コロナ禍がもたらしたライフスタイルの劇的な変化により、「家」の在り方について新たな考えを持ち始めた人も多いだろう。

家にいる時間が増えたから、もっと広い家に住みたい、景色がいい家に住みたい…。

だが、実際不動産を選ぶとなると「狙うべき物件は?」「そもそも賃貸がいいの?購入がいいの?」など様々な疑問が湧いてくる。

本連載では、ジャーナリスト、ファイナンシャルプランナー、メディアへの取材を通じて、様々な角度から「不動産」について徹底リサーチ!

第1回のテーマは「タワーマンション」。

「管理費が高い」「災害時に大変」などネガティブな噂もある一方で、高価格帯の物件が飛ぶように売れている現実がある。

今回は、タワマンの人気が衰えない理由や今狙い目の物件について探ってみた!



▽INDEX

1.新築分譲マンションの販売価格が高騰!その原因がタワマン?

2.不動産のプロが「タワマン」を推す理由とは?

3.高層or低層・北向きor南向き どっちを選ぶのが正解?

4.今、着目すべきエリアと物件は?

5.「タワマンライフ」を最大限満喫できるおすすめ物件3選


◆今回お話を伺ったのは、この方!

沖 有人(おき ゆうじん)氏
スタイルアクト株式会社代表取締役

不動産コンサルティング歴24年。コンサル経験は1,000件以上。講演会の開催は200回以上。

マンションの無料会員制セカンドオピニオンサイト『住まいサーフィン』の運営に加えて、TV、雑誌などへの出演、WEBメディアへの寄稿は計300本以上!

『マンションは10年で買い替えなさい』等14冊の書籍を上梓。累計発行部数10万部を超える不動産分野のベストセラー作家でもある。



坂根康裕(さかね やすひろ)氏
株式会社PRエージェンシー代表取締役


1987年リクルートに入社「住宅情報style」「都心に住む」編集長を歴任したのち独立。

不動産に関する情報を発信するサイト「Fact Stock(ファクトストック)」を運営。TwitterやYouTubeでの動画配信など、不動産の正しい情報を伝えるべく精力的に活動している。


1.新築分譲マンションの販売価格が高騰!その原因がタワマン?


タワーマンション(以下、タワマン)とは、高さ60m以上、20階建て以上の超高層マンションを指す通称だ。

不動産経済研究所が2021年に発表したデータによると、2022年に東京都に新築予定のタワマンは、14棟7,465戸。

2025年以降までに、建設が予定されているものを含めると、110棟57,775戸にも及ぶ。

つまり、タワマンの建設ラッシュは、継続していく予定だ。



出典:不動産経済研究所(2021年4月27日発表のプレスリリースより)


また、東京都内の分譲マンション価格は、2021年の首都圏(1都3県)の新築マンション1戸当たりの平均価格が、前年より2.9%上昇し6,260万円(坪単価308.8万円※編集部算出)。

この価格は、バブル期の1990年に記録した6,123万円を上回り、過去最高を更新している。

都内の物件がここまで高騰した理由について、沖有人さんに尋ねると…。

「『アベノミクス』と呼ばれる大規模かつ大胆な金融緩和が行われ、ゼロ金利政策によりローンが組みやすくなったことから、少し背伸びをした物件を買う動きが始まりました」(沖さん)

この時期に特に人気が高かったのが、都心のタワマンを中心とした高級物件だった。その結果、都内の新築分譲マンションの平均価格全体を押し上げたという。

確かに、高いところから都心を見下ろす景色に高揚感を感じたり、高級感ある雰囲気に憧れを持つ気持ちは共感できる。

だが、ここまで価格が高騰してもなお、未だタワマン人気が衰えない理由とは?

実際に住んでいる人の声を聞いてみると…。

「高層階からの眺望の良さに惹かれて、購入を決めました。週末はこの景色を見ながら、妻と一杯飲むのが楽しみです」(30代男性・港区)

「金銭的に余裕がある人が住んでいるので、マンション全体が上品で落ち着いた印象です。良識ある人が多く、住民同士のトラブルなども聞いたことありません。天井が高くて窓が大きく開放感があるのも決め手でした」(30代男性・江東区)

「実際に住んでみて困ったのは、エレベーターの渋滞でしょうか。噂には聞いてましたが、毎日のことなのでちょっと苦痛ではあります。高層階なので、長いときは5分以上待つこともザラです。ただ、最近はテレワークで外出も減ったので気になりません」(40代男性・港区)

住んでよかった!という声もある一方、もちろんデメリットを語る人も。

だが、優れた眺望や環境の良さを考えれば、メリットがデメリットをはるかにしのぐと概ね好評だった。

では、実際プロの目からみると、タワマンの価値はどこにあるのか?


住宅の購入を考えているなら、タワマンを狙うべき理由とは・・・?


2.不動産のプロが「タワマン」を推す理由とは?



不動産のコンサルタントとして、様々な物件に精通している沖さんは「買うならタワマンがおすすめ!」と太鼓判を押す。

その理由とは……?

「ズバリ“資産性が高い”からです。

資産性が高いとは、年月が経っても価格が下がりにくいという意味です。最近は、家を購入するとしても『住み心地』+『資産価値』を求める人が多くなっています。

その2つのニーズを満たしやすいのが、タワマンです。

だから、もしどんなマンションを買おうか迷っている方がいらっしゃるなら、僕なら『背伸びしてでもいいから、買いなさい』とアドバイスします」(沖さん)

なぜ、資産性が高いのか?

沖さんは『ステータス性』と『安全&環境面の充実』を挙げる。

マンションの価値を左右するのは「立地」だ。タワマンが建設されるのは、東京を中心とした都心が多く、さらに駅から徒歩10分前後の場所にあるなど利便性も抜群!

また、都心の一等地にあり、その地域でも目立つランドマークに住んでいるという部分で『ステータス性』を感じやすいという面もタワマンならではの価値と言えるだろう。

さらに、一般的にタワマンを建てるためには、広範囲の土地と、その周りを囲む環境を整備する必要がある。

平均200戸以上が一般的なタワマンでは、居住者数も多い。

これに合わせて、道を整備したり、商業施設や、教育施設が増設されなど、住環境が整えられる。このように、タワマンが作られることで住みやすい街づくりも始まる。

それゆえ、タワマン計画が張り出されると、多くの人は“この街も開発が始まって栄える”と期待値が高まり、それが土地の価格にも反映される。それぐらい街に与える影響力は大きい。

資産価値が高いというのも納得だ。



(画像はイメージです)


3.高層or低層・北向きor南向き どっちを選ぶのが正解?



いざ購入、となった場合、狙いの物件の中でもどの部屋を購入するとよいか、という質問に対して、高層階の北向きの物件をすすめてくれた。

沖さんによると、2006年〜2010年の東京23区の中古マンション販売事例6万8,683戸を、方角別で中古騰落率を独自に調査した結果、高層階の北向き物件は、中古になったときに値上がりする傾向が強いということが判明したそう。

「北向きの部屋が11%値上がりしているのに対して、南向きは1.9%値下がりしていました。要は、北向き物件を購入した方が、1割以上お得だったのです。

北向き住戸が中古販売時に価格が上がる理由は、いくつかあるのですが、まず新築分譲時にデベロッパーが、日本の南向き信仰に合わせて北向きを安く値付けするからです。そのため『南北価格差』が発生し、10〜20%北向きが安くなるのです」(同)

一方、中古物件の購入は実物を内覧した上で判断されるが、北向きの物件に実際入ってみると、想像以上に明るくて開放感を感じる人が多いという。

その理由は「窓」にあると語る。

「実際に南向きと北向きの物件を見比べると、窓などの開口部の広さが違う場合があるんです。

75平米の間取りの主開口部の幅を方角別に算出した結果、南向き物件の7.1mに対して、東と西は7.9m、北はなんと9.1mと突出して長かった。

結果的に北向き住戸では、開口部が広く直接日光は当たらなくても日中の明るさが確保され、周囲に視線を遮る建物がない高層階では、『北向きだけれども、明るくて眺望が良い』物件となりました。

そもそもタワマンは人気があり値崩れしにくいという背景もあり、マンション全体として見たとき、なかでも北向き物件の価格が上がりやすいという統計結果へと繋がりました」(同)

なるほど、物件の選び方はわかってきたが、具体的にプロが注目しているエリアはあるのだろうか?


不動産のプロが、今着目しているエリアと物件は?



4.今、着目すべきエリアと物件は?



では、今狙うべきエリアはどこなのか。タワマンの数が多いからこそ悩むところではある。

「資産的な意味で考えれば、港区エリアがおすすめです」(沖さん)

ただ、港区の物件は億を超える物件も多く、手が届きにくかったり、売却するときに買い手がつきにくかったりすることもあるそうだ。

そこで、実際に住むことを考えておすすめしたいのが、勝どきなどの湾岸エリアや、台東区、荒川区あたりの物件。

このあたりの、8,000〜9,000万円程度の物件を狙うのはアリだという。

これらのエリアは、都心のビジネス街に30分程度でアクセスができるという便利さがありながらも、お手頃な価格帯の物件が多い。

「私の会社が運営している『住まいサーフィン』の分譲マンションアクセスランキング(2022年2月28日更新)でも、1位から4位まで勝どきの物件が占めており、タワーマンションでは、2位に『パークタワー勝どきミッド/サウス』がランクインしています。注目度の高さが伺えますね」(沖さん)

台東区は治安などを気にする人も多いかもしれないが、それは観光地となっている街のみのよう。住宅街に入ってしまえば、下町の雰囲気が残っており住みやすいと評判だ。

また、荒川区は、様々な路線が走っているアクセスの良さがポイント。

都電荒川線、JR線(常磐線、宇都宮線・高崎線、山手線)、京成電鉄、つくばエクスプレス、東京メトロ(千代田線、日比谷線)、日暮里・舎人ライナー、成田新高速鉄道(成田スカイアクセス)と、とにかく、都心へのアクセスが抜群。

その割には、物価も安く家賃などを例にすると1Rで6.8万円、ファミリー向けの2LDKでも13万円とお手頃価格だ(※編集部調べ)。



(画像はイメージです)


高級マンションガイドとして様々なメディアで活躍されている坂根康裕さんにも、注目しているエリアについて聞いてみた!

すると、同じく湾岸エリアの物件を挙げた。

「話題になっているマンションという意味では、東京五輪の選手村跡地である『HARUMI FLAG』だと思います」(坂根さん)

『HARUMI FLAG』は、東京2020オリンピック・パラリンピック選手村として活用された後の建物や土地を有効活用するために計画された、都市開発プロジェクトだ。

約13haの広大な土地に、5,632戸の分譲住宅・賃貸住宅と商業施設の合計で24棟を建築するほか、保育施設、介護住宅などを整備し、多様なライフスタイルを受け入れる人口約12,000人となる街づくり計画である。

「大規模で、各戸の専有面積も平均80平米以上。都心のマンションとしてはかなり広いのですが、中央区アドレスの割には坪単価300万円台と価格がかなり抑えられていることから、話題になっています。

ちなみに現在、販売や賃貸として出されている物件は、18階建てなのでタワーマンションではありません。

ただ、2025年頃には2棟のタワー棟が竣工予定なので、注目を集めるのは間違いないでしょう」(同)

タワー棟の建設が進んでいるのは「PARK VILLAGE」(2LDKで7,980万円から4LDKで12,770万円。最多価格帯は8,700万円台)と「SUN VILLAGE」(2LDKで4,990万円から4LDKで22,920万円。最多価格帯は5,900万円台)※価格は公式発表より。



『HARUMI FLAG』の水辺のダイナミックな景観が楽しめる「SEA VILLAGE」のイメージ画像


「安さの理由は『戸数の多さ』と『駅からの距離(最寄りの勝どき駅から徒歩20分以上)』にあるのですが、『東京都の払い下げ用地』であることも背景にあります。

私個人としては、坪300万円台という価格が妥当か?というと疑問もありますが、魅力が多い物件ではあるので、興味がある方はチェックしてみるといいかもしれません」(同)

レインボーブリッジを見晴らせる眺望でありながら、相場よりもお手頃価格な『HARUMI FLAG』のように、お得な物件が登場することもある。

マンション購入の際は、様々な情報に対してアンテナを張っておくことが大切だ。

ここまでで、タワーマンションは資産性が高く、住心地もよいということを学んだ。

とはいっても、高額なだけでに購入するとなると、それなりの覚悟がいる。

「タワマンに限らずですが、家を買うときには覚悟が必要です。ローンを背負う覚悟、将来を背負う覚悟です。

賃貸がお得か、購入がお得か?という議論がよくありますが、それはその人のライフスタイルやライフプラン、どんな幸せの価値観を持っているか?に左右されます。

家を選ぶ際には、損か得かだけで判断してはいけません」(同)

確かに、勢いで購入するにはハードルが高い…。

でも、タワマンには住んでみたい!そんな人のために、次ページでは高級マンションガイドの坂根さんに聞いた「おすすめ賃貸タワマン」についての情報をお届け!


「タワマンライフ」を最大限満喫できる賃貸物件3軒を発表!


5.「タワマンライフ」を最大限満喫できる賃貸物件3選



長年に渡って首都圏のマンション動向を見つめてきた坂根さんに、おすすめの物件を教えてもらった。

どれも、タワマンならではの住み心地を満喫することができる賃貸物件ばかり!

購入を迷っているならば、まずはこうした賃貸物件で体感してみるのもアリだろう。

今回は、あまり背伸びをしすぎず借りることができる現実的なラインで選んでもらった。

※掲載している賃料は各物件の公式サイトより原稿作成時点で抜粋した価格です。現在の賃料と異なる場合がありますので、ご注意ください。



(画像はイメージです)
■1:東京らしい夜景を一望!
『芝浦アイランド ブルームタワー』


「東京都港区芝浦4丁目の再開発地区『芝浦アイランド』の大規模マンション(分譲2棟、賃貸2棟)の中にある『ブルームタワー』は、人気が高いマンションです。

運河の中に建っているため周囲に同様の建物が無いことから開放感があり、レインボーブリッジ側の部屋からは、すばらしい眺望を望むことができます。

タワマンらしい高揚感を感じることができる、お部屋と言えるかもしれません。

また同じエリアにある『芝浦アイランド エアタワー』は、一転、真面目な印象だといわれています。どっちが東カレ向きなのか私にはわかりませんが、まっさきに頭に浮かんだのが芝浦アイランド賃貸タワー2棟でした」(坂根さん)

ブルームタワーは、45階1LDK(約61平米)で家賃35万円程度(2022年3月時点の情報)と少し背伸びすれば届く賃料であることもポイントが高い!

スポーツクラブや医療機関があるなど、日常に便利な施設が揃っているので、“住む”にはとても便利であると言えるだろう。


■2:スタイリッシュな内装に心躍る!
『コンフォリア東新宿イーストサイドタワー』


「いわゆる大規模タワーマンションで、最上階にプール、バー、ヨガができる部屋、ゴルフレンジ、スパなど充実した設備が用意されています。

エレベーターの中にミラーボールがあるなど、パッと見は『派手好きな人』向けの物件のようですが、実は間取りが格好良く、楽しみながら住むことができる良質な賃貸マンションです」(同)

東京メトロ副都心線の東新宿駅まで徒歩2分、新宿三丁目駅まで徒歩4分、新宿駅まで徒歩11分という好アクセス!

時間を有効活用したい人向きの部屋だ。

26階1LDK(約86平米)のお部屋では、53万1,000円と少々お高めだが、広さ、アクセス、眺望から考えれば妥当だろう。



■3:緑に囲まれた都心ライフを満喫!
『セントラルパークタワー・ラ・トゥール新宿』


「新宿中央公園に隣接した、四季を感じることができる大規模タワーマンションです。

ガラスカーテンウォール(フレームレスのガラスのみで構成された壁)なので全面が窓になっていて、眺望抜群。

こちらも共用施設が豊富で、ホテルのように巨大なエントランスホールが圧巻です。

フィットネスルームも広く、アーバンライフとはこういうことか!という生活ができると思います。20代は遊んで、30代になって少し落ち着こうかな?と思ったときにぜひ住んでみてほしいですね」(同)

コンシェルジュによるサービスが充実していて、ホテルライク。大型犬の飼育が相談できる点もうれしい。駐車場も都心の大規模マンションには珍しい「平面駐車場」もあり、車の出し入れが容易なのもポイントが高い!

1LDKのお部屋もあり、シングルライフをしばし楽しみたい男性や、子どもを授かるまでタワマン暮らしを楽しみたいご夫婦にもおすすめだ。


▼不動産のプロが、タワマン内見の際にチェックするポイントとは?


☑建物が目に入った場所から住戸の玄関扉までの演出

☑超高層の場合は、構造にも注目!

「まず私は、マンションの外観やエントランスなどの共有部分など、マンションの第一印象の良さをチェックします。

実際に住んだときに、日常目にするアングルで見た際にどう感じるか、エントランスに入った瞬間の印象はよいか、といった具合です。

自分が住んだときのイメージはもちろん、売却するときにも、印象が良い方が売れやすいからです。

第2に、超高層マンションの場合は、構造も重要です。

背の高い建物になるほど地震の際には「しなり」が大きくなるからです。結論からいえば、タワーマンションは、耐震ではなく免震が理想です。

住宅性能上“耐震基準を満たす”建物を通常グレードとすれば、最上グレードが“防災の拠点“となる建物で、免震はこれに該当します」(同)

※WEBサイト、不動産をもっとわかりやすく『Fact Stock(ファクトストック)』内の記事「タワーマンションを検討するとき、私ならここを見る」より抜粋




購入するにしても賃貸で住まうにしても、タワマンには優れた点がたくさん存在する。

これからも、圧倒的な人気を保ち続けるであろう。

「タワマンに住む」を人生の選択肢の1つに加えてみてはいかがだろうか。

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Text/和栗恵

参考資料/『2020年以降も勝ち続けるマンション戦略バイブル』(沖有人・朝日新聞社発行)