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コロナウイルスに関連したデマをきっかけとして、トイレットペーパーの大量買い占め現象が全国で発生している。入手できなかった人が、職場にあるトイレットペーパーを持ち帰ることは許されるのだろうか。

●「マスクの次はトイレットペーパーが品薄に」。流されているデマ

2月28日の午前9時30分ころ。東京都港区のドラッグストアには、朝の開店前からトイレットペーパーなどを求める長蛇の列ができていた。在宅勤務中の会社員男性(40代)は「早く来たつもりだったが、すでに売り切れてしまっていた」と困惑する。

消費者がトイレットペーパーを買い占めようとする行動は、デマを原因とするようだ。新型コロナウイルス対策としてすでにマスクの買い占め・品薄状態が続いている。SNS上には「マスクと同じ原材料のトイレットペーパーも品薄になる」、「原料を中国から輸入できなくなる」などのデマが拡散したものと思われる。

熊本市内のドラッグストアでも同日朝、「トイレットペーパーやティッシュペーパー、キッチンペーパー、オムツ、赤ちゃんのお尻拭きまできれいになくなってました」(市内の専業主婦)

熊本市の大西一史市長はすでにデマを否定している。

「熊本でデマが流されトイレットペーパーやティッシュなどの買い占めが起こっているようですが確認したところティッシュ等はほとんどが国産で製造に全く影響ありません。まとめ買いしなくても大丈夫です。熊本市の指定ゴミ袋も在庫は数ヶ月分あります。皆さん落ち着いて行動して下さい。」(2月27日午後7時8分のツイート)

消費者には落ち着いた対応が求められる。しかし、東京をはじめ、全国各地でいまだトイレットペーパーやティッシュの買い占めが続いている。

買えなかった人たちも少なくない。そのため、中には職場からトイレットペーパーを持ち出す者まで現れた。ツイッターには「会社のビルのトイレットペーパーが盗まれた」という盗難報告や、「トイレットペーパー会社からパクって帰ろ」との盗難宣告までする人がいる。

会社の備品であるトイレットペーパーを職場から無断で持ち出す行動は罪に問われないのだろうか。西口竜司弁護士に聞いた。

●窃盗罪や横領罪の可能性

ーーどんな罪に問われるでしょうか?

話を聞くだけで嫌な気持ちになりますね。職場のトイレットペーパーにつきましては、場合によりますが、職場が設置したものですから「他人の財物」にあたることになります。これを無断で持ち帰れば当然のことですが、刑法235条の窃盗罪にあたることになります。ただし、職場を管理しているような人が持ち出せば、自分が支配しているものを取ったとして横領罪(場合によれば業務上横領罪)に該当することになります。

職場を管理している人について説明しますと、横領罪が成立するためには占有がなければいけません。占有とは、事実的支配のみならず法律的な支配を意味します。具体的には仕事で管理を任されているような場合、たとえば店長等の場合になります。

また、職場の備品を持ち帰ったということで就業規則に違反する行為にあたり懲戒事由に該当します。最悪の場合懲戒解雇も考えられるところです。もちろん、民法により損害賠償請求もされることになります。

ーー職場ではない公共の場所。たとえば、居酒屋やデパート、コンビニ、病院、宿泊先のトイレ。そして公衆トイレ。このような場所でトイレットペーパーを持ち帰った場合も窃盗罪にあたりますか?

このような場所でも他人の物であることに変わりはありませんので窃盗罪にあたることになります。いずれにしても他人の物を勝手に持ち出すことは犯罪です。最近ではトイレットペーパーだけでなく、マスクの盗難も増えていると聞きます。法律に違反する行為をしてはいけません。

【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士Youtuberとしても活動を開始している。
Youtube:https://www.youtube.com/channel/UC0S5XriZt1UDy9TnLU4RN6w
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/