会話がない、食事が別々、無視…。夫婦の心が離れ、家庭内別居という状態にある男女が増えていると言われています。男女としては終わりを迎えてしまったのに「それでも別れない」理由はどこにあるのでしょうか? アンケートや専門家の意見から、事情を探ってみました。


もしかしてわが家も思い当たる!? 家庭内別居のサインとは?

 夫婦関係が不和になるサインは、じつはどれもささいなことばかり。それだけに意識にのぼらないことも多く、気づいたらいつのまにかほぼ家庭内別居状態に、という夫婦も少なくありません。チェック項目にひとつでも思い当たるものがあれば、夫婦関係を見直すことが必要かもしれません。

・お互いの目を見ない
・夫といると、時間が長く感じる
・他人の前では仲がよさそうに演じる
・必要最低限の会話しかしない
・相手を否定するケンカをよくする
・お互いに関心がない
・すれ違うときに、自然に体をそらす

今悩んでいる読者100人にアンケートを実施。結果とそこから見えてくるものは?

 今回ESSEでは悩みを抱える100人の主婦にアンケートを実施。夫婦の実情と「あえて離婚はしない」理由を調査してみました。

●家庭内別居の実情は?

1位 夫婦の会話がない/36人
2位 寝室が別々/27人
3位 子どもの前でだけ会話/24人
4位 食事を別々にとる/16人
5位 互いの存在を無視/14人
*複数回答あり

さまざまな理由で、結婚後除々に会話がなくなった夫婦が多いという結果に。また、寝室や食事が別々など、始まりは軽いケンカの間だけと思っていたことが当たり前になり、気づけば2人の間に溝ができていたという夫婦も少なくないようです。1位の「夫婦の会話がない」といえば、最近話題の「スマホ離婚」。家庭で長時間使用してしまうスマホが、夫婦の距離をますます広げているという場合もあるようです。

●離婚をしない理由は?

1位 子どものため/29人
2位 経済的な事情/22人
3位 気持ちが踏みきれない/13人
4位 夫が離婚に応じない/8人、周囲の目が気になる/8人
*複数回答あり

離婚しない理由は「子どものため」。「自分ひとりでは子どもの学費を払うことができない」など、経済的な事情とセットになっている人が多いよう。また、「今の状態がラク」との声も。借金や浮気など大きな問題がない場合は離婚に踏みきりにくいようです。

家庭内別居に陥らないために専門家からのアドバイス

 夫婦関係に悩みはつきもの。「家庭内別居」に陥っている夫婦は、自覚がない人も含めるとかなり多いとか。「悩んでいる人は非常に多く、とくに年末年始やお盆休みなど長期の休み明けに、相談に来る人が急増します。普段会社に行っている夫が家にいることで、蓄積されたものが爆発したり、もうだめだ、と実感するのではないでしょうか」と、夫婦問題カウンセラーの高草木陽光さんは分析します。

 家庭内別居の原因の多くは、「寝転んでる姿がなんとなくイヤ」「夫が話を聞いてくれない」「部屋を片づけない」などささいなことの積み重ね。
「明確な原因がないから、離婚を口にすることは思いとどまるのです。でも、本人にとっては、けっしてささいなことではありません」

 理由はどうであれ、心が完全に離れてしまった場合、夫婦を続けていく意味があるのでしょうか?

「それでも離婚しない人には理由があります。第一は経済的な理由。『子どものため』と言う人が多いけれど、これは自分を納得させるための言いわけにすぎません。夫はイヤだけれど、今の生活と離婚後の生活を比べて、お金に困らない今の生活を選ぶというケースが大半です」

 自分が選んだ結果なのだから、それはそれでかまわない、と高草木さん。生きていくためには、きれいごとだけではすまない現実もあります。


家庭内別居を修復、未然に防ぐために!気をつけたい5つのポイント

離れてしまった心を再び通わす手立てはないのでしょうか? 高草木さんに5つのポイントを伺いました。

●過去のことを責めない
●日頃から感謝の気持ちを伝える
●夫の話を否定、または遮らない
●夫に過度な期待をしない
●男は言いたいことを我慢するものだと理解する

「否定しない、感謝するなど日々の努力がポイント。問題が大きくなっている場合でも修復の可能性はゼロではない」と高草木さん。大きくなる前に気をつけることで借金や浮気に走ることを止められるという効果もあるそうです。

●教えてくれた人
高草木陽光さん
HaRuカウンセリングオフィス代表。夫婦問題カウンセラーとして、これまで6000件以上の夫婦の悩み、問題をアドバイスする。雑誌・テレビなどへの出演も多数。近著に『なぜ夫は何もしないのか なぜ妻は理由もなく怒るのか』(左右社刊)

<取材・文/ESSE編集部>