なドライバーズカーといえる内容にあった。

【画像】世界が喜んだレシピ マツダMX-5(ロードスター) 初代から4代目まで BBR社のチューニング仕様も 全131枚

素晴らしいシャシーバランスに鋭敏なアクセルレスポンス、爽快な排気音、滑らかなシフトフィール。ブリティッシュ・スポーツカーのレシピの復活ともいえ、小さく純粋なスポーツカーへ飢えていた世界を喜ばせた。


マツダMX-5(ユーノス・ロードスター/NA系/1989〜1997年/英国仕様)

初代ロータス・エランをモダナイズしたようなMX-5は、耐久性の高いツインカム直列4気筒エンジンをフロントへ搭載。実用性も悪くないオープンボディに後輪駆動という、理想的なパッケージングが与えられていた。

ボンネットは軽いアルミ製で、大きな前後のバンパーも同様なプラスティック製。タイヤは、専用開発されたダンロップSP スポーツを履いていた。好バランスに仕上げるための努力が、細部まで注ぎ込まれていた。

驚くほど速かったわけではないものの、そのぶん安全性は高かった。入門モデルにもピッタリだった。

英国のディーラーは、自国のドライバーの嗜好を踏まえ、当初からBBR社製のターボキットを提供。最高出力を150ps以上に高め、210km/hの最高速度を得ることができた。7.2秒で0-97km/h加速をこなした。

さらに、TWR(トム・ウォーキンショー・レーシング)へ依頼し、熱線入りリアガラスと内装を備えた、独自のハードトップも先行して販売されている。

世界で最も成功したスポーツカー

1993年のマイナーチェンジで、1.8Lエンジン版が登場。ボディ剛性が増し、ギア比が高まり、燃料タンクは拡大し、運転席にエアバッグが追加された。ところが、結果的には初期の1.6L版の方が速く、以降の英国仕様では1.6L版がデチューンされている。

剛性が改善したことで、マイナーチェンジ後はサスペンションがしなやかに動くようになっている。引き締まった身のこなしは従来どおりで、スポーツカーとしての魅力は薄れていない。


マツダMX-5(ユーノス・ロードスター/NA系/1989〜1997年/英国仕様)

マツダは市場毎に独自仕様を提供したが、最近の英国で流通している例の多くは、日本からの並行輸入車のようだ。それには、マツダMX-5ではなくユーノス・ロードスターのエンブレムが貼られている。

英国仕様の車台番号はJMZで始まるが、日本仕様はNAで始まる。また、装備は日本仕様の方が充実していることが多いものの、防錆性は若干低い。

マツダの技術者の狙い通り、運転はすこぶる楽しい。小さなボディサイズのおかげで、狭いワインディングでも過度に構える必要はない。カーブが連続する区間では、出色のハンドリングでドライバーを満たしてくれる。

初代MX-5は世界中で人気を博し、他のメーカーへオープンスポーツを提供しようと考えさせた。ちなみに、初代の生産数の50%以上が北米へ輸出されている。世界で最も成功したスポーツカー、という称号を得るに至った傑作だ。

オーナーの意見を聞いてみる

「2シーターのスポーツカーが欲しいと、妻が希望したんです」。今回ご登場願ったMX-5のオーナー、ポール・ヴォールズ氏は、素晴らしい伴侶と結ばれたようだ。

「初めは3代目のNC系を検討していたのですが、NA系の見た目が好みだったんです。クラシックカーとして、コレクションにも適していると考えました」


マツダMX-5(ユーノス・ロードスター/NA系/1989〜1997年/英国仕様)

「このクルマは、自宅から遠いロイヤル・タンブリッジウェルズという町で売られていたのですが、状態が良いと聞き即決。走行距離は2万2000kmで、実車を見ずに購入しましたが、本当に素晴らしい内容でした」。と彼が経緯を説明する。

「前のオーナーによれば、助手席には誰も座ったことがないそうです。モナコ仕様で、ボンネットのエンブレムはユーノスです。ホイールは好きなデザインのものへ交換しましたが、オリジナルは残してあります」

「非常に状態が良いので、わたしも余り乗らないようにしています。雨の日は殆ど走りません。普段使い用として、別に2代目のNB系も所有しているんです。休日の早朝に、小鳥の声を聞きながら運転するのは本当に楽しいですよ」

英国で掘り出し物を発見

マツダMX-5(ユーノス・ロードスター) ル・マン(英国仕様)

登録:1991年式 走行:14万6400km  価格:2万5000ポンド(約452万円)

走行距離の割には高額に思えるが、グリーンとオレンジのボディがその理由。オーナーがワイルド・スピードに憧れて全塗装したわけではなく、1991年のル・マン24時間レースでの優勝を受けてマツダが24台限定で提供した、ル・マン・エディションだからだ。


グループC プロトタイプのマツダ787Bにちなんだ、派手な見た目が最大のポイント。しかし、それだけではない。

BBR社によるターボキットが組まれ、大径ホイールを履き、専用ボディキットで着飾っている。これはMX-5マニアによって大切に維持されてきた車両で、優勝ドライバーのサインも残っている。

マツダMX-5(ユーノス・ロードスター)ハーバード(英国仕様)

登録:1997年式 走行:2万5700km 価格:1万7995ポンド(約325万円)

NA系のモデルライフ末期に英国で提供された、500台限定のハーバード・エディション。1.8Lエンジンにハードトップ、シルバーストーン・シルバー塗装、15インチ・アルミホイール、クローム・ブレースバーなどで差別化されている。

インテリアは、バーガンディ・レザーにウッドトリム、モモ・ステアリングホイールなどが飾る。ワンオーナー車で走行距離は非常に短い。ハンドブックなど、すべての書類も残っているそうだ。

約6000ポンド(約108万円)かけて最近再塗装されており、かなり美しい状態にある。コレクターズ・コンディションといっていいだろう。

中古車購入時の注意点などは、マツダMX-5(ロードスター/NA系)  英国版中古車ガイド 最も成功したスポーツカー(2)にて。