F-35B、岩国基地へ到着 いまだ墜落ゼロの安全性、今後は?
山口県の岩国基地にF-35Bが到着、アメリカ本土以外への配備はこれが初めてです。これまで墜落事故が1件も発生していない同機ですが、これは戦闘機としてとてもまれなことです。
F-35B、岩国基地へ
2017年1月18日(水)、岩国基地(山口県)にアメリカ海兵隊の最新鋭ステルス垂直離着陸戦闘機、F-35B「ライトニングII」が飛来しました。F-35Bはまず10機が岩国基地へ配備され、最終的には1個飛行隊16機が岩国基地へ常駐することになります。

F-35は通常離着陸型のF-35A、垂直離着陸型のF-35B、空母艦載戦闘機型のF-35Cがあり、このうちF-35Bは2015年に、F-35Aは2016年に実用化されました。今回の岩国基地へのF-35B配備は、F-35としては米本土を除いた最初の海外基地への配備となります。
真っ先に在日米軍に回された事実は、アメリカがそれだけ対中国や対北朝鮮など、東アジアの情勢を重要視している表れであると言えるのかもしれません。
ただしF-35Bは既存の垂直離着陸戦闘機AV-8B「ハリアーII」の後継機としての配備が主目的です。またAV-8Bは本国へ戻ったのちに退役します。今後F-35Bは、佐世保を母港とするアメリカ海軍の強襲揚陸艦「ワスプ」の艦載機として活動することとなります。
垂直離着陸機の「宿命」は乗り越えられるか
2016年9月16日、岩国基地のAV-8B「ハリアーII」が、展開先の嘉手納基地(沖縄県)において離陸直後に墜落、パイロットが緊急脱出するという事故が発生しました。その際一部からAV-8Bの即時撤去を要求する声が上がりましたが、今回のF-35Bへの交代はそれ以前から決まっており、事故との関連性はありません。
AV-8Bはほかの戦闘機に比べても墜落などの重大事故が非常に多い機種です。これは垂直離着陸機がゆえの宿命ともいえる欠点でしたが、F-35Bは同じ垂直離着陸機でありながら、現在のところ1機も墜落事故が発生していません。同様にF-35A/C型も墜落事故は2017年1月現在、皆無です。
F-35シリーズは1月に総計200機目(くしくも航空自衛隊向けの2号機でした)が引き渡されたにもかかわらず、墜落機ゼロであるという事実は、戦闘機としてはかなり珍しく、ほかの機種ならば試作機ないし実戦配備前に墜落事故を引き起こすことがままあります。
たとえばF-15は、実戦配備を目前にして電気系統の火災から1機が墜落。F-14にいたっては12機の試作機のうち3機が失われており、うち1機は「自分が射撃したスパロー空対空ミサイルによって自らを撃墜する」という珍事でした。F-16は開発段階で墜落はなかったものの、降着装置の不具合から試作2号機が胴体着陸。ほかSu-27、F-22、ユーロファイター、グリペンなど、多くの機種が開発段階で墜落しています。
墜落ゼロの「事実」を公正に
F-35はすでに3000機以上の受注を得ており、将来的には世界中の戦闘機の何割かがF-35になります。そのため今後、さまざまな理由によって非常に多くのF-35が墜落することになるでしょう。
しかし、飛行制御ソフトウェアのバグや未知のハードウェア的な欠陥による事故の件数は、やはりどうしても未成熟な開発段階ないし初期の段階に集中して発生しやすく、ある程度不具合を出し切ったあとは少なくなる傾向にあります。
F-35シリーズ、ましてF-35Bは垂直離着陸機であるにもかかわらず、最も多くの事故が発生する可能性の高い初期の段階において、いまだに墜落ゼロであるという事実は、F-35という戦闘機が相対的に安全性に優れた機種である証左と言えるでしょう。
ところが残念なことにこうした事実から目をそむけ、墜落にまで至らない故障や事故をもってF-35が欠陥機であるとする声がすでに聞こえます。
まったく根拠のない、事実と異なる欠陥機として語られ、ある種の象徴になってしまったMV-22B「オスプレイ」のようにしてしまわないように、今後発生しうるF-35の重大事故においても、ただ事故が発生したという事実のみで判断せず、中立的な立場から事故の中身についてもきちんと精査することが肝要でしょう。
【写真】退役する「ハリアーII」(同型機)

