腹部に残る「寄生性双生児」を摘出した15歳少年(出典:http://www.essentialbaby.com.au)

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二卵性双生児として妊娠するも、片方がうまく育たず初期の段階で母体に吸収され、1人のみ誕生することが10〜15%の確率で起こり得る。これは“バニシングツイン(Vanishing Twins)”とも呼ばれるが、生き残れなかった方の胚芽や胎児が母体に吸収されず、もう片方の胎児の体に宿ってしまう「寄生性双生児」という現象がきわめて稀に発生する。このほどの話題はマレーシアから。なんと腹部の異物として発見されたそうだ。

このほどマレーシア・ケダ州のスンガイ・プタニ市で、Shahril君という15歳の少年が腹部から驚くような“異物”を摘出する手術を受けた。異物の正体はなんと母親の胎内で十分に育つことができなかった双子のもう一人。かなりの大きさがあり、長い髪、頭部、手足、生殖器まで存在する「寄生性双生児」であったことをマレーシアのメディア『malaysiandigest.com』が紹介している。

Shahril君はサッカーをはじめスポーツが大好きな少年として成長したが、中学校に入ると丸く膨らんだ腹部に恥ずかしさを感じ始め、先月からは激しい腹痛に苦しむようになりついに病院へ。世界でも数少ない寄生性双生児の発見に本人はもちろん、診察した医師も家族も仰天した。Shahril君は非常に食欲旺盛なタイプで、それはもう片方の胎児が成長するために必要としている栄養分であった可能性も高いという。

同様の事例は今年1月にインドのウッタル・プラデーシュ州からも伝えられていた。嘔吐や腹痛、痩せに悩まされ続けた18歳のナレンドラ・クマールさんの腹部に宿っていた寄生性双生児はなんと2.5kg。骨、髪、歯もしっかりと確認されたという。

また香港では2010年、女の赤ちゃんが体の内部にほかの赤ちゃんを2体宿して誕生したことがわかり、世界中の周産期医療の医師や専門家を驚かせた。赤ちゃんは生後3週目でその寄生性双生児の摘出手術を受けたが、へその緒、手足、皮膚、胸郭と骨、腸、脳の組織が確認されている。こうしたケースは新生児50万人につき1人の確率で出現するが、バニシングツインは妊娠初期で起きる現象ゆえ、母体に吸収されたか否かの診断は超音波検査などでも難しいという。

出典:http://www.essentialbaby.com.au
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)