日本のジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ【写真:石倉愛子】

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悲願叶えたジョセフHCは試合後、何を語ったのか

 ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会は13日、A組最終戦の日本対スコットランドが行われ、日本が28-21で勝利し、史上初の決勝トーナメント進出を決めた。台風19号による甚大な被害を受けた日本に勇気を与える歴史的快挙を成し遂げた。

 2016年秋からチームを率いるジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ。日本のラグビー史に新たな1ページを書き加えたニュージーランド人指揮官の試合後の一問一答は以下の通り。

 ◇ ◇ ◇

「試合の事より前に、まずは今回日本が台風で甚大な被害に遭いました。19名が亡くなられ、12名が行方不明だと聞いた。そのことについてチームとして話した。甚大な被害だったと思うが、今日の試合でのタフな時間帯でそのことも考えた。

 勝利については喜んだが、多くの方のおかげで今日の試合が開始された。スコットランドは真っ向勝負してきた。最初はフィジカルに向かってきて、拮抗する場面もあった。でも私たちの最後まで諦めない心で、正念場で乗り切ることができた。こういう状態ではありますが、私たちがホームでW杯を戦うことができたこと、それは素晴らしいモチベーションになった」

――試合内容について。

「アタックという言葉はしばしば、ボールを持っている時のことを考える。ディフェンスも攻撃の一つ。トライがどこから生まれたか。DFラインからチャンスが生まれ、そこからトライが生まれた。私たちの戦術はボールをキープし、テリトリーを取っていく。相手の裏をかき、相手にプレッシャー、トラブルを与えていく。スコットランドに先にトライを奪われたが、私たちは諦めず、自分たちの事を信じた。選手がそれを守ることが大事。それを実行できた。選手を本当に褒めるべきです」

――アジア勢として初の決勝トーナメント進出。サンウルブズとしてのスーパーラグビーへの参戦が大きかったのか。

「色々なことがあったが、スーパーラグビーに入って、世界の色々なアスリートと戦うことができた。最初は苦戦を強いられたが、徐々に期待を成し遂げられるようになった。今年はスーパーラグビーを(W杯にとっての)有益な予兆になるように使えた」

コーチ陣の役割も称賛「長谷川コーチも日の目を浴びるようになった」

――コーチ陣について。

「一夜にしてチームは築けない。個人的に難しかったのは、自分たちが持っている時間の中でどう作るのか。どのような方向に進めるかは苦労した。トニー・ブラウン(アタックコーチ)は素晴らしいコーチ。チームとしても褒め合えるようなチームになっている。このような環境を作ることができた。

 長谷川(慎)スクラムコーチも素晴らしい。長谷川コーチも最初は日の目を浴びることは少なかったが、日の目を浴びるようになった。最初はティア2のチームとの試合の中で、スクラム、ラインアウト、モールディフェンスをターゲットにやっていた。それがうまくいくようになった。それが構築されて、セットピースでは拮抗できるようになった」

――日本の選手のメンタルの成長について。

「変わったと思う。私のメンタルの定義とは日頃、何をするのか。朝起きてから、“いい人格者”であること。私たちはそのような心をもってやってきた。それが、個々のベストを引き出すことができる。いい選手になるには、日々それを体現すること。私たちの選手はそれを理解している。このような環境の中で、選手たちにそれを言い続けてきた。次へ向けても、そのメンタリティをもってやっていきたい」

――開催国であることがプレッシャーにはならないか。

「雑音だと言った(笑)。ホテルに帰ると、何人もが拍手をしてくれる。東京駅でも何人もが肩を叩いてくれる。これは今までとは違う状況。そういう意味での雑音と言った。私は小さい町出身なので、惑わされずに集中しなければならないと。準備においては、それ(応援)は助けにはならないのです。そうはいっても大事なこと。私たちにモチベーションを提供してくれるし、国が応援してくれるのはありがたいこと」(THE ANSWER編集部)