農場のマネージャーからミルクをもらう赤ちゃんワラビー(画像は『Chronicle Live 2022年7月26日付「Albino wallaby kicked out of mum’s pouch being hand-reared on goats’ milk at Northumberland farm」(Image: Newcastle Chronicle)』のスクリーンショット)

写真拡大

人間の手によって育てられているアルビノの赤ちゃんワラビーが話題を呼んでいる。真っ白な体を持った赤ちゃんワラビーは生後3か月の時に育児放棄されてしまい、農場のマネージャーがつきっきりで世話をすることになった。献身的な世話を受けてすくすくと成長した赤ちゃんワラビーは、徐々に他のワラビーと接点を作り群れに帰る準備をしているという。『Metro』などが伝えている。

【この記事の他の写真を見る】

【この記事の動画を見る】

今年の初め、英ノーサンバランド州モーペスにある農場「Whitehouse Farm」にてアルビノのワラビー“ジョリーン(Jolene)”が誕生した。アルビノとは先天的に色素が欠乏し体が真っ白な個体であり、ジョリーンは通常の色をした母親とアルビノの父親の間に生まれた。ワラビーは有袋類であり生後しばらくは母親のお腹にある袋の中で大半の時間を過ごすが、ジョリーンが生後3か月を迎えた頃、母親がジョリーンを袋から追い出してしまったのだ。

同農場のマネージャーであるヘザー・ハガティさん(Heather Hogarty)は「母親が何かに怯えたのか事故なのか分かりませんが、何かの拍子にジョリーンが袋から落ちてしまったのだと思います。ジョリーンは自力で戻れるほど成長しておらず、袋に戻そうとしましたが母親はジョリーンを受け入れようとしませんでした。こうした状況は一般的ではありません。通常なら生後6か月ほどになってから母親のお腹から出たり入ったりしますが、たとえ赤ちゃんワラビーが1時間ほど袋の外に出ていたとしても母親は喜んで子どもを袋の中に迎え入れるはずです」とジョリーンが育児放棄された当時を振り返った。

ジョリーンを母親のもとに戻すことはできないと悟ったヘザーさんは、まだ幼いジョリーンを育て上げることを決意した。ヘザーさんはTシャツを使って袋を作ると、ジョリーンをそこに入れて四六時中一緒にいるようになった。当時のジョリーンは生後3か月とまだ目を離せない状況だったため、約1か月間ヘザーさんは毎晩自宅に連れて帰り、夜中にも哺乳瓶でミルクを与える生活をしていた。

偶然にも農場で飼育していたヤギが出産したばかりで母乳を出していたため、その母乳をジョリーンに与えることができた。ヤギの母乳には赤ちゃんワラビーが必要とする栄養素が十分に含まれていることから、ヘザーさんは「それがジョリーンの命を救った」と話している。

また「過去にエミューの赤ちゃんを育てたことがありますが、自分のことを人間だと思っていたようで寝かせるのに苦労しました」とヘザーさんは明かしており、ジョリーンが自分をワラビーだと認識できるように、できるだけ子どものワラビーと接する機会を作ったという。

現在生後6か月半になったジョリーンは、ヘザーさんの献身的な世話のおかげですくすくと成長している。すでにヘザーさんのTシャツで作られた袋が窮屈になるほど大きくなっており、ミルクと並行して徐々に固形の食べ物も口にし始めた。保護当初は生き延びることができるかどうか不安もあったため一般公開はされていなかったが、現在のジョリーンは「生き生きしている」とヘザーさんが語るほどで、多くの人がジョリーンとの触れ合いを楽しんでいる。

なお最終的にジョリーンは、ヘザーさんのもとを離れて群れに戻ることになる。「まだミルクを飲んでいますが、夏の終わり頃には群れに戻れる予定です」と話すヘザーさんは、ワラビーの群れの中に入りやすいように徐々にジョリーンとの接触を減らしているという。「ちょっと悲しいですが、これがジョリーンのためなのです。ジョリーンが他のワラビーたちと一緒になり、本来あるべき姿を見られるのはとても嬉しいです」とヘザーさんは複雑な心境を明かした。

画像は『Chronicle Live 2022年7月26日付「Albino wallaby kicked out of mum’s pouch being hand-reared on goats’ milk at Northumberland farm」(Image: Newcastle Chronicle)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)