津賀10年体制か、それとも社長交代か。動き出したパナソニック
また6月27日付でコマツの野路国夫会長(72)が社外取締役に加わり、創業家の松下正幸副会長(73)は取締役を退任し特別顧問になる。
:日刊工業新聞2019年3月1日
何をアップデートするの?
パナソニックが再び改革に挑む。2011―12年度に2期連続で巨額赤字を計上して以来、事業の選択と集中や事業間連携などテコ入れしてきたが、利益率の向上がいまだ課題だ。次期中期経営計画が始まる4月以降、事業ポートフォリオの見直しや、縦割り構造解消による経営効率の一層の向上を目指す。中計の最終年度には、就任から10年を超える見通しの津賀一宏社長。より筋肉質な経営体質を実現し、持続的な成長を軌道に乗せることが求められている。
「家電や住環境も、(コンピューターを導入した自動車と)同じくらい大胆に変えないといけない」―。1月8日(日本時間9日)に米ラスベガスで開幕した世界最大級の家電・IT見本市「CES」で取材に応じた津賀社長は、パナソニックが目指す方向性として掲げるキーワード「くらしアップデート」についてこう説明した。その上で、「製品の作り方からガラッと変える必要がある」と決意を述べた。
くらしアップデートの考えが社内で十分に浸透したとはいえないものの、会社のマインド変化を象徴する成果の一部は、CESでもうかがえる。冷蔵ショーケースを搭載した自動運転機能を備えた電気自動車(EV)のコンセプトカーは、車載機器事業と家電事業の連携の一例だ。
全社の横串を通す動きも進み、日本が中心のサイクルユニットを搭載した電動アシスト自転車の北米投入も決定。米ケントとの協業で19年度に発売する。
くらしアップデートという目標を実現するには、イノベーションにつながる経営スピードと、異分野の知見を活用できる事業間の連携基盤が必要となる。宮部義幸専務執行役員は、「タテの概念を崩して新たな概念の商品やソリューションを生み出さねば、パナソニックの将来はない」と危機感を隠さない。
そこで17年から取り組むのが“完璧な製品”ではなく、その前段階で市場投入することで、新規事業を短期間で立ち上げる米シリコンバレーの開発拠点「パナソニックβ」だ。
日本の事業部から社員を派遣し、その経験を再度日本の本社へと循環することで、全社のスピードを向上することも狙う。
CESでも、パナソニックβの取り組みや、そこから生まれた住宅向けIoT(モノのインターネット)基盤「ホームX」を紹介。宮部専務執行役員は、「βは既存事業を変えようと動いてくれている。期待以上だ」と手放しで評価する。
ただしリーマン・ショックで同様に経営不振に陥ったソニーや日立といった日系電機メーカーが営業利益率8%を達成する中、パナソニックは同5・1%と足踏みする。
