片山 今回は公的病院について、設置者としての自治体が物を言えたこともあり、コロナ患者の主な受け入れ先となりました。これまで公的病院は合理化、効率化、そして再編の必要性が言われてきました。ただ、いざという時のために、ある程度残して、感染症の拠点にするという形で医療圏における計画を組み替えるような動きが出てくるでしょう。

 今、国会に提出している法案(良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案)では医療計画の中に感染症対応計画を入れることが明記されており、成立すれば各医療機関が実行せざるを得なくなります。

危機管理意識が薄かった日本
 ─ 危機管理の要素を組み込んだものになっていると。

 片山 そうです。以前から災害対応を入れることは書かれてはいましたが、それさえ、あまり具体的には実行されてこなかったのが現実です。

 厚生労働省の方々が言うには、日本の病院に関連する法律は縛りが弱く、厚労省には民間病院に対する命令権がほとんどないのです。今回、感染症法を改正したことで、少しだけ改善しましたが。

 欧米は死因の上位5位以内にコロナが来ており、ほぼ全ての医師が戦場に招集されたかのような危機感で取り組んでいます。一方、日本の死因の中でコロナは30位台で、上位は変わらずがん、脳卒中、心筋梗塞ですから、危機感が薄い面があるんです。

 ─ 日本ではこれまで危機管理の意識がなかったと言っていいかもしれません。

 片山 それは言えます。15年に成立した平和安全法制は、私が国会議員になって15年で最も重い法律の1つでした。今はほとんどの国の憲法に緊急事態に関する条文が入っていますが、日本は入っていません。

 ただ、コロナに関連して入れるのはよくないということで、自民党が出している案では大災害だけに限って緊急事態対応を強化するとしています。自民党の中には日本の危機管理が弱いということに対する危機感を持つ人が多いんです。

 今回のコロナ禍は多くの犠牲を払っていますが、何とか乗り越えなければなりません。そうでなければ最前線に立って過労寸前で取り組んでいる医療関係者、亡くなられた方々、お悲しみの親族、後遺症に悩む方々に対して申し訳が立ちません。

 ─ その意味で今一度、日本の国の仕組みをどう作り直すかという局面に来ていますね。

 片山 ええ。今回、コロナ禍で他国を見ていると非常に対応が早い。その点、日本のデジタル化の遅れが浮き彫りとなりました。例えば台湾では病床の空きや、どこでマスクが売っているかということが管理できていたわけです。コロナ接触アプリも日本のものより韓国の方が性能が高かった。

 日本は01年の時点では世界最先端のIT国家でした。ソニーが開発した非接触型ICカード技術「フェリカ」はまさに最先端技術で、ソニーは知的所有権だけでも大きな利益を上げています。しかし、その開発者を社内に残すことができなかった。

 ─ 人の能力はあるのに、それを使いこなせていないと。

 片山 組織の論理が先に立って、最適な経営戦略を採ってきたとは言えないということですよね。その意味でデータの分析結果に基づいて意思決定を行う「データドリブンエコノミー」になると、企業は合理的な判断をしやすくなりますし、経営トップが組織全体の動きを把握しやすくなります。

 自民党のデジタル社会推進本部の座長は甘利明先生ですが、私は人材委員長を務めています。そこで経団連にアンケートを採らせていただいたのですが、デジタル人材採用に向けて、雇用形態、収入体系を大きく変えた企業は2~3割で、7割以上は現状維持なんです。優秀なデジタル人材を採用するためには企業が変わらなければなりません。