2020年7月に全面開業した「ハレザ池袋」

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「池袋はオフィスの適地なのか?」
「池袋はオフィスの適地なのか? という議論がある中で、豊島区さん、特に高野(之夫)区長の『賑やかな街にしていくためにはオフィスが必要だ』という熱い思いも頭に入れながら開発していった」と話すのは東京建物執行役員都市開発事業部長の古林慎二郎氏。

 2020年7月1日、東京・池袋に東京建物、サンケイビルが開発を進めてきた複合施設「ハレザ池袋」がグランドオープンした。元々は旧豊島区役所、旧豊島公会堂があった場所で、オフィス棟の「ハレザタワー」、ホール棟の「東京建物ブリリアホール」、そして「とし
ま区民センター」、「中池袋公園」で構成されている。

 19年11月にはホールと区民センターが先行してオープン。ホールのこけら落とし公演は宝塚歌劇だったが、その後コロナ禍で中断するなど影響は拡大。古林氏は「残念ながら、思っていた以上にコロナの影響がある。ホールは公演の予約で埋まっており、もっとイベントが開催できているはずだった」と残念がる。

 ただ、「明らかに人の流れや、訪れる人の層が変わったと感じている。また、そのような声もいただいている」と手応えを感じている。

 また、ハレザタワーのリーシング(テナント誘致活動)も順調に進み、竣工前に全てのフロアが契約済みとなった。池袋は商業のイメージが強く、これまで「サンシャイン60」以外の大型オフィスが立地していない場所だった。ただ、東京建物にはかつて、オフィス街としての認知度が低かった場所での需要を掘り起こした経験があった。

 それが東京・中野の「中野セントラルパーク」。12年に竣工したオフィス・商業一体開発のプロジェクトで、ここには飲料大手・キリンホールディングスの本社が東京・新川から移転。

「今までオフィス立地のイメージが薄いと言われる場所でもオフィスをつくった。チャレンジングではあるが環境整備、特徴付けをすることで、テナントの皆様に魅力を感じていただけるという自信につながった」(古林氏)

 池袋は元々、1日の平均乗降客数が新宿駅に次ぐ規模で交通利便性は非常に高い。「このメガターミナル駅至近で、オフィスが成り立たないはずがない。ただ、企業が移転を考える上ではイメージが大切。それさえ変えればポテンシャルは十分あると思っていた」(東京建物都市開発事業部事業開発グループグループリーダー・若林典生氏)

 例えば、前述の中野セントラルパークの営業では、まず顧客の意向を探り、新たなイメージを浸透させる意味で、本格的なリーシングを始める前に「プレリーシング」を実施。地ならしをした後で、通常のリーシングを始めるという手間をかけた。今回のハレザタワーでも、同様の活動を展開。

 コロナ禍で働き方が変わり、職住近接を望む人も増えているが「そこに〝遊び〟の要素があることが、今後望まれるオフィスの立地なのではないか。丸の内、大手町だけでなく、こうしたオフィスを望む企業もあるだろうし、その流れは強まる可能性があると見ている」(古林氏)

 渋谷が「ITベンチャー企業の集積地」としての特徴を強く打ち出したように、今後池袋も何らかの特徴付けをすることで、さらに企業の集積が進むことも考えられる。

官民が一体となった再開発スキーム
 再開発のスキームも特徴的。財政的に厳しい状況にあった豊島区は、新庁舎建設、跡地再開発に当たって、デベロッパーに定期借地権で土地を貸し付け、一括前払い方式で地代を受け取ることで、庁舎の建築コストを捻出することを提案。