【勝負の分かれ目 菊花賞】横山武史騎手の迷いのない逃げでタイトルホルダーが圧勝

第82回菊花賞のゲートが開いた。内目の3番枠から出た横山武史のタイトルホルダーが促されてハナに立った。
「いつも力みやすいというか、真面目すぎるところもあるのですが、1頭になればリラックスするというのも弥生賞でわかっていたので、今日は無理してでもハナにこだわっていました」と横山武史。
向正面なかほどで2番手のワールドリバイバルに1馬身半ほどの差をつけて単騎逃げの形に持ち込んだ。
1周目の3コーナーを回りながら、モンテディオとエアサージュがワールドリバイバルをかわして2、3番手に上がってきた。それでも横山武史は並ばせず、後ろとの差をじわっとひろげながら直線に入った。
最初の1000mは1分ちょうど。2番手との差は4、5馬身にひらいていた。横山武史はこう振り返る。
「もうひとつ(少し)ペースを落としてもいいかとも思いましたが、馬もやる気でしたし、馬とケンカしてまでペースを落とすくらいなら、リズムよく運んだほうがいいと思いました。ペースはそれほど気にしていなかったです」
正面スタンド前で、逃げるタイトルホルダーから最後尾までは15馬身以上あった。向正面に入ってもタイトルホルダーは先頭をキープしている。2周目の3、4コーナーで後ろを引きつけ、2番手のセファーラジエルとの差は4分の3馬身ほどになった。後方に待機していたステラヴェローチェが外から進出し、内のオーソクレースを引き連れて、前との差を詰める。
しかし、タイトルホルダーはさらに末脚を伸ばし、ラスト200m地点ではリードを5馬身ほどにひろげていた。タイトルホルダーはそのまま後続の追い上げを封じ、追い込んだ2着のオーソクレースに5馬身差をつけ、先頭でゴールを駆け抜けた。
「前走がひどい競馬だったので、リベンジしたいというか、取り返したいという思いがあったので、結果を出せてよかったです。この距離はタイトルホルダーには長いかなと思っていたのですが、強かったですね」と横山武史。
スタート直後に迷うことなくハナを取り切り、自分の馬のリズムを最優先にして、クラシック最後のタイトルをつかみ取った。直線で進路がなくなり追えなくなった前走のセントライト記念(13着)の借りを見事に返した。
(文:島田明宏)