「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今回の漢字は「暁(アカツキ・ギョウ)」。うららかな気候のこの時期は、まさに「春眠暁をおぼえず」。夜明けがきたことにも気づかない、春の眠りの心地よさ。暁のときを過ぎれば、新しい光に満ちた朝が必ずやってくる。そう信じていられるからこその贅沢です。



「暁」という字は、左側に「日へん」を書き、右側に「尭(ギョウ)」という字を添えます。

この「尭(ギョウ)」という字の古い字体(堯)は、まず「土」という字をひとつ書き、その下に、それより小さめの「土」という字をふたつ並べて書きます。

さらにその下に「兄」「光」といった漢字の下半分にも使われている、「ひとあし・にんにょう(兀)」と読む部首を書きます。

そこからこの「尭(堯)」の部分は、土器などを焼く窯の棚の上に土器を積み重ねている様子を表し、高い状態を意味するときに用います。

そこに太陽を表す「日」という文字を添えたことで、太陽が高くのぼるときを待つ「暁」という漢字が作り出されました。

西の地平線に沈んで姿を消し、翌日、再び東の地平からのぼってくる太陽。

大地をあまねく照らして命を育んでもらうため、もっと高く真上から、強い輝きを放って欲しい。

「暁」という漢字には、そんな願いがこめられているのでしょう。

枕草子の冒頭のくだりに出てくる「春はあけぼの(曙)」とは、夜の闇に太陽の光がまざり、あたりがほのぼのと白み始める頃の様子。

「あかつき(暁)」はそれより前、まだ暗い夜の時間を意味する言葉です。

人々が深い眠りについている静かなこのひととき。

まだ誰にも使われることのない、清らかで新しい活力が、世界を満たしています。

ではここで、もう一度「暁」という字を感じてみてください。

万葉の時代へ語源をたどれば、「あかつき」のもとは「あかとき」。

実は、夜を三つに分けたうちのひとつで、「宵」「夜中」に続く、夜が明ける前の「未明」を意味する言葉です。

また「暁」という漢字には、次第に周辺が明るくなってきて、ものの姿が明らかとなるので「さとる」という意味もあるといいます。

先が見えない闇の中にいても、時機が来れば夜明けを告げる光に出会える。

そう信じて過ごす「暁」のとき。

その日のために力を蓄え、自ら起き上がろうとする人に、太陽の恵みは降り注ぎます。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。

その想いを受けとって、感じてみたら……、

ほら、今日一日が違って見えるはず。

*参考文献

『常用字解 第二版』(白川静/著 平凡社)

4月28日(土)の放送では「端」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。



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聴取期限 2018年4月29日(日) AM 4:59 まで

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<番組概要>

番組名:感じて、漢字の世界

放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット

放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜7:20〜7:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)

パーソナリティ:山根基世

番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/