ニンニクと辛味噌がジュワーッ! 最強の地元飯「びっくり亭」の秘密
ニンニクと辛味噌が猛烈に胃袋を刺激する、福岡県民が愛してやまないローカル飯「びっくり亭」の“焼肉”。地元のグルメライターが、おいしさの秘密からテイクアウト情報まで、徹底レポートします。
〈福岡人のローカル飯〉
数ある福岡グルメの中でも“ローカル飯の最高峰”として愛されているのが「びっくり亭の焼肉」です! 独自の“鉄板焼肉”は類似店や、もどきレシピが出回るほどの人気ぶり。今回は、その元祖である「びっくり亭 本家 本店」をご紹介します。
教えてくれたのは

森 絵里花
福岡生まれ博多湾育ち。地元タウン誌やグルメ情報誌、料理専門誌、WEBマガジンなどを中心に活動。ランチ、カフェ、星付き店から路地裏の酒場まで、オールマイティに楽しむ呑み食い道楽 兼 グルメライター。
本能で食らえ! 鉄板にのったニクいヤツ

「びっくり亭の焼肉」と言っても、網の上で肉を焼くのではありません。初めて見る人は、鉄板にのった“肉野菜炒め”に見えるでしょう。しかし、その味わいや製法はひと味もふた味も違います! 「びっくり亭」をひもとくキーワードは「謎の肉と油」「ニンニクとキャベツ」「鉄板」「びっくり棒と辛味噌」! とにもかくにも、お腹を空かせて突撃しましょう!
南福岡駅そば、昭和38年創業の本家 本店

「びっくり亭」は福岡県内に6店舗、宮崎県都城市に1店舗あり、今回はその総本山、1963(昭和38)年創業の「本家 本店」へやって来ました。テレビやメディアで紹介される度に話題となり、芸能人や野球選手、著名人にもファンが多いこちらのお店。昼時や週末は行列必至の人気を誇ります。

「いらっしゃいませ!」。ハツラツとした声で迎えてくれたのは、店長の乗富さん。「うちの焼肉は『安くて栄養が付くものを、お腹いっぱい食べさせてあげたい』という創業者の思いから生まれたスタミナ料理です。たっぷり食べて、パワーを付けて帰ってくださいね!」

店内はカウンター、テーブル、小上がり席まであり、広々。早速、メニューを見てみると……。

食事メニューは、「焼肉」と「御飯」「味噌汁(単品)」「キムチ」のみ、と潔し。「焼肉」はボリュームを選べ、お好みで「御飯」を付けて定食にできるシステム。1人半前を頼み、半分はビールと、残りはご飯で……なんて食べ方をする人も多いのだとか。早速注文しつつ、そのおいしさの秘密を探っていきましょう!
※9月より「御飯」のサイズ表記を特大→大、大→中に変更。容量と価格は変わりません。
厨房へ突撃! ウマさのこだわりを探れ

厨房で作っている様子を撮影させていただきました! まず、第1のキーワードは「謎の肉と油」。 初見の客には「何のお肉かよくわからない。でも歯ごたえがあってウマい」と言われることも多い謎の肉。

正体は、“豚のハラミ”でした! 厳密に言うと、仕入れによっては少し他の部位も混ぜるそうですが、主体となるのはコレ。「安くてウマいものを」と考えた創業者が、当時安価で手に入った豚のハラミを採用したのがはじまりなのだとか。この豚ハラミを、大量の特製油でガンガン炒めていきます。

続いて、第2のキーワード「ニンニクとキャベツ」。同店のおいしさは、ガツンと利いたニンニクと大量のキャベツにあるといっても過言ではありません。豚ハラミに程良く火が入ったら、ニンニクや秘伝の調味料で味付けをして、キャベツを“これでもか!”というほど大量に投入。キャベツは大きすぎず小さすぎず、この切り方とサイズ感も重要なんです。

キャベツを入れたら、フライ返しでガンガン混ぜ合わせていきます。ポイントは、キャベツに火を入れすぎないこと! その理由は……。

第3のキーワード「鉄板」です! 高温に熱した鉄板にのせて提供するのが、同店のスタイル。しかし、炒めすぎるとキャベツから水分が出て焼肉はベチャベチャに……。テーブルに着き、食べながら最高の焼き加減になるよう、鉄板の熱さや食べる時間を計算して、炒める時間や加減を判断しているのだとか。

創業者がなぜ鉄板で提供するようになったのかは、はっきりとわかっていないそうですが「“最後まで熱々のおいしい状態を楽しんでほしい”という気持ちと、“びっくり亭と言うからには、何かインパクトが欲しい!”という思いがあったのかもしれませんね」と、乗富店長はにっこり。もうもうと立ち上る煙と、ジュワーッ!と勢いよく弾ける音と香りに、確かに“びっくり”です!
びっくり亭のお作法伝授。秘密のオーダー法も!?

急いで客席に戻ってくると、まずはご飯と味噌汁が運ばれてきました。びっくり亭の焼肉は、とんでもないご飯泥棒なので「御飯(中)」200円を注文。ちなみに「御飯(小)」150円でもなかなかにボリュームがあり、「御飯(大)」300円はさらに大きな茶碗に“日本昔話盛り”されるので、お腹と相談してオーダーしてくださいね。

さぁ、続いて“ニクいアイツ”もやって来ました。この音、この香り、もう我慢できない!と、がっつきそうになりますが……ちょっと待った! 忘れてはいませんか? 第4のキーワード「びっくり棒と辛味噌」を。

「びっくり棒」とは、卓上に置かれたこの木の棒です。ジェンガなんかしちゃいけませんよ。

これを1本手に取り鉄板の下、木台の片側にスッと差し込みます。こうやって鉄板を傾けるのが目的です。

さぁ、次は同じく卓上に置かれた「辛味噌」の出番! この「辛味噌」、一体何が入っているのか気になりますよね? しかし、残念ながらそれは企業秘密。と言うのも、乗富店長やスタッフも知らない、オーナーのみぞ知る秘伝のレシピなのだとか。

さて、鉄板を傾かせて端に油がたまったら、そこへ辛味噌を投入! よ〜く溶いて、お肉やキャベツを絡めたら……。

あとはひたすら食うべし!!! シャキッと感を残しつつも絶妙に火が入ったキャベツ、ほどよい弾力がクセになる豚ハラミ、ニンニクと辛味噌のコクと香ばしさが一気にスパーク! 脳天にガツンと響くような鮮烈なウマさに思考は停止。夢中で食べていると、日々のストレスも吹き飛び、段々とパワーがみなぎってくるような!!! びっくり亭の焼肉は、本能で食べる料理なのだと、改めて実感。

7店舗あるなかで、本店直営は太宰府店、粕屋店、都城店。暖簾分け店は、高宮店、早良店、那珂川店となっていますが本店および直営店では、なんと“カスタムオーダー”が可能なのだとか! 「ニンニク、油多め」や、肉を減らしてキャベツを多めに入れる「キャベツ増し」、肉なしの「ヤサイのみ」、「ニンニクなし」などなど。カスタムオーダーをできるようになれば、びっくり亭ツウと言えますね。
しかしながら、これは常連さんのテク。自分の好みを把握していないうちから使うのはNG。「ニンニクなし」の場合は、個別に作る必要があるため時間がかかることもあるので、店の混み具合などにも配慮しながら注文することをおすすめします。
お持ち帰り&本店限定の商品も!

同店の焼肉は、お持ち帰り(容器代50円)OK。事前に電話注文しておけば、スムーズに受け取れます。ただしこれは、すぐに食べるのが前提のテイクアウト。「県外にいるけどびっくり亭の味が恋しい」「福岡土産として買って帰りたい」、そんな人には、昨年から登場した「辛味噌ふりかけ」500円がおすすめ。公式サイト内のオンラインショップでも購入ができます。

さらに「本店 本家」限定で、「冷凍餃子」600円も販売しています。餃子のタネは、ニンニクとキャベツとお肉。そう、びっくり亭の焼肉の味が閉じ込められているんです!

もちろん、食べ方も「びっくり亭」式。酢醤油ではなく、付属の辛味噌を付けて味わいます。皮はパリッと香ばしく、中からは凝縮された旨みと肉汁、油がジュワ〜ッ!

餃子の中からあふれ出る油が「辛味噌」に絡むと、まさにびっくり亭の焼肉の味! 中のキャベツやお肉も、普通の餃子のタネとは様子が違います。買ってストックするもよし、びっくり亭が大好きなあの人へ差し入れするもよし。食べるとパワーがみなぎるびっくり亭の味を、気軽に楽しんでみてください。
※価格はすべて税込
<店舗情報>
◆びっくり亭 本家 本店
住所 : 福岡県福岡市博多区寿町2-8-12
TEL : 092-571-0692
※本記事は取材日(2021年8月23日)時点の情報をもとに作成しています。
※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。
※新型コロナウイルス感染拡大を受けて、一部地域で飲食店に営業自粛・時間短縮要請がでています。各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いします。
撮影:森 絵里花 文:森 絵里花、食べログマガジン編集部
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