日韓関係が史上最悪と言われているときに、このような破廉恥な事件は本当に大問題です。緊張感のない外交部に、韓国国民からも厳しい目が注がれています」(在韓国ジャーナリスト)

【写真】第一報となったソウル新聞電子版の記事(7月28日)

 日本に駐在する50代の韓国政府の総領事が、部下の女性職員に性的な嫌がらせをした疑いで、韓国警察の取り調べを受けている問題。7月28日にソウル新聞電子版が第一報を報じ、韓国外交部もその事実を認めた。日韓関係が緊張するタイミングでの不祥事に、韓国国内に動揺が広がっている。

 ソウル駐在の特派員が解説する。

「被害女性から訴えがあったのは今年の春。権利保護や救済を行う機関である『国民権益委員会』に情報が寄せられ、捜査機関が動き出しました。この総領事は、報道が出る一週間ほど前に帰国していて、いま取り調べを受けているということです」


韓国外交部 ©AFLO

 韓国国内の報道によれば、被害を受けた女性職員は2017年から2年間、セクハラを受けていたと主張。一方、総領事は警察の取り調べに対して容疑の一部を認めているという。

 総領事といえば、各地の領事館のトップを務める要職。韓国は、日本国内に9カ所の領事館(札幌、仙台、新潟、横浜、名古屋、神戸、大阪、広島、福岡)を構えているが、韓国外交部はどの領事館のトップを務めていたかは、公表していない。

「韓国では、報道されている経歴から、取り調べを受けているのは横浜駐在の総領事ではないかと言われています。ソウル大学を卒業し、外交部の局長も経験したキャリアで、ニューヨークや大阪にも駐在経験があります。朴槿恵政権時代には左遷されましたが、2017年に左派の文在寅政権が誕生すると、横浜の総領事に就任しました」(前出・在韓国ジャーナリスト)

 韓国国内では、日本の輸出管理強化問題に最前線で対処している外交部に対して厳しい報道が続いている。というのも、韓国の外交当局は、不祥事続きなのだ。前出のソウル駐在の特派員が続ける。

「政府高官は『ありえないことが起こってしまった』と、今回のスキャンダルが意外であるかのようなコメントをしていますが、文在寅政権になってから外交官の不祥事が相次いでいるんです。正直なところ、私は今回のニュースを聞いて『またか』と思いました」

 2017年5月の文政権誕生以来、同年8月にはパナマ国旗を逆に掲揚、18年11月には外交部公式Twitterが「チェコ」を「チェコスロバキア」と表記して外交問題に。そのほかにも、パワハラの疑いでモンゴル大使、マレーシア大使に対しても懲戒処分が検討されているほか、この7月22日には、前エチオピア大使が部下へのセクハラ問題で懲役1年の実刑判決を受けている。

 このような事態を受けて、外交部は職員の高官が問題を起こしたら、その地位を即剥奪する「ワンストライク・アウト(一発アウト)」制度を導入。綱紀の引き締めを図ってきた最中だった。

「第一報を伝えたソウル新聞も〈「綱紀の『乱れ』のレベルを超えて、『惨事』の水準に達している〉と報じ、不祥事が相次ぐ康京和外交部長官の責任を追及しています。外交部は、日本の“経済報復”に対抗するために集中しなければならない時期に、またこんな不祥事が起きてしまい目も当てられません」(同前)

“内憂外患”の韓国。事態が好転する日がくるのだろうか。

(「週刊文春」編集部/週刊文春)