カシオの「スマートウオッチ」に期待高まる

写真拡大

「これまでのスマートウオッチは、時計として必要最低限の機能を備えていなかった」──。アップルウオッチを念頭に、こんな挑戦的な言葉で、国内の腕時計メーカー、カシオ計算機が初となるスマートウオッチ「WSD-F10」を2016年1月5日に発表した。

同社が掲げたコンセプトは、「スマートアウトドアウオッチ」。1990年代に一世を風びしたデジタル時計「G-SHOCK」を彷彿とさせる、耐久性や使いやすさを追求したという製品になるという。価格は7万円(税別)で、16年3月下旬に発売予定だが、果たしてライバルを出し抜けるのか。

海外メディアからは「クレイジー」の声も

カシオ計算機のスマートウオッチは、米ネバダ州ラスベガスで16年1月6日から9日まで開催された国際家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」で発表された。登山やサイクリング、釣りといったアウトドア用途に特化した製品で、5気圧の防水性能や米国防総省の軍用規格に準拠した耐久性を備えるという。

アップルウオッチに代表される「日常での使用」を想定した既製品とは全く異なるコンセプトに、CESの会場に集まった海外メディアも大きな注目を寄せた。

なかでも、英国のIT系ニュース・レビューサイト「Wareable」は、同製品を「クレイジー」だと評している。クレイジーとは、「アウトドア向け」というコンセプトに対しての評価で、「本当に成功するのだろうか?」と疑問を呈している。しかし、耐久性や使いやすさを重視した製品スペックについては、「スマートウオッチ業界全体にとって、大きな分岐点になる可能性を秘めている」と高い評価もしている。

日本のネットユーザーからとくに注目されているのは、「1か月以上」の長時間駆動が可能となる「タイムピースモード」(省電力モード)を搭載している点だ。モノクロとカラーの液晶二層構造で、スマートフォンアプリを使用しない場合はモノクロ液晶だけを表示させるため、消費電力を大幅に節約できる。さらに、振らないと時計表示されないアップルウオッチと違って時刻を常に表示することも可能だ。

「1日に1回は必ず充電しないと使いものにならない」など、今までのスマートウオッチの「大きな欠点」として指摘されてきた問題点が改善されるのではないかと、期待を寄せるユーザーが少なくないのだ。

「はじめて時計と呼ぶに値するスマートウオッチか」
「電池1か月持つモードが『それが欲しかったんだよ!!』感ある」

「時計メーカーらしいスマートウオッチに」

J-CASTニュースの取材に対して、カシオは「これまでのスマートウオッチは、時計としての必要最低限の機能を備えていなかった」と語る。

その理由については、

「私どもとしては、何らかのアクションを取らなければ時刻が確認できない製品は、『時計としてはありえない』と考えています」

と説明した。

また、アウトドア用途に特化した理由を聞くと、「スマートウオッチは色々なことが『できすぎる』ため、逆にどのように使ったらよいか分からないユーザーも多いと聞いています」。あえて機能を絞ることで、製品の持つ価値を明確にする狙いがあるという。

カシオがスマートウオッチ事業に参入することは、以前から報じられ、樫尾和宏社長は15年6月、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙のインタビューで「スマートウオッチというより、スマートを目指した腕時計になる」と述べていた。