「常在戦場(常に戦場にあり)です」。
某経済人は、リスクマネジメントの重要性を訴える。

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米中対立が激しくなる中、中国との関係は?

 中国との関係はどうあるべきか──。米中対立が激しさを増す中で、政権与党・自由民主党の幹部は、「経済人は甘い」とまで言い、次のように続ける。

「米中両国を相手に儲けたいという考えでいると、両国からデカップリング(分離)される危険性があります。両国とうまくやろうという安易な考え方でアプローチすると、(取引で)両方を失う危険性もあるということを、まず経営者はしっかり認識すべきです」
 この幹部は、「企業は経済保障担当の役員を置く必要がある」と強調し、「そうしないと、
突然サプライチェーン(取引網)から外されて、いきなり倒産するという危険性がある」と
語る。

 中国には国家情報法がある。中国で合弁企業を展開する関係者は自らが持つノウハウについて、中国政府から要請があれば、そのノウハウや関連情報を提供しないと、収監される可能性がある──と与党幹部は日本産業界に〝警告〟する。

 米中対立はここ当分高まり、その流れの中で台湾問題や尖閣諸島問題も絡んでくる。
 中国は、日本にとって最大の貿易相手国。米国にとっても、中国は最大の貿易相手国で、何か事が起きた場合、経済面で受ける痛手は大きい。それは中国にとっても同じだ。

 日本は対中国政策をどう進めるべきか?
「これは、非常に悩ましい問題。なかなかピタリとした解は見つからない」──。対中国政
策を問うと、多くの経営者から、こんな答えが返ってくる。

 日本は、米中二国間の橋渡しという役割は担えるのか?

「日本は米国の同盟国。厳しい世界政治の中で、日本は橋渡し役を務められない」とバッサリと橋渡し役論を切り捨てる中国問題専門家もいる。

 中国も国際社会の中で今後、ある種の名誉ある地位を占めるためには、「国際的な規範やシステムを使わざるを得ない局面も出てくる」という見方もある。しかし、そうなるまでには時間がかかりそうだ。

 某経済リーダーは、「米中の対立は今後深まるということだが、ともあれ、いろいろな視点から知恵を出し合って検討したうえで、いくつものシナリオを考えておかないといけない」と〝有事への備え〟が必要と語る。

なぜ、日本の経済成長率は欧米に比べて低いのか?

 今年6月時点での世界銀行の見通しでは、日・米・欧の先進国の2021年成長率は、米国が6・8%(今年1月の見通しより3・3ポイント引き上げ)、ユーロ圏が4・2%(同0・6ポイント引き上げ)に対し、日本は2・9%(同0・4ポイント引き上げ)という数値。

 コロナ対策も徹底管理で抑え込んだと喧伝する中国は8・5%(同0・6ポイント引き上げ)と高い数値である。
 日本は1990年代初めのバブル経済崩壊から、〝失われた20年〟あるいは〝失われた
30年〟と言われ、長い間経済低迷が続く。旧長銀(旧日本長期信用銀行)などの破綻が相次いだ1998年前後から、デフレ経済に突入。日本のGDPは500兆円前後でずっと推移。

 2012年末からの第2次安倍晋三政権の経済対策・アベノミクスでデフレ脱却、円高是正などを進め、日本経済は上向いてきたものの、グローバルに見ると、米国、中国との差は開くばかりだ。

 バブル以前、米国のGDPは日本のそれより2倍弱だったのが、今は4倍強(約21
兆ドル、2019年)。中国は2010年に日本をGDPで抜き去り、今や日本の3倍規模(約15兆ドル)。日本は約5兆ドルで長い間停滞。〝失われた30年〟と言われるユエンである。


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〈つづく〉